バリアフリーの本当の意味を知らなければ、あなたの大切な親御さんやお子さんなどのご家族が不利益を受けます。「障害を持っていないから関係ない」と思った方、それは大きな間違いです。今回はバリアフリーについてご紹介します。
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バリアフリーとは
バリアフリーとは、障壁(バリア)がないことを意味します。障壁を取り除くことができたらバリアフリーと呼ばれます。バリアフリーは、今では誰もが知っている言葉。しかし、本当の意味でのバリアフリーを理解している方はごく少数です。みなさん、段差を解消することだけがバリアフリーだと思っていませんか。
障壁(バリア)の種類は4つ
障壁は段差などの「物理的障壁」だけではありません。「物理的障壁」は、国、都道府県、市区町村、私たちの税金、各民間企業の莫大な投資で、ユニバーサルデザインの建物や設備などが増加し、街全体がユニバーサルデザインになりつつあります。
もとは障壁だらけだった建物や設備にも、バリアフリー化が進んでいます。しかし、それだけではバリアフリーもユニバーサルデザインも完成しません。「物理的障壁」の他に、「制度の障壁」「文化・情報の障壁」「心の障壁」合わせて4つの障壁があるのです。
障壁(バリア) | 内容 |
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物理的障壁 | 建物、設備、交通機関、道路、製品などの物の形態に関わる障壁のことです。段差なども物理的障壁の一つです。 |
制度の障壁 | 修学や就職、資格など、社会参加する上での障壁のことです。 |
文化・情報の障壁 | 言語、会話、映像など、情報を受け取る手段に関わる障壁のことです。視覚・聴覚などの情報障害、日本語英語などの言葉の違いも文化・情報の障壁の一つです。 |
心の障壁 | 高齢者や障害者、病気の方などへの無関心、無知による、偏見や差別、理解や配慮の欠如などの障壁のことです。 |
「心の障壁」に関するバリアフリー化が最も重要
「心の障壁」は、一番大きく根が深く、とてもとても厄介です。「心の障壁」を取り除かない限り、本当の意味で「物理的障壁」「制度の障壁」「文化・情報の障壁」が取り除かれることはあり得ません。心身状態が悪化し、要介護認定を受けている親御さんはすでに、これら4つの「障壁」により、さまざまな不利益を受けているはずです。
例えば、「物理的障壁」のバリアフリー化で、車椅子用の駐車場が用意されています。車椅子の方が乗り降りしやすいよう、他の駐車場より幅が広くなっています。狭いと、乗り降りできないどころか、車の間を通ることすらできないからです。
しかし、この車椅子用の駐車場に元気な方が駐車します。理解や配慮が足らず、自分に関係ないからです。事故などの理由に、車椅子を利用するようになってから初めて気がつくのです。その大変さに。必要性に。
点字ブロックの上に、駐車、駐輪されてしまう問題もあります。視覚障害のある方が、歩行する際に必要とする点字ブロック。この上に駐車、駐輪してしまっては、その先を歩くことができません。戻るしかなくなるのです。駐車、駐輪している方々も、事故や病気で視覚障害にならないとも限りません。その時になって後悔しても遅いのです。
このように「心の障壁」も取り除かないと、「物理的障壁」「制度の障壁」「文化・情報の障壁」だけをいくら取り除いてバリアフリー化しても意味がなくなってしまうのです。
誰もが平等に高齢者予備軍・障害者予備軍・病人予備軍
誰もが平等に年をとります。病気なったり、事故にあったりする可能性もあります。誰もが高齢者予備軍であり、障害者予備軍で、病人予備軍です。バリアフリーは、高齢者や障害者のためにあるようにもとらえられていますが、あなたもいつか高齢者だし障害者です。家族みんなもいつかそうなります。無関係ではないのです。
なら、高齢者とか障害者とか病人だとか、区別する必要があるのでしょうか。その区別そのものが障壁になりえます。そして、それらの障壁を取り除くことができない限り、親御さんだけでなく、将来あなたも、あなたのお子さんも、お孫さんも、大切な家族がみんな不利益を受けることになるのです。
買い物に行ったら、車椅子用の駐車場が埋まっていて買い物ができないこともあるでしょう。目が見えなくなってしまったけど、リハビリし、訓練し、やっとの思いで、勇気を振り絞って、外出してみたら、点字ブロックの上に自転車がたくさん駐輪されていて、引き返さなければならないなんてこともあります。
目が見えなくたってパソコンはできますし、仕事もしっかりできます。しかし、理解を得られず雇用されないなんてこともあるでしょう。耳が聞こえないから会話ができず、就職もできないし友達もできないどころか、いじめられてしまうことも少なくないのです。
明日は我が身です。いつかはあなたや家族に順番が回ってきます。いざそうなったとき、そうならないためには、時間のかかるバリアフリーに対する正しい理解が必要不可欠です。誰しも大切な家族に、不利益は与えたくはないはずです。しっかり理解しましょう。
ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議を開催
国は今、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、ユニバーサルデザイン化・心のバリアフリーを推進し、大会以降、次世代への遺産として残していくための施策を実行するため、ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議を開催しています。
具体的には、学校教育において、すべての子供達に「心のバリアフリー」を指導。指導を行う教員への研修。障害がある方と一緒に行う授業。障害のある方を支えるための取り組み。交通、観光、外食などのバリアフリーの水準アップ。就職・仕事のバリアフリー強化。災害時における避難誘導に関するバリアフリー強化などが行われます。
国も「心の障壁」の問題を理解し、対策もしてくれています。日本国民が同じ方向を向いて協力し合えば、あなたの大切な家族がいざ障害を持つ体になったとき、苦労が少なくて済みます。辛い思いを軽減できます。
いかがでしたか。今回はバリアフリーについてご紹介しました。親御さんはもちろん、あなた自身や家族のためにもなることです。誰もが暮らしやすい、優しく温かい国にできたらいいですね。