高齢の親向け実家のリフォーム

高齢者が外出したがる!心と玄関と情報のバリアフリー化リフォーム

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高齢者にとって玄関のバリアフリーは、何を目的に行われるのでしょうか。もちろん外出することが目的です。お客様とのコミュニケーションを目的としているのであれば、カウンターのような作りにする方が効率的でしょう。

では、目標とするものはなんでしょうか。多くの場合、安全な外出が目標になるのでしょうか。安全かつお洒落に楽しくといった目標にするのであれば、姿見やたくさんの収納なども必要になってきます。

事故なく安全に、楽しい外出ができるようにするための手段の一つがバリアフリーです。今回は心と玄関と情報のバリアフリー化リフォームについてご紹介します。

あなたの心をバリアフリー化

事故発生場所詳細

出典:『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故 -高齢者編-』平成25年3月28日独立行政法人国民生活センター

『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故 -高齢者編-』によると、家庭内事故発生場所で4番目に多いのが玄関です。高齢者になると筋力などの身体機能が低下。そのため、片足だけで身体を支えることができなくなります。例えるなら、スケート場を歩いているような感覚。

外出するには、常にスケート場を歩くような感覚で段差の激しい玄関を通過する必要があります。そのような状態で、玄関を通過しなければならない恐怖を理解してあげて欲しいのです。

5.2%とはいえ、四番目に事故の多い場所。事故になる前に「ひやっ」とした瞬間が何度もあったはずです。たった5ミリの段差にすらつまずくのです。その頃から恐怖という感覚が積み重ねられ、外出を拒んでいる可能性もあるのです。トラウマになっていることも考えられます。

外出という理想を親御さんに進める前に、これらの高齢者への理解と配慮が必要です。まずは「心のバリアフリー」を心がけましょう。あなたの心もリフォームするのです。スケート場を歩いていることを知らずに、「大丈夫よ。怖いことなんか何にもないんだから。私が支えてるし。」と軽く言ったところで、「自分の怖さや体のことをわかってくれてない。」と心を閉ざされるのがオチです。親御さんのスケート場を歩いているような怖い感覚に、共感してあげることが重要。スケート場を歩いたら、あなたもすり足になるはずです。

アプローチと玄関をバリアフリー化

段差の解消

アプローチの段差と手すり

日本の木造住宅は、地面から1階の床までの高さを45センチメートル以上にしなければならないと、建築基準法によって決められています。日本は湿度が高いですし、腐食や害虫による被害を防ぐため、床下の風通しをよくするなどの理由があります。

床下の地面がコンクリートなら、45センチメートル以上にしなくても良い可能性があります。このような家にお住いの方は、玄関の段差の問題はとても小さいものと考えられます。

道路から玄関までの高低差を解消する方法は、「階段」による方法と「スロープ」による方法、「段差解消機(移動用リフト)」による方法の3種類があります。

スペースは、「段差解消機(移動用リフト)」による方法が一番狭く、ついで「階段」、最後に「スロープ」になります。まだ歩くことができる方の場合、階段の高さを緩やかにすることが一番相性が良く、ついで段差解消機、スロープはとても相性が悪いです。車椅子の方はスロープか段差解消機との相性が良いといえます。

3つ全て設置することも可能ですが、その分スペースと費用が必要です。また、アプローチや玄関のリフォームはせず、庭にある窓部分に段差解消機を設置して、車椅子の親御さんの出入りはそこからしてもらうという方法もあります。

「階段」「スロープ」「段差解消機(移動用リフト)」全て介護保険サービスの「住宅改修」の対象です。段差解消機とスロープは、介護保険サービスの「福祉用具貸与」の対象でもあります。

製品代と合わせ、「階段」を緩やかにするリフォーム費用はおおよぞ20万円。「スロープ」を設置するリフォームはおおよそ20〜30万円。「段差解消機(移動用リフト)」を設置するリフォームはおおよそ40〜50万円です。

「福祉用具貸与(レンタル)」した場合、「スロープ」はおおよそ月500円。「段差解消機(移動用リフト)」はおおよそ月5,000円です。

色彩と照明

色彩と照明

階段の上り口や下り口、スロープの始まり部分などには「足元灯」を設置します。暗いとき、「足元灯」で明るく照らされていれば、その先に段差があることがはっきりわかるので安全だからです。

階段やスロープなどの途中、建物や設備によって影ができると、段差があるものと間違えて危険です。スロープや階段の途中に物を置かないようにするのは当然としても、スロープや階段に影がさすことのないよう、離れた場所に置くような配慮が必要です。

高齢者は特に、目が悪かったり、明暗を区別しずらかったりします。これも「心をバリアフリー化」の一つ。高齢者が影を段差と勘違いする可能性があること、理解と配慮の必要があります。スロープの始まり、階段の段鼻部分の色彩が異なっているのも同じ理由です。照明の設置料金は、製品代と合わせておおよそ5〜10万円です。

手すりの設置

玄関のバリアフリー化

足もとのバリアフリー化で安心を確保したら、手もとの安心も確保してより安全にします。アプローチに、手すりをもし片側にだけしか設置できないようでしたら、下りるときに聞き手になる側に手すりを設置します。アプローチに設置する手すりは、歩行を安定させるための手すりになります。

玄関に設置する手すりは、広さにもよりますが、メインは縦型の手すりになります。縦型の手すりは、立ったり座ったり、高めの段差を乗り上げたりを補助するための手すりです。そのため、式台やベンチのそばに配置することになります。
手すりを設置するためのリフォーム費用は、製品代と合わせておおよそ10〜20万円。手すりの設置も、介護保険サービスの「住宅改修」の対象です。

仕上げは滑りにくく移動しやすく

高齢者は身体機能が低下しているので、普通の床でもスケート場のように転びやすい状態です。そのため、手すりやスロープを設置しただけでは足りず、スロープや玄関の床の素材を滑りにくいものにリフォームする必要があります。

床を滑りにくくするためのリフォーム費用は、製品代と合わせておおよそ10〜20万円です。これも、介護保険サービスの「住宅改修」の対象です。

式台・ベンチの設置

式台は、玄関から部屋に上がる際の段差(上がりがまち)を解消できない際に設置します。ベンチは、腰をかけて靴を履き替える際に利用できます。費用は製品代と合わせて1〜3万円程度。

ドアの改修

引き戸タイプのドア

高齢者にとって開戸は使い勝手の良いものとはいえません。筋力が弱くなり身体機能が低下、そしてすり足の状態で、少し重い玄関のドアを開けることになります。歩くことも遅いので、外に出る前に扉が閉まってしまい、挟まれてしまう恐れもあります。車椅子を利用している方の場合、自分で開戸タイプのドアを開けることができません。

ドアの幅も考慮しなければなりません。車椅子の幅はおおよそ60センチメートル。それなりの広さがなければ、腕や指を引っ掛けてしまう恐れがあります。そのような危険を回避するためには、ドアの幅は最低でも75センチメートルは必要です。

車椅子利用の方も含め、高齢者にとって一番相性の良いドアは引き戸タイプのドアです。引き戸タイプのドアであれば、車椅子の方でも自分で開け閉めすることができます。自動的にドアが閉まる恐れもないので、挟まれる心配もありません。

もともと引き戸タイプの家庭であっても、下にレールがついているタイプの場合段差があります。この場合、吊り戸タイプのドアにリフォームした方がより安全です。吊り戸タイプのドアは、レールを必要としないので段差が解消されます。

万能のように感じる引き戸タイプのドアですが欠点もあります。小さなお子さんも一緒に暮らしている場合、元気が有り余っているので勢いよくドアを閉め、指を挟んでしまう危険があります。(ベビーカーを利用するほど小さいお子さんの場合は、車椅子同様に引き戸タイプの方が利用しやすい)

また、開戸より引戸の方が気密性と遮断性が低いので、室内の温度が逃げやすく、音も漏れやすい傾向にあります。吊り戸タイプであればより気密性と遮断性が低くなります。高齢者の場合、安全面を優先せざるを得ない状況にありますが、欠点もあること考慮しておきましょう。
開戸から引戸にリフォームする費用は、製品代と合わせておおよそ40〜60万円と高額です。引き戸へのリフォームは、介護保険サービスの「住宅改修」の対象です。

モニター付きインターホンの設置

防犯対策として、モニター付きインターホンの設置も考えましょう。録画機能がついたものであればなお安心。リフォーム費用は、製品代と合わせておおよそ10万円です。

リモコン付き電気錠の設置

親御さんが一人で暮らしている場合には、リモコン付き電気錠の設置も考えます。玄関を一人で上り下りすることが危険な方の場合、玄関に下りることなく、リモコンでドアの鍵を開けたり閉めたりできると安心です。それを可能とするのがリモコン付き電気錠。リフォーム費用は、製品代と合わせておおよそ10万円です。

情報をバリアフリー化

外出をあまりしなくなった親御さんには、外の情報がほとんどありません。「私がついているから大丈夫よ。」と言っただけでは安心できません。段差や階段、トイレなどの問題があるからです。

そこで情報のバリアフリー化を行います。目的地までの道のりの中の障壁(バリア)にはどんなものがあって、どのようにあなたが支援するかを説明するのです。基本的には、遠回りになってもバリアフリー化された道を選びます。どうしても避けられない場所だけ、あなたが援助するのです。
トイレがどのようなトイレで、どこにどれだけあるのかもだいたいでいいので説明しておきます。目的地までの道のりの中のトイレと、目的地にあるトイレの両方についてです。今では、多くの公共施設に、多目的トイレが一緒に用意されています。

親御さんにとっての障壁(バリア)が減れば減るほど、外出に前向きになってもらえる可能性が上昇します。障壁(バリア)は、あなたの心、家の玄関、そして外出先にあります。それら全てを取っ払ってあげましょう。

いかがでしたか。今回は心と玄関と情報のバリアフリー化リフォームについてご紹介しました。親御さんに笑顔で外出してもらうためには、親御さんの心に共感し、さまざまな障壁を取り除く必要があります。ぜひ参考にしてみてくださいね。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
家を売らなくても、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、家の金銭的価値を把握しておけば選択肢が増えますよ。

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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