自然環境から身体を守る
人が『衣服』を身につけようと考えたルーツと考えられています。暑さ、寒さ、紫外線、植物や動物などから身を守るために『衣服』を身につけます。
高齢者になると、さまざまな身体機能が低下してきますので、暑さや寒さに順応することが若い人に比べて難しくなっています。皮膚も傷つきやすく弱くなっていますので、『衣服』によって身体を守る必要があります。
体温をコントロールする
人が裸で快適に感じる室内温度は、おおよそ28度前後といわれています。28度を超えている場合、または下回っている場合は、『衣服』にて調節することになります。着心地も考慮して、季節にあった素材でできた『衣服』を着用するようにします。
高齢者になると、汗を掻く機能なども低下しますので、体温の調節が上手にできません。熱中症・脱水症状などになりやすいことを考えても、『衣服』によって体温をコントロールすることの重要さが明らかです。
皮膚の清潔を保つ
『衣服』は、細菌や汚れから皮膚を守る機能もあります。汗や排泄物を吸収して、においや汚れによる皮膚への刺激をできる限り抑えるといった役割もあります。
高齢者になると、心身の問題や介護者側の都合から入浴の回数が減っていますし、失禁することもあります。皮膚の清潔を保つためにも、高齢者にとっては『衣服』がとても重要な役目を果たしてくれます。状態に合わせて、吸湿性、透湿性、通気性などを考えた『衣服』選びが必要です。
生活リズムを作る
いつも家にいるから。いつも寝ているから。だからといって寝衣のままでいると、生活のメリハリを失ってしまいます。人と会うことを避けるようになり、皮膚を清潔に保つことも難しくなります。さまざまなことに消極的になり、気持ちは暗くなり、病気がちになります。
形から入ることも時には必要です。外出する目的が減少傾向にある高齢者にこそ、普段着、外出着、寝衣としっかり着替え、メリハリある生活を続けることで若々しいままで入られます。気持ちが前向きになり、外へ出たくなることもあるかと思います。
場の雰囲気を作る
TPOに合わせて、ネクタイを締めたり、和服を着たり、気が引き締まる場所へお出かけする刺激も重要です。
形から入って、ネクタイやジャケットを着て誕生会を開いてみたりすることも時には必要です。若い頃の記憶が刺激され、急にしゃんとしたり、饒舌になったりしてくれます。
自分を表現する
現代においては最も注目されている『衣服』の役割、ファッション性です。外出が難しくなってくる高齢者にこそ、自分を表現し続ける環境が必要なのではないでしょうか。
自分を表現し続けることができれば、親御さんはいつまでも若々しくいてくれるはずです。お化粧も含め、おしゃれをすることは脳を活性化させます。外出したい気持ちにもさせますので、やはり高齢者にこそ『衣服』は必要です。