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海馬(物忘れ)の萎縮から始まるアルツハイマー型認知症

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 アルツハイマー型認知症の初期症状である「海馬」(物忘れ)の萎縮をテーマに、「海馬」の役割や萎縮されることによる具体的症状、「海馬」の萎縮の抑制や認知症の進行を遅らせる方法などについてご説明します。

記憶を担っている海馬の萎縮から始まるアルツハイマー型認知症

 脳内の老廃物であるアミノ酸。アミノ酸が蓄積されることで、脳の神経細胞が死滅、萎縮(縮む)していきます。

萎縮は、記憶を担っている「海馬」という部分から始まり、徐々に脳全体に広がていきます。そのため、アルツハイマー型認知症の初期症状は物忘れです。

海馬が萎縮してくると記憶できないし引き出せない

海馬は記憶の窓口

 「海馬」の働きの一つに、記憶の窓口というとても重要なお仕事があります。街で流し見する風景、本などの知識、旅行などの体験、綺麗な海や山の景色、料理や仕事などの手順、これら外部の情報を、短く記憶するか、長期的に記憶するのか選別しています。

窓口業務は、記憶の選別だけではありません。長期記憶に格納される情報を、あなたが必要とするときに、あなたにお届けしてくれるのです。記憶するときにも、記憶を引き出すときにも、「海馬」の活躍あってこそです。

海馬は短期記憶も担当

 「海馬」に集まった情報の中で、長期記憶に選別すべきでないと判断された情報は、一時「海馬」に短期記憶されます。窓口である「海馬」が、一時的に情報を預かってくれる形になります。

この一時の時間は意外に短く20秒程度。そのため、持続して覚えておこうとしない限り、20秒以上経過したら忘れてしまいます。

海馬は感情の波が強い情報ほど長期記憶する脳へ宅配する

 「海馬」の働きは、記憶の選別であり記憶の指揮者でもあります。「海馬」は、その新たに得られた情報を、感情の波の強さで、短期記憶として自らが一時保存するか、長期保存するために外部の脳に送るべきかを選別しています。

感情を感じられない情報は、「海馬」が自らいっとき預かり、消去していきます。喜怒哀楽など、感情を感じる情報は、「海馬」以外の長期保存用の脳にお届けする宅配業もします。

海馬が萎縮するとどうなるのか

短期記憶できなくなる

 「海馬」の役割の一つ、短期記憶のお仕事をすることができなくなるので、今自分で言ったことをすぐに忘れて、同じことを何度も言ったりします。

食事した記憶が丸ごとなくなるので、食事したそばからご飯を要求されることもあります。自分で置いた財布の記憶もすっぽり失われるので、誰かに盗まれたのだと勘違いします。

今いる場所や今の時間がわからなくなってしまいますし、手順を踏まえる料理などの作業ができなくなります。

長期記憶もできなくなる

 感情を伴う情報を、長期記憶する外部の脳へお届けしなければならないのに、それができなくなってしまいます。

そのため、新しいことを覚えることができなくなります。何度スマホやテレビの操作を教えても、覚えてもらえない可能性が非常に高い状態です。

思い出すこともできなくなる

 「海馬」は、長期記憶をあなたにお届けする仕事もしていますが、それもできなくなってしまいます。そのため、食事や排泄、入浴や着替えなど、できる時とできないときが出てきます。

言葉の意味を思い出せなくなることが増えてきますし、家族だと認識できないことも増えてくるでしょう。

海馬は始まりに過ぎず、徐々に長期記憶を担当する脳も萎縮する

 「海馬」は記憶の窓口ですから、「海馬」が萎縮するだけでも大変なことだと、理解できたかと思います。しかし、アルツハイマー型認知症の「海馬」の萎縮は、ただの始まりにすぎません。

「海馬」は、長期記憶する脳に保管される情報を引き出してくる役割がありますが、「海馬」だけが萎縮している初期の場合、まだ長期記憶である昔の思い出や生活動作などは覚えています。

上手に引き出すことができないだけです。そのため、できるときもあれば、思い出をお話ししてくれることもあります。

しかし、初期から中期、中期から後期へと、脳の萎縮が全体に広がっていくと、長期保存された情報そのものが失われていきます。

海馬は感情の波を感知するので、五感で刺激すれば鍛えられるし記憶されやすい

 「ある曲を聴くと昔の彼を思い出す。」「ある花の香りを感じると、あの女性を思い出す。」そんな経験が誰にでもあるのではないでしょうか。

感情の波が強ければ強いほどに長期記憶され、その感情を揺さぶられる五感を刺激されると、昔の思い出を引き出されます。

 「海馬」は、短期記憶するか長期記憶するかを選別するために、感情を材料にしています。そのため、感情を生み出すもとである五感を刺激することで、認知症の進行を抑制できると考えられています。

五感は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つです。綺麗な花を見て感動して、その花の香りを感じて心地さを感じます。

バイオリンやピアノが奏でる美しい音色をに耳を傾け、人の温もりや肌触りのいい衣服や寝具で安心や癒しを得ることができます。

食事は味覚と視覚、触覚、臭覚、聴覚、五感全てを刺激することのできる究極の行為です。私たちが求める、心地よい環境を継続して提供することができれば、認知症進行の速度を遅くすることができます。

「海馬」は、感情の波の大きさで長期記憶すべきか選別しているので、五感を刺激する体験やエンターテインメントや娯楽、趣味や好きな行為などは、記憶に残りやすいといえます。

嫌な感情ほど記憶に残りやすいので注意

 嫌な思い出と良い思い出、どちらの方が多く残っていますか。多くの方が嫌な記憶の方が強く残っていると回答するのではないでしょうか。

人は、恐怖や悲しみ、嫌悪や不快など、ネガティブな感情を伴う体験の方が記憶に残りやすいという特徴があります。自らの身を守るため、危険回避のために、ネガティブな感情を優先して記憶するのです。

そのため、認知症で新しいことを覚えることができない状態であっても、嫌な思いをした体験だけは覚えていたりします。

古い記憶を思い出しづらくなってきても、嫌な思い出だけはすぐに話すことができるほどに覚えていることもあります。

例えば、認知症の方が一度浴室で転倒し、痛い思いと恐怖を感じてしまうと、認知症の状態であったにもかかわらず、それを記憶として残し、その後の入浴を拒否するようになるなんてこともあります。

そのため、できる限り嫌な感情を避けた行動を心がける必要があります。これは、認知症の方だけに限ることではありません。認知症であろうとなかろうと、誰もが嫌な行為を避けようとします。

入浴など、本来心地よく感じる行為を、嫌な行為だと一度感じさせてしまったら、その後の入浴が大変になってしまいます。

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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