「認知症」と間違われやすい『せん妄』。一見「とうとう認知症になってしまったのか。」と思ってしまいがちですが、実は『せん妄』かもしれません。
「認知症」と『せん妄』は別の病気。そのため、「認知症」と『せん妄』が同時に発症することもあります。
今回は、「認知症」と対比しつつ、『せん妄』についてをご紹介します。
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死に至ることもある『せん妄』概要
『せん妄(譫妄)』とは、意識障害が起こって、頭が混乱した状態をいいます。ぼんやりしたり、言動が明らかにおかしくなったりします。
時間、場所がわからなくなったり、幻覚を見たり、興奮したり。入院中、点滴のチューブを抜いたり、ベッドから落ちたり、生命を脅かす危険な状態になることもあります。
『せん妄』の症状
- 自分がどこにいるのかわからない
- 今日が何月何日かわからない
- 幻視を中心とする幻覚や妄想
- イライラしていたり、怒鳴ったり、動き回ったり、暴力を振るうなどの興奮状態
- 一つのことに集中できない
- 会話が噛み合わない、つじつまが合わない
- 不眠や昼夜逆転などの睡眠障害
- 睡眠中も落ち着きがない
- 人格が変わったと感じる
- 会話が減ったり、反応が薄かったり、表情の変化が乏しくなったり、ぼんやりしている
- 無気力で、あまり食事しなかったり、寝てばかりいる
- 興奮していたかと思ったら、急に無気力になる
『せん妄』の症状を、専門用語を排除して、箇条書きにしてみました。やはり「認知症」と何が違うのか、はっきり違いを捉えることはできません。
認知症と似ていて非なる『せん妄』の7つの特徴
- 急に発生するので「いつから」と症状が出た日がはっきりしている
- 症状が一時的なので、数時間から数週間でもとに戻る
- たった1日でも症状の変化が激しい
- 一つのことに集中することができない
- 周りの状況把握が難しい
- 意識がはっきりしておらず、幻覚や錯覚などが見られる
- 病気、服薬中の薬、アルコールなど、原因となりうる変化があった
『せん妄』の特徴は、以上7つのような内容です。「認知症」の場合、急に発症するわけではないので、「いつから」を特定することができません。
「認知症」は、一度発症してしまうと基に戻ることもありませんし、たった1日で症状が急変することもありません。
また「認知症」の場合、比較的意識ははっきりしていますし、一つ一つの症状は真逆です。もともと「認知症」の方が、『せん妄』を発症することもあります。
『せん妄』の原因となり得るもの
加齢
認知症、服薬中の薬、脱水や感染症、環境変化などによるストレスなどの影響で、高齢者は特に『せん妄』を起こしやすいと言われています。
病気
病気もまた、高齢者が特に『せん妄』を起こしやすい理由の一つになっています。脳疾患、糖尿病、心臓・肺・腎臓・肝臓などの不全、甲状腺疾患、パーキンソン病、悪性腫瘍、感染症、脱水、低栄養、便秘など。
薬
病気に関連しますが、薬もまた、高齢者が特に『せん妄』を起こしやすい理由の一つ。鎮静薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬、パーキンソン病治療薬など。薬をやめた場合にも『せん妄』の原因になります。
手術
同じく病気に関連しますが、手術も、高齢者が特に『せん妄』を起こしやすい理由の一つ。手術は、環境や身体機能に変化をもたらせますし、酸素レベルの低下や鎮静剤、痛み、ストレス、入院そのものなどが『せん妄』の原因となり得ます。
身体的・精神的苦痛を伴う環境の変化
環境の変化も、高齢者が特に『せん妄』を起こしやすい理由の一つです。視覚や聴覚の衰え。身体能力低下によるストレス。今までの生活とは異なる環境での暮らしなども『せん妄』の原因になりえます。
いかがでしたか。今回は『せん妄』と「認知症」の違いについてご紹介しました。比べて見ると、症状が真逆の部分がありました。ぜひ参考にして見てくださいね。