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介護福祉士の受験資格『実務者研修』とは?

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2016年から介護福祉士の資格試験に『介護福祉士実務者研修』の修了が義務付けられました。2019年からは『実務者研修』資格がサービス提供責任者(サ責)の最低条件となります(「初任者研修(ホームヘルパー2級)」は除外されます)。

介護職 資格のキャリアパスにおいては、介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)の上級資格に位置づけ。すでに廃止された「ホームヘルパー1級」と「介護職員基礎研修」の資格に相当する資格です。今回は『実務者研修』についてご紹介します。

『実務者研修』とは

『実務者研修』導入の背景

『実務者研修』とは、旧 ホームヘルパー1級+旧 介護職員基礎研修+αの資格です。旧 ホームヘルパー1級は旧 ホームヘルパー2級の上位資格、旧 介護職員基礎研修は旧 ホームヘルパー1級の上位資格でした。

旧 ホームヘルパーの資格は在宅介護向けの知識や技術を習得する資格。旧 介護職員基礎研修は社会福祉、認知症、医療・看護との連携などより専門的な資格でした。

しかし旧 ホームヘルパー2級<旧 ホームヘルパー1級<旧 介護職員基礎研修の3つの資格は、一緒に設計された資格ではなかったのか、研修内容が重複しているなど効率が悪かったのです。

そこで介護福祉士を目指す新しくシンプルなキャリアパスとして、初任者研修→『実務者研修』→介護福祉士という実務経験ルートが整備されました。

「介護職員初任者研修」の上位資格『実務者研修』の受講科目はほぼ同じだけどより専門的

 『実務者研修』の受講内容は、「初任者研修」の受講科目とほぼ同じです。

  • 人間の尊厳と自立
  • 社会の理解I・II
  • 介護の基本I・II
  • コミュニケーション技術
  • 生活支援技術I・II
  • 発達と老化の理解I・II
  • 認知症の理解I・II
  • 障害の理解I・II
  • こころとからだのしくみI・II
  • 介護過程I・II・Ⅲ
  • 医療的ケア(通信)

上の受講科目のうち初任者研修で受講しない科目はコミュニケーション技術と発達と老化の理解、医療的ケアの3科目のみです。そのほかの科目については、I・IIに分けれている科目についてはIのみすでに、初任者研修にて受講済みになるという仕組みです(生活支援技術だけはI・II両方受講済み)。

『実務者研修』は初任者研修ですでに学んだことを、より深く専門的に掘り下げた内容を学ぶことになります。

「ホームヘルパー1級」「介護職員基礎研修」取得者は『実務者研修』修了者として見なされない

ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修を取得されている方は、廃止されたとはいえその資格が無駄になることはありません。ただしホームヘルパー2級と異なり、修了者としてみなされることはありません。

ホームヘルパー1級資格を持っている方は、『実務者研修』全19科目のうち1科目の自宅学習(約2ヶ月)と2科目(約1週間)の通学講習を受けるだけで『実務者研修』を取得することができます。

介護職員基礎研修資格取得者はさらに少なく、1科目の自宅学習(約1ヶ月)と1科目(約2日間)の通学講習を受けるだけで『実務者研修』資格の取得が可能です。

無資格者450時間(約6ヶ月) 資格取得者50〜320時間(1~4ヶ月)の研修

『実務者研修』は450時間の受講科目を受講しなければ資格を取得することができません。とても長いです。期間にすると約半年。無資格の方は約6ヶ月もの間無資格で介護の仕事をしながら『実務者研修』取得に励まなければなりません。

上で軽く触れましたが、初任者研修もしくはホームヘルパー2級の資格を取得されている方はすでに一部の受講(130時間)が済んでおりますので、450-130時間の320時間(約4ヶ月)の受講だけで『実務者研修』の資格を取得することが可能。

ホームヘルパー1級資格取得者は95時間(約2ヶ月)。介護職員基礎研修資格取得者は50時間(約1ヶ月)で『実務者研修』の資格取得ができます。ほとんどすべて自宅学習にて『実務者研修』の資格取得が可能になっていますが、介護過程Ⅲと医療的ケアの一部に関しては通学して講習を受ける必要があります。

通学講習の期間は約1週間。ただし介護職員基礎研修資格を持っている方だけは介護過程Ⅲの通学講習が免除になりますので2日間くらいの通学講習で済みます。
 

『実務者研修』取得のメリット

「介護福祉士」の試験を受けることができる

介護福祉士資格は介護の資格の中で唯一の国家資格です。『実務者研修』の上位資格に位置付けられ、介護資格のキャリアパスも介護福祉士を目指すものとなっています。それだけ介護のお仕事に専門的な知識と技術が必要だということ。特に介護における介護福祉士の役割は他の介護職員を導くリーダー的存在。それだけ高い専門性が求められるのです。

そんな介護福祉士の受験資格ですが、実務経験3年以上に加え『実務者研修』の修了が必須となっております。介護福祉士を目指すならまず『実務者研修』の取得です。

訪問介護事業所の「サービス提供責任者(サ責)」になって計画書の作成ができる

サービス提供責任者(サ責)は、訪問介護事業所に必要になる人材であり、訪問介護サービスの実施計画を立て、訪問介護員の指導や管理を行う役割をもっています。資格ではありません。役割はとても多いので箇条書きにしておきます。

  1. 訪問介護計画の作成
  2. 利用申込みの調整
  3. 利用者の状態やサービスニーズの把握
  4. 居宅介護支援事業者(ケアマネ)との連携 (サービス担当者会議出席等)
  5. 訪問介護員に対するアドバイス、指示、情報伝達
  6. 訪問介護員の業務の実施状況の把握
  7. 訪問介護員の業務管理
  8. 訪問介護員に対する研修、技術指導等

ほとんどケアマネのような管理業務を行う立場。介護福祉士取得後はケアマネを目指したいとお考えの方にもオススメの職業でもあります。また、介護や福祉の仕事に携わりたいけど現場で働くのが苦手、もしくは身体的理由で現場で働くことが困難といった方にも、比較的オススメできる職業です。

サービス提供責任者(サ責)になるには、介護福祉士、実務者研修修了者(ホームヘルパー1級/介護職員基礎研修 修了)の資格が必要です。3年以上の経験がある方は、初任者研修(ホームヘルパー2級)資格取得者でもなることが可能ですが、報酬の減算対象ですし2019年からはサービス提供責任者(サ責)の条件から除外されます。

「初任者研修」に比べ1〜5万円も給与アップ

『実務者研修』の資格を取得すると初任者研修の時に比べ、おおよそ1〜2万円の給与アップを見込むことができます。『実務者研修』の取得かつサービス提供責任者(サ責)に従事した場合、2〜5万円の給与アップが期待できる場合もあります。

初任者研修の資格の場合年収300万円前後かと思いますが、『実務者研修』であれば350万円前後の年収が期待できます。

無資格・介護未経験16歳以上であれば『実務者研修』を受講できる

『実務者研修』は、無資格・介護未経験でも受講することができます。16歳以上の方が対象。

『実務者研修』の受講料は3〜15万円

『実務者研修』の受講科目は現在持っている資格によって免除を受けることができます。それに伴い受講料も大きく異なります。介護職員基礎研修資格を取得されている方は50時間の受講で『実務者研修』が終わってしまいますのでおおよそ3〜4万円の受講料。

95時間と2番目に受講時間の少ないホームヘルパー1級資格取得者の場合は6~8万円。初任者研修(ホームヘルパー2級)取得者は9〜12万円になります。無資格者の方はもちろん最も高額になり10〜15万円の受講料。

「初任者研修」の上位資格で、「介護福祉士」の受験資格が『実務者研修』

『実務者研修』は介護職の入門・入り口に位置付けられる資格・初任者研修の上位資格に位置付けられ、さらに上位の資格介護福祉士の受験資格でもあります。介護職員初任者研修→介護福祉士実務者研修→介護福祉士と介護資格のキャリアパスが用意されています。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
家を売らなくても、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、家の金銭的価値を把握しておけば選択肢が増えますよ。

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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