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自宅生活なのにまるで施設!定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは

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 親御さん本人にとって、いちばんの望みは自宅で暮らすことです。しかし、家族にとっていちばん安心なのは、施設で暮らしてもらうこと。常に介護職員がそばにいてくれる安心感は、自宅での生活では得られないものと思っていませんか。実は、自宅で暮らしているのに、施設で暮らしているかのような、夢のようなサービスがあります。今回は定期巡回・随時対応型訪問介護看護についてご説明します。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは

 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、一日複数回、訪問介護員(ホームヘルパー)による短時間の「定期巡回サービス」と、サービスを利用する親御さん、またはその家族からの連絡により応対・訪問を行う「随時訪問サービス」「随時対応サービス」、主治医の指示があった場合に看護師等が利用者の自宅を訪問する「訪問看護サービス」4つを組み合わせたサービスです。

 自宅で暮らしながら、まるで施設で暮らしているかのような、安心感のあるサービスが実現します。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用できる人

 要介護1〜5の方だけ。地域密着型サービスなので、定期巡回・随時対応型訪問介護看護がある場所と、同じ市町村に住む方だけが利用できます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護で働く職員

訪問介護員
介護の専門知識を持った、介護福祉士、介護職員基礎研修、訪問介護員1級、訪問介護員2級、介護職員初任者研修、訪問介護員3級などの資格を持った職員が、親御さんの自宅を訪問して介護します。
オペレーター
医療・福祉・介護に関する専門知識を持った看護師、准看護師、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員などが、親御さんまたは家族の連絡を受け、状況判断の上必要な相談、対応をしてくれます。
看護師
保健師助産師看護師法に基づき、看護師養成所(学科を3年以上)を卒業し、看護師国家試験に合格することで得られる、看護師免許を与えられた、療養上の世話または診療の補助を行う職員です。主治医から訪問看護指示書が発行された場合に、親御さんの自宅に訪問し、必要な処置をしてくれます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の具体的サービス

定期巡回サービス

 「定期巡回サービス」とは、ケアプランに基づいて、ほぼ決められた時間に、ホームヘルパーが巡回してくれるサービスです。似たサービスに、訪問介護がありますが、下記のように洗顔と歯磨きだけのような短時間サービスは、訪問介護では実現できません。

  • 8時に洗顔と歯磨きだけしてホームヘルパー帰宅(約10分)
  • 9時にまた来て、朝食の介助と排泄介助だけして帰宅(約60分)
  • 12時にまた来て、昼食介助と排泄介助、掃除だけして帰宅(約60分)
  • 15時にまた来て、おやつと水分補給だけして帰宅(約30分)
  • 18時にまた来て、夕食介助と排泄介助だけして帰宅(約60分)
  • 21時にまた来て、着替え、歯磨き、排泄介助だけして帰宅(約15分)
  • 0時にまた来て、寝返り介助(体位交換)だけして帰宅(約5分)
  • 3時にまた来て、オムツ交換と寝返り介助(体位交換)だけして帰宅(約5分)
  • 6時にまた来て、寝返り介助(体位交換)だけして帰宅(約5分)
  • トータル約250分(4時間10分)

随時訪問サービス・随時対応サービス

 「随時訪問サービス」「随時対応サービス」とは、24時間365日、親御さん、またはその家族からの連絡を受け付けてくれるサービスです。連絡すると、親御さんの心身の状態、状況、環境等を把握した上で、必要な相談と援助、ホームヘルパー等の訪問、もしくは看護師等による対応などを判断して、必要なサービスを提供してくれます。

訪問看護サービス

 「訪問看護サービス」とは、主治医の指示があった場合に、看護師等が親御さんの自宅を訪問して、治療など医療的な対応をしてくれるサービスです。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用するまでの流れ

  1. ケアマネージャーに「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を利用したいと希望します。状況・状態によってはケアマネージャーに勧められることもあります。
  2. 具体的にどこの会社にお願いするか決めます。
  3. ケアマネージャーが、決めた「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の会社に連絡してくれます。
  4. ケアマネージャー、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の職員、親御さんとその家族が、大まかな利用時間等を話し合います。
  5. 話し合いをもとにできた仮の「ケアプラン」を確認し、問題がなければ「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と契約します。
  6. 決定した「ケアプラン」を確認し、問題がなければ同意します。
  7. 「ケアプラン」の内容に沿ってサービスが提供されます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用料金

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の料金は、毎月定額制です。下記の料金表には、実際に毎月お支払いするおおよその料金を記載しています。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本料金(単位:円/月)訪問看護利用なし
要介護度 料金全額 自己負担1割
要介護1 約76,580 約7,658
要介護2 約121,000 約12,100
要介護3 約187,690 約18,769
要介護4 約232,120 約23,212
要介護5 約276,540 約27,654
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本料金(単位:円/月)訪問看護利用あり
要介護度 料金全額 自己負担1割
要介護1 約76,580 約10,255
要介護2 約121,000 約14,897
要介護3 約187,690 約21,686
要介護4 約232,120 約26,268
要介護5 約276,540 約31,399

※平成28年4月施行された、平成29年7月時点での料金表と限度額をもとに計算しています。
※地域によって多少異なります。
※通常は1割負担です。
※年金+年収が280万以上の方は2割負担。
※2018年8月からは、年金+年収が340万以上の方は3割負担の予定。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用するメリット

料金が安い

 自宅で暮らしながら、まるで施設で暮らしているかのような安心感の得られるサービスです。なのに、施設に比べて圧倒的に安い料金。

訪問介護より柔軟

 訪問介護のサービスは、20分間1回で165円、30分間1回で245円といった形で、あるてどまとまった時間で介護サービスが提供されるので柔軟性がありません。定期巡回・随時対応型訪問介護看護なら、自宅の目の前を通ったから、ついでに少し様子を見るだけといったことが可能です。しかも、定額制なので、たくさんの訪問があっても料金は一緒。必要な時に必要なことだけ介護、支援をしてもらえます。

24時間365日

 これもまるで施設並みの対応です。夜間だろうと正月だろうと、いつでも連絡することができ、必要な対応を取ってくれるので安心です。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用するデメリット

まだ新しいサービスなので課題が不透明

 比較的新しいサービスです。そのため、このサービスを利用することで、どのようなことが起きるか、未だ不透明な部分があります。便利で柔軟性のあるサービスですので、インターネット同様、セキュリティに関する課題にも目を向けなければなりません。

定額制の未知数

 食べ放題と同様、定額制は、料金的に安心な反面、あまり利用しない方にとっては割高。逆に、くいっパクれがないようにと、誰もが必要以上のサービスを入れてしまってもいけません。人手が足りていない業界です。これでは、必要な時に必要なサービスが受けられなくなってしまいます。この辺のさじ加減を、ケアマネージャーを中心に、どう舵を取っていくかが大きな課題です。

ボタンを押すだけで電話をかけられる簡単な連絡手段とは限らない

 「夜間対応型訪問介護」と呼ばれる、夜間専用のホームヘルパーが訪問してくれるサービスがあります。「夜間対応型訪問介護」の場合、会社が無料でボタンを押すだけで電話できる機械を設置しなければならないので、機械にうとい高齢者でも比較的簡単に利用できます。

 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の場合、その簡単なボタンを押すだけの機械を設置しなければならないとうい決まりがありません。押すだけ簡単なボタンを提供しているところもあれば、普通に電話をかけなければならないところもあります。

併用できないサービスがある

 定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、訪問介護と訪問看護と夜間対応型訪問介護がくっついたようなサービスです。そのため、訪問介護と訪問看護と夜間対応型訪問介護、3つのサービスは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と併用してサービスを利用することができません。

 訪問介護や訪問看護、夜間対応型訪問介護をすでに利用している方にとっては、慣れ親しんだ職員からのサービスが受けられなくなりますので、利用する際には注意が必要です。

 いかがでしたか。今回は定期巡回・随時対応型訪問介護看護についてご説明しました。これなら、親御さん自宅で暮らし続ける望みを叶えつつ、家族の不安も取り除くことができるのではないでしょうか。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
家を売らなくても、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、家の金銭的価値を把握しておけば選択肢が増えますよ。

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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