自宅で暮らす親御さんの要介護度が重度化した場合の入浴、どうしますか。感染病になってデイサービスでの入浴を断られてしまったらどうしますか。親御さんの自宅にお風呂がないのに、銭湯にも行けなくなったらどうしましょう。そんな入浴に関する不安や悩みを解決してくれるサービスがあります。今回は訪問入浴介護について説明します。
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(介護予防)訪問入浴介護とは
訪問入浴介護とは、あなたの親御さんが自宅のお風呂に入ることが難しくなってきた場合に、看護師1名と介護職員2名が、専用の浴槽を持って親御さんの自宅に訪問し、脱衣から入浴後のバイタルチェックまで、お部屋にて入浴介助をしてくれるサービスです。
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訪問入浴介護に必要なスペースはたたみ2畳分あれば足りる
見たことのない方にとっては、「専用の浴槽を持って、お部屋にて」という部分に違和感を感じるかと思いますが、本当に浴槽を持参されます。幅は約75センチ、長さが約2メートル、深さ約50センチの浴槽です。おおよそ、たたみ1畳分の大きさで、膝くらいまでの高さ。浴槽がたたみ一畳分なので、移動と職員が体を洗うことを考えると、たたみ2畳分もあれば十分です。
この浴槽は、ほとんどの場合半分に割れる仕組みになっているので、どんなに狭い部屋でも問題なく持ち運ぶことができます。訪問入浴介護は、自宅の浴槽に入ることが難しいというのが前提になっています。そこで、「だったら、入浴しやすい浴槽を持ち運んでしまおう。」という単純かつ確実な発想。
「深さが足りないのでは。」と思われた方もいらっしゃるでしょうが、この浴槽では仰向けになって入浴してもらうので、むしろ丁度良い深さ。自宅の浴槽での入浴が難しくなってしまっているということは、親御さんの体がそれだけ不自由になっているということ。その状態で、ツルツル滑る浴槽に座り続ける姿勢を保つというのは非常に難しく、逆に疲れてしまうので、仰向けの状態で入浴してもら方が本人にとって疲れない姿勢なのです。
訪問入浴介護の具体的サービス
- 看護師が、血圧・脈拍・体温などの健康チェックし、入浴できるかの判断をします。
- 介護職員が、健康チェックの間に浴槽を部屋に設置し、お湯を張ります。
- ベッドから浴槽に移動、または搬送します。
- 髪を洗います。(洗い流したお湯は、浴槽にたまったお湯には混ざらない仕組みです。)
- 入浴してもらいます。
- 体を拭き、ベッドへ搬送し、着替えを済まし、髪を乾かします。
- 看護師が、血圧・脈拍・体温などの再測定をして、入浴後の健康チェックします。
- 着替えや健康チェックの間に浴槽を片付けます。
到着から片付けまで、おおよそたったの45分程度で終わります。準備と片付けに10分づつ、合計20分くらいかかるので、25分くらい、ゆっくり入浴できていることになります。
訪問入浴介護サービスを利用できる人
要支援1〜2の方は介護予防訪問入浴介護を利用できます。要介護1〜5の方は訪問入浴介護を利用できます。
要支援1〜要介護5と全ての要介護者が利用可能ですが、自宅の浴槽に入浴することが難しくなってしまった人が利用するサービスなので、ほとんどの方は要介護4〜5と、比較的体の不自由な人が利用しています。
要支援1〜2の方に対する訪問入浴サービスは、サービスを提供する目的が介護予防ですので、ほとんどのことを自分で行うことになります。職員数も、看護師1名と介護職員1名と、訪問入浴介護より1名少ないです。
また、要支援1〜2であれば全員、介護予防訪問入浴介護を利用できる訳ではありません。要支援1〜2の方は、自宅に浴槽がない人や感染病などが原因で施設の浴槽が利用できないなど、特別な理由がない限り利用することができません。
訪問入浴介護の利用料金
看護師が体調を見て、全身浴は「やめておきましょう。」と判断した場合は、部分浴、もしくは清拭になります。もちろん、中止になることもあります。
サービス内容 | 料金全額 | 自己負担1割 |
---|---|---|
要介護1〜5全身浴 | 12,340 | 1,234 |
要介護1〜5部分浴・清拭 | 8,640 | 864 |
要支援1〜2全身浴 | 8,340 | 834 |
要支援1〜2部分浴・清拭 | 5,840 | 584 |
※平成28年4月施行された、平成29年7月時点での料金表です。
※地域によって多少異なります。
※通常は1割負担です。
※年金+年収が280万以上の方は2割負担なので2倍してください。
※2018年8月からは、年金+年収が340万以上の方は3割負担の予定です。
訪問入浴介護を利用する際の注意点
訪問入浴介護サービス料金の他、水道代と電気代がかかる
浴槽に貯めるお湯に関してですが、これは自宅の水と電気を利用します。訪問入浴介護の料金からは、水と電気代の請求はされません。その都度、自宅の水と電気を利用させてもらうからです。訪問入浴介護サービスは、サービス料金の支払いのほか、利用した水道代と電気代がかかることを覚えておきましょう。
訪問入浴の際、看護師1名と介護職員2名が乗ってくる、浴槽が積まれたワゴン車には、給湯器も積まれています。部屋に浴槽を運び、親御さんの自宅の水道から水を一度車の給湯器に通し、自宅の電気を借りてお湯に変え、それをホースで浴槽につないで浴槽にお湯をためる仕組みです。
ホースは約50メートルから70メートルくらいありますので、駐車スペースの問題から、多少車と浴槽までの距離が遠くても、2階、3階であっても、問題なく使えます。ホースでは足りないほどの距離が離れている場合などは、自宅の浴室にある浴槽にお湯をため、このお湯を持参した浴槽に移すという方法になります。この場合、水道代、電気代のほか、ガス代も発生します。排水は、排水専用のホースで、自宅の浴槽などに流されます。
入浴介助は、訪問介護やデイサービスでも利用できる
在宅での入浴介助を希望する場合、実は「訪問介護」や「デイサービス」でも利用できます。特に問題がなければ、より安い「訪問介護」や「デイサービス」での入浴サービスで十分です。
訪問入浴介護を利用するメリットの1つは、要介護度が重度になっても利用できるところです。自宅の浴室は、温泉とは違いどこの家庭も広くはないでしょう。1人で入ることを想定されて作られているので当然です。
訪問介護における入浴サービスの場合、介護が必要になった親御さんを介助するために、介護職員も浴室に入らなければなりません。しかも、滑りやすく危険。このような状態で、今よりもどんどん身体機能が低下していき、体が動かなくなって来たらどうでしょう。1人の訪問介護員ではもう対応できなくなるでしょう。体の大きい親御さんであればなおのこと。
訪問入浴介護を利用するメリットのもう1つは、入浴を必要とするあなたの親御さん1人に対して、看護師1名と介護職員2名、合計3名もの入浴専用スタッフがサービスしてくれる点。この状態なら、親御さんがどれだけ重度で、どれだけ動けなく、どれだけ体が大きかったとしても安心です。
デイサービスの場合、それなりの職員数が揃っています。デイサービスの規模によっては、介護職員以外も含めると15名近いスタッフが揃っているでしょう。しかし、デイサービスは1人の職員で6〜10名の高齢者の介護をしなければなりません。そもそも、デイサービスの中心は入浴ではありません。また、感染するような病気にかかってしまった場合には、デイサービスの利用は難しいでしょう。
このように訪問入浴介護は、「訪問介護」や「デイサービス」に比べると高いように感じますが、実は、3名もの入浴専用スタッフが、たった1人の親御さんのためにサービスしてくれる形態なので、むしろ安いといえます。そして、親御さんがどんなに要介護度が高く動けなくなっても、感染するような病気になってしまっても、どれだけ体が大きくても、安心・安全に入浴できるのです。
異性による入浴介助を避けるのが難しい
訪問入浴介護を利用するデメリットは、お母さんの入浴サービスに対し、男性職員による入浴介護もあり得るという点。訪問入浴の問題は、力仕事を必要としているところです。浴槽を部屋に運んだり、親御さんをベッドから浴槽に運んだり、比較的力仕事の多いサービスです。
ワゴン車の運転もしなければなりません。女性の場合、自分の車であればまだしも、慣れない車を運転することに、かなりの抵抗を感じるはずです。
もし、お母さんが男性職員からの介護に抵抗を感じるようでしたら、浴槽を部屋に運ぶなどの準備やお母さんをベッドと浴槽とに運ぶ場合以外には、外にいてもらうようお願いすることもできます。
車の中に給湯器が設置されているので、ホースなどの管理を含めると、外での仕事もかなりあります。そのようなお願いでも無理なく対応してくれるはずです。抵抗を感じる方は遠慮なく確認しましょう。
入浴以外のサービスもしてくれるかどうか確認する
入浴後に行った方が良い処置やサービスは多々あります。爪切りや耳かき、塗り薬などです。訪問入浴介護の場合看護師もいますので、どこまで対応してくれるか聞いて見ましょう。大体のことは毎回やってくれるはずです。
ただし、内容によっては「次回でもいいですか。」と言われる場合もあります。次に訪問する時間が決まっているからです。必ず処置しなければならない処置は、前もって伝えておけばしっかりやってくれるはずです。
いかがでしたか。今回は訪問入浴介護についてご説明しました。訪問入浴介護サービスなら、自宅で暮らす親御さん身体機能が大きく低下しても、感染病になっても、自宅にお風呂がなくても、入浴に関する不安や悩みは解決です。