介護保険制度を理解する

自宅で暮らす高齢者の不安と危険が解決する訪問系介護サービスとは

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自宅で暮らす親御さんが65歳を過ぎてくると、色々と不安になってきますよね。テレビでは、自動車の運転の問題や詐欺の問題、病気や怪我など、高齢者に関する様々な不安になる情報が飛び交っています。しかも、それら全て現実に起こりうることなのです。そんな不安や危険をほぼ解決してくれるサービスがあります。今回は訪問系介護サービスについて説明します。

訪問系介護サービスとは

訪問介護

訪問系介護サービスとは、訪問介護員(ホームヘルパー)が、あなたの親御さんの自宅を訪問して、食事、入浴、排せつなどの介護や調理、買い物、洗濯、掃除などの家事を行なってくれるサービスの総称です。訪問系介護サービスの目的は、あなたの親御さんが、住み慣れた地域・自宅でも、自立した日常生活が送れるようサポートすることにあります。

訪問系介護サービスの種類と特徴

それぞれのサービスがそれぞれを補完し合っています。

訪問系介護サービスの種類と特徴
項目 訪問介護 訪問型サービス (介護予防)訪問入浴介護 夜間対応型訪問介護
いつ 日中(おおよそ8〜18時) 日中(おおよそ8〜18時) 日中(おおよそ8〜18時) 夜間(18~8時)随時訪問やオペレーションは24時間対応しているところも。
どこで 親御さんの自宅で 親御さんの自宅で 親御さんの自宅で 親御さんの自宅で
どこの誰が 訪問介護を提供する会社で働く、訪問介護員(ホームヘルパー)1人 訪問介護員(ホームヘルパー)1人(サービスによって提供する会社が異なる) 訪問入浴介護を提供する会社で働く、ホームヘルパー2人(介護予防は1人)と看護師1人 夜間対応型訪問介護を提供する会社で働く、ホームヘルパー1人
誰に(対象者) 要介護1〜5 要支援1〜2
基本チェックリスト該当者
(介護予防は要支援1〜2)要介護1〜5 要介護1〜5
同市町村内
どのような(サービス内容) 親御さんの自宅を訪問して、食事、入浴、排せつなどの介護や調理、買い物、洗濯、掃除などの家事を行なってくれるサービス 訪問介護と同じ。市町村によってそれ以外のサービスもある。 専用の浴槽を持って親御さんの自宅に訪問し、脱衣から入浴後のバイタルチェックまで、お部屋にて入浴介助をしてくれるサービス 夜間帯に親御さんの自宅を訪問し、排泄の介助や安否確認などを行なってくれる、地域密着型サービス
入浴に関して 要介護4〜5の場合、自宅浴槽での入浴介助は難しい。 見守りまたはちょっとしたお手伝い程度 職員が3人(介護予防は2人)も訪問してくれるので安心・安全な入浴が可能 入浴介護は基本していない
夜間に関して 夜間の営業をしていないところが多い。料金は18〜22時・6〜8時まで25%増し、22〜6時までは50%増しになる。 訪問介護とほぼ同じ。 夜間の訪問入浴介護はしていない 夜間中心のサービス

※2017年7月時点での介護保険サービスです。

訪問介護員(ホームヘルパー)とは

訪問介護員(ホームヘルパー)とは、介護を行う上で必要な知識と技術を習得した、専門職員のこと。おおよそ1ヶ月間もの間通学しなければ取れない資格もあれば、国家資格を持っている方もいます。基本的に無資格の方は訪問しませんので安心です。

訪問系介護サービスを利用するまでの流れ

  1. ケアマネージャーに、利用したい訪問系介護サービスを伝え、ケアプランの案を考えます。ケアマネージャーから提案されることもあります。
  2. ケアマネージャーが、訪問系介護サービスを導入した仮の「ケアプラン」を作成して持ってきてくれます。
  3. 仮の「ケアプラン」に問題がなければ、決めた訪問系介護サービスをどこの会社にお願いするか決めます。
  4. ケアマネージャーが、決めた訪問系介護サービスを提供する会社に連絡してくれます。
  5. 決めた訪問系介護サービスを提供する会社の人が契約をしに訪問してくれるので、説明を聞き契約します。
  6. ケアマネージャー、契約した訪問系介護サービスを提供する会社、親御さん本人、その家族と、ケアプラン作成のための会議をします。
  7. ケアマネージャーが、会議の内容を考慮して「ケアプラン」を仕上げてくれます。
  8. 完成したケアプランを確認し、問題がないようでしたら同意します。
  9. 完成したケアプランは、ケアマネージャーによって各契約した訪問系介護サービスを提供する会社に配布されます。
  10. ケアプランの週間サービス計画書に予定された曜日、時間に、契約した訪問系介護サービスを提供する会社からホームヘルパーが訪問してくれるので、訪問系介護サービス開始です。

訪問系介護サービスの利用料金

訪問系介護サービスの利用料金
料金は地域によってほんの少しだけ異なりますがほぼ一緒です。要介護度別の月額利用限度額内であれば、1〜2割の自己負担で利用することができます。

訪問介護でしたら1回20分200円以下(2割負担の方は400円以下)で利用できます。訪問入浴介護なら1回830〜1,300円くらい。訪問介護も訪問入浴介護も基本料金はありませんので、使ったら使ったぶんだけの請求です。夜間対応型訪問介護だけは基本料金が約1,000円。定期巡回サービス1回約380円です。

月額利用限度額内で、それぞれ必要なサービスを組み合わせて利用することになります。要支援1の方が、「訪問介護」1日20分・毎日利用した場合、毎月の利用料金は約50,000円です。その1割である月額約5,000円(2割負担の方は約10,000円)のお支払いで済んでしまいます。とても安いですね。

要介護5の方であれば、「訪問介護」1日1時間・毎週月〜金、「訪問入浴介護」週1回、「夜間対応型訪問介護」の定期巡回サービス1日2回・毎週月〜金と、かなり多く利用した場合でも、おおよそ月額利用限度額内におさまります。毎月の利用料金は約370,000円です。その1割だけの支払いでいいので、毎月約37,000円(2割負担の方は約74,000円)のお支払いで済むのです。

訪問系介護サービスを利用するメリット

訪問系介護サービスのメリット・デメリット
訪問系介護サービスを利用するメリットは、親御さんが住み慣れた地域・自宅で暮らし続けることができる点にあります。高齢者にとって、慣れ親しんだ思い出のたくさん詰まった自宅で暮らし続けることは、幸せの一つです。どんなことがあろうと、死を目の前にしたとしても、そこから離れたくないと言われる方もいらっしゃいます。慣れ親しんだ場所で、安らかに息を引き取っていくことが幸せなのです。

ですがこの場合、その家族の負担は非常に重くなってしまいます。親御さんの身体が動かなくなっていけばいくほど、認知症が進行していけばいくほど、家族の負担は増加。家族にも暮らしがあります。実の親とはいえ、施設に入ってもらった方が安心であり、楽なのが現実です。

訪問系介護サービスなら、家族の負担も軽減できますし、住み慣れた地域・自宅で暮らし続けたいと願う親御さんの希望も叶えてくれます。まだまだ課題も多く残されておりますが、国が訪問介護を推奨する理由の一つです。

訪問系介護サービスを利用するデメリット

訪問系介護サービスを利用するデメリットは、赤の他人が自宅に入ってくる点です。誰しもが自分の領域に、気心の知れない赤の他人が入ってくることを良しとしません。見られたくないものもあるでしょうし、何かを盗まれてしまうのではないかとの不安もあるはず。

「訪問介護の種類と特徴」にもあるように、それぞれのサービスにデメリットが存在し、それぞれで補完し合う関係です。

要介護度が低く比較的体に自由がある場合、「訪問介護」だけの利用で十分です。しかし、体の自由がだんだんなくなり、要介護度が上昇してくると「訪問介護」だけでは足りなくなります。

そこで、自宅での入浴が危険になってきたら「訪問入浴介護」を、自宅のトイレでの排泄が困難になり、オムツ対応になった場合には「夜間対応型訪問介護」を、「訪問介護」と併用して利用します。

こうすることで、「訪問介護」のサービスがより充実したものになります。その反面、自宅を出入りする人が増加していくのです。

ホームヘルパーと医師・看護師の違いを理解しておく

医師と看護師、ホームヘルパーの違い

ホームヘルパーの仕事は、医師とも看護師とも違います。そのため、基本的に医療行為ができません。医師でないものが医療行為を行うと、懲役または罰金刑に処されます。

しかし、なんの医療行為もできないのでは、現場で困ってしまいます。そこで、「医療行為から外れたもの」と「医療行為ではあるけれど、特別に行ってもよくなった医療行為」ができました。以下の医療的ケアと医療行為だけなら、ホームヘルパーでもできるサービスです。

  • 体温測定
  • 自動血圧計による血圧測定
  • 血液中の酸素飽和度を測る測定器の使用
  • 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等の処置
  • 軟膏を肌に塗る
  • 湿布をはる
  • 目薬をさす
  • 1袋に収められた薬の服薬介助
  • 座薬の挿入
  • 鼻への薬剤噴射介助
  • 爪切り
  • 歯磨き等
  • 耳かき
  • ストーマ装着のパウチにたまった排泄物の廃棄
  • 自己導尿の補助としてのカテーテルの準備、体位の保持
  • 市販の浣腸

いかがでしたか。今回は訪問系介護サービスについてご説明しました。訪問系介護サービスなら、自宅で暮らす親御さんの不安や危険をほぼ解決できるのではないでしょうか。ぜひ参考にしてみてくださいね。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
家を売らなくても、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、家の金銭的価値を把握しておけば選択肢が増えますよ。

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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