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高齢者の入院費用は1月約20万!概算が簡単にわかる7つのポイント

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 親御さんの突然の入院、心配ですよね。体や退院後の生活はもちろんのこと、入院費用がいくらかかるのか気になるところ。そんな入院費概算も、簡単に把握することができます。今回は親御さんの入院費用についてご説明いたします。

1、入院費用の構成

2、医療保険で認められている治療
薬、注射、処置、手術、麻酔、検査、診断、リハビリなど
3、最新の医療でまだ医療保険で認められていない治療(先進医療):10,000〜3,000,000円
4、診断書などの文書作成料:1,000〜10,000円
5、食事代:1食100〜360円
6、入院生活に必要なサービス
個室代(差額ベッド代):1日2,000〜100,000円
おむつ:パット1つ100〜150円、おむつ、紙パンツ1つ300円
パジャマレンタル料:1日100〜300円
タオルレンタル料:1日100〜200円
日用品のレンタル料:1日100円
洗濯機と乾燥機の使用料:1回100〜200円
テレビ視聴料:1秒1円(1,000円カード、3,000円カード)
理髪代
クリーニング代
おやつ代
ゲーム機やパソコンの貸出し代
音楽プレイヤーの貸出し代
書籍のレンタル代
7、入院費用総額
2〜6を全て合計したもの
入院費用は毎月と退院時にお支払い

2、入院費総額のうち、実は「医療保険で認められている治療」代は結構安い

 入院生活は、想像するよりも様々なサービスを利用することになります。私たちが想像する入院費は、ほぼ高額な治療費だけで構成され、その他の料金はほんのおまけ程度だと考えがち。ですが、それは大きな間違いです。

 日本では、国が提供する医療保険のしっかりしたシステムによって、私たちが病気や怪我をしても生活に過度な負担がかからないように支えられています。もちろん、その医療保険のシステムを支えているのは、皆さんが毎月支払っている医療保険料です。

 医療保険のシステムでは、「医療保険で認められている治療」に関する料金について、そのうち1割〜3割のお支払いだけすれば良いことになっています。それだけでなく、1ヶ月間に支払ったその1割〜3割のお金の合計が一定額を超えると、その分も支払わなくてもいいのです。とても助かるシステムですね。

 そのため、入院費の「医療保険で認められている治療」代が占める割合は、実はかなり少ないのです。仮に1ヶ月間の「医療保険で認められている治療」が100万円だったとしても、人によっては15,000円だけ支払うだけでよいことに。

3、全額自己負担の「先進医療」のことは深く考えなくても良い

 患者の状態・状況によっては、「先進医療」で治療した方が良い場合もあります。しかし、必ずしも「先進医療」で治療しなければならないわけではありません。「先進医療」を治療方法として医師に提案されることはほとんどありません。ごくごく稀。そのため、「先進医療」のことは深く考えなくても問題ありません。

先進医療についてもっと詳しく知りたい方は『親のがん治療に備える!先進医療が簡単に理解できる6つのポイント』をチェック。

4、全額自己負担で、結構高額な診断書

 診断書は、会社に提出する場合、保険会社の医療保険に申請する場合に必要になります。入院したほとんどの人が、退院するときに「診断書」をお願いするでしょう。この「診断書」、国の医療保険適用外ですので全額自己負担。

 しかも、病院によって診断書作成料金が大きく異なります。保険会社に提出する「診断書」の多くは、書式を保険会社が用意します。保険会社の書式に書くタイプの「診断書」と、病院側の書式に書くタイプの「診断書」とありますが、料金が違います。

 病院側の書式に書くタイプの「診断書」は1,000円から5,000円。保険会社の書式に書くタイプの「診断書」は、3,000円から10,000円です。

5、食事代は国の医療保険適用で、収入により1食の料金が違う

 入院中に病院側が用意してくれる食事代は、実は国の医療保険に適用されています。そのため、どの病院でも1食の食事代が統一。内容の割にかなりお得です。患者の収入や年齢によって食事代が変わるしくみ。しかし、高額療養費の対象にはなりませんので注意が必要。

  • 一般の方の1食の料金:360円(1日1080円)
  • 住民税非課税世帯の方:210円(1日630円)
  • 住民税非課税世帯の方で過去1年間の入院日数が90日を超えている場合:160円(1日480円)
  • 住民税非課税世帯に属し、かつ所得が一定基準に満たない70才以上の高齢受給者:100円(1日300円)

6、贅沢しなければ、安い入院生活

 家族の協力によって、唯一、入院費用を変動させることのできる部分です。協力があればあるほど安くなりますし、協力がなければそれなりの費用になる部分です。
 
 70〜80歳の親御さんの入院の場合、「入院生活に必要なサービス」を安く抑えるには、家族の協力が不可欠です。おむつとテレビの視聴に関しては、家族の協力があったとしても避けることはできません。しかし、その他のサービスはどうにでもなります。特に、パジャマとタオルの洗濯費用。

 パジャマとタオル、日用品のレンタル料金と、洗濯機・乾燥機使用料は、病院によって料金に差があります。おおよそですが、パジャマレンタル料は1日100〜300円。タオルレンタル料は1日100〜200円。日用品のレンタル料は1日100円前後。洗濯機と乾燥機の使用料は1回100〜200円です。

 家族がマメに面会できない場合は、「入院生活に必要なサービス」費を抑えることは諦めましょう。「入院生活に必要なサービス」は全額自己負担ですので、この場合の入院費はある程度覚悟します。

 おむつ代は、おおよそ1日1,000円くらいで考えておきましょう。1日にパットを4回、おむつを1回交換したら、約700〜900円です。

 テレビ視聴について、入院してはじめの1週間はほぼテレビを見ている余裕はないでしょう。入院している本人である親御さんは、寝ていることの方が多いはず。病状が安定してきて、心にも余裕が出てきた頃、テレビを見たいと言われるかもしれません。テレビ視聴料は1秒1円、1,000円カードや3,000円カードが用意されています。

7、1ヶ月入院したら、入院費用はおおよそ20万円

2週間入院した場合

毎月の収入が平均的に28万円を超える75歳以上の方
項目 備考 費用
医療保険適用の治療 高額療養費自己負担限度額 約80,100円
食事代 360円×14日×3食 約15,120円
おむつ代 1,000円×14日 約14,000円
診断書代金 10,000×2枚 約20,000円
入院生活に必要なサービス パジャマ300円
タオル200円
日用品100円
レンタル:600円×14日
約8,400円
入院費用合計 80,100
+15,120
+14,000
+20,000
+8,400
おおよそ137,620円
毎月の収入が28万円未満で、住民税を免除されていない75歳以上の方
項目 備考 費用
医療保険適用の治療 高額療養費自己負担限度額 約57,600円
食事代 360円×14日×3食 約15,120円
おむつ代 1,000円×14日 約14,000円
診断書代金 10,000×2枚 約20,000円
入院生活に必要なサービス パジャマ300円
タオル200円
日用品100円
レンタル:600円×14日
約8,400円
入院費用合計 57,600
+15,120
+14,000
+20,000
+8,400
おおよそ115,120円

月をまたがずに1ヶ月入院した場合

毎月の収入が平均的に28万円を超える75歳以上の方
項目 備考 費用
医療保険適用の治療 高額療養費自己負担限度額 約80,100円
食事代 360円×30日×3食 約32,400円
おむつ代 1,000円×30日 約30,000円
診断書代金 10,000×2枚 約20,000円
入院生活に必要なサービス パジャマ300円
タオル200円
日用品100円
レンタル:600円×30日
約18,000円
入院費用合計 80,100
+32,400
+30,000
+20,000
+18,000
おおよそ180,500円
毎月の収入が28万円未満で、住民税を免除されていない75歳以上の方
項目 備考 費用
医療保険適用の治療 高額療養費自己負担限度額 約57,600円
食事代 360円×30日×3食 約32,400円
おむつ代 1,000円×30日 約30,000円
診断書代金 10,000×2枚 約20,000円
入院生活に必要なサービス パジャマ300円
タオル200円
日用品100円
レンタル:600円×30日
約18,000円
入院費用合計 57,600
+32,400
+30,000
+20,000
+18,000
おおよそ158,000円

月をまたいで1ヶ月入院した場合(例:4月16日〜5月15日の場合)

毎月の収入が平均的に28万円を超える75歳以上の方
項目 備考 費用
医療保険適用の治療 高額療養費自己負担限度額4月分+5月分:80,100×2 約160,200円
食事代 360円×30日×3食 約32,400円
おむつ代 1,000円×30日 約30,000円
診断書代金 10,000×2枚 約20,000円
入院生活に必要なサービス パジャマ300円
タオル200円
日用品100円
レンタル:600円×30日
約18,000円
入院費用合計 160,200
+32,400
+30,000
+20,000
+18,000
おおよそ260,600円
毎月の収入が28万円未満で、住民税を免除されていない75歳以上の方
項目 備考 費用
医療保険適用の治療 高額療養費自己負担限度額4月分+5月分:57,600×2 約115,200円
食事代 360円×30日×3食 約32,400円
おむつ代 1,000円×30日 約30,000円
診断書代金 10,000×2枚 約20,000円
入院生活に必要なサービス パジャマ300円
タオル200円
日用品100円
レンタル:600円×30日
約18,000円
入院費用合計 115,200
+32,400
+30,000
+20,000
+18,000
おおよそ215,600円

 高額療養費の算定は、毎月行います。入院費用の支払いも毎月行います。例えば、4月16日〜5月15日の30日間入院した場合、4月分は4月分だけで高額療養費を計算します。

 医療保険で認められている医療保険適用の治療費が100万円だったとします。4月16日〜4月30日15日間ので発生した医療保険適用の治療費がちょうど半分の50万円だとします。1ヶ月間の高額療養費自己負担限度額が80,100円の方でしたら、4月分の医療保険適用の治療費はおおよそ80,100円となります。

 5月分の医療保険適用の治療費50万円も、同じく80,100円。月をまたぐ場合と、月をまたがない場合と、大きく料金が変わってしまう仕組みなので注意してください。運良く月をまたがずに入院できる方が安くすみます。

 入院費用は毎月支払うので、4月分は5月頭に入院費用の半分、5月分は退院する5月15日にもう半分を支払うことになります。

いかがでしたか。今回は親御さんの入院費用について説明しました。高額療養費のおかげで、意外に簡単に入院費用概算が出せることがわかったかと思います。ぜひ参考にして見てくださいね。

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実家終いノート編集部
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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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