介護職員にもケアマネにも読んで欲しい、サービス担当者会議の目的や頻度、厚生省令における位置付け、現場介護職員の専門的意見の重要性についてご説明するページです。
このページでのゴールは、読んでいただけた介護に関係する方々、ケアプランという道具をより良いものに作り変え、利用者様の人生の目的地へしっかり迷わず、サポートしていけるようになることです。
ケアプランの改善と介護職員のモチベーションの向上、深い議論ができる会議に改善できる効果に期待できます。
上の3ページを読んでからの方がより理解が深まります。
Contents
サービス担当者会議(ケアカンファレンス)とは
サービス担当者会議 開催の目的
サービス担当者会議とは、ケアマネージャーが作成したケアプラン原案を、その利用者様に関係するサービス担当者を集め、その内容を検討する会議のことをいいます。
目的
共有
- 利用者様本人とそのご家族の「生活に対する意向(人生の目的地)」や「援助の方針(介護職員の行動方針)」の共有。
- 利用者様を支える他の介護保険サービス事業者や地域のサービスの共有。
- 利用者様の情報の共有。
協議・検討
「生活に対する意向」「援助の方針」「ニーズ(課題)」「目標」「サービス内容」「頻度」「期間」が適切かどうかの協議・検討。
役割の理解
サービス事業者相互の役割の理解。
いつサービス担当者会議が開催されるのか
サービス担当者会議は、原則ケアプランの新規作成・変更。そして、利用者様の要介護更新認定・要介護状態区分変更の時に行われます。
いつ
ケアプラン
- 新規作成
- 変更
利用者様
- 要介護更新認定
- 要介護状態区分変更
どこでサービス担当者会議が開催されるのか
サービス担当者会議の開催場所は決まっておりません。ケアマネージャーがサービス担当者会議の内容に合わせてサービス担当者を招集することになるので、規模により場所が変わります。
施設系のサービス担当者会議は基本的にその施設内で行われるかと思います。他に部屋を借る、ご家族の家をお借りするというやり方は聞いたことがありません。とはいえ省令に決まりはないので、何らかの目的があるのであればどこで開催しても問題ないはずです。
サービス担当者会議への参加者
在宅サービスにおけるサービス担当者会議には様々な会社の方が集います。介護保険サービスである訪問介護やデイサービス、ショートステイや福祉用具貸与、さらにはボランティアや地域のサービスまで、計画する関係者がそこに集います。
施設サービスの場合、生活がその施設内で完結してしまう場合がほとんどなので、介護職員や看護師、栄養士など、同じ施設内の人だけにとどまることがほとんど。
両方に共通する参加者は、利用者様本人とそのご家族。施設では本人とご家族抜きで行われるサービス担当者会議は少なくないとは思います。しかし誰のためのサービス担当者会議なのかを考えれば、どのようにするのが理想なのかは明白です。
サービス担当者会議の頻度は増減する
利用者様の状態が安定しないほどにサービス担当者会議の頻度は増加する
サービス担当者会議開催の頻度を上げる原因はケアプランの変更です。つまり、ケアプランの変更が少ないほどにサービス担当者会議の頻度が減少します。
ケアプラン変更は、利用者様の事故で骨折してしまった場合などを理由とします。つまり、今までの介護サービスを継続することができなくなった時にケアプランの変更が必要となります。
現状を把握して、第1表の「利用者および家族の生活に対する意向」に記載する利用者様本人の「人生の目的地」に到達できるよう、計画を見直す必要があるのです。骨折する前と、骨折をしてしまった後と、同じサービス内容では、利用者様の望む未来へと導くことができないからです。
利用者様の心身状態の悪化速度を早めれば早めるほど、サービス担当者会議の頻度が上昇するということになります。つまり自立支援を怠っていると仕事がどんどん忙しくなるということになります。利用者様を苦しめると自分たち介護職員も苦しくなるという循環。
病状や年齢的な問題で、サービスと関係なく悪化していく状況、つまり看取り介護をしているときのみ、症状が悪化していくことが想定されたケアプランになりますので、比較的ケアプラン変更の頻度は上昇しません。
利用者様の状態が自立に向かえってもサービス担当者会議の頻度が増加する
ケアプランの変更の頻度を上げる原因のもう一つは自立支援です。専門的知識と経験を持ったケアマネや介護職員のチームであれば、良い意味でサービス担当者会議の頻度が上昇します。
例えば、以前に骨折したことを理由に、すでに治っているにもかかわらず車椅子で過ごしている利用者様がいるとします。理想は、骨折前と同じように歩けるようになること。この場合、ケアプランの内容は"維持"が中心のケアプランではなく、"自立支援"が中心のサービス内容に変更する必要があります。
介護職員は、この利用者様の望みを叶えたいが一心でケアプラン通り、必死にサービスを提供します。それによって得られた情報もしっかり記録し、ケアマネのケアプラン改善に役に立つ情報をどんどん提供します。
介護職員が情報をしっかり記録して、ケアマネに情報が伝われば伝わるほど、ケアプランがより良いものに改善されていきます。現時点における利用者様に適切な介護サービスを提供し続けることができたなら、近い将来に室内歩行ができるように改善されることでしょう。
そのうち歩いて外出できるほどに改善される可能性だってあります。このように、身体状況が良い方向へと改善されていく最中に、ケアプランが数回変更されていないと、適切だったケアプランが適切じゃなくなってしまいます。
ケアプランをつくり、自立支援を実施して、モニタリングで心身状態がよくなっていたらまたケアプランを更新するという繰り返し。心身状態の上昇速度が早いほどにこのサイクルの速度も上がりますので、大変ですし忙しくもなります。
しかし、ご本人もご家族もケアマネも理学・作業療法士も看護師も医師も、そして介護職員も、みんながみんな充実した生活に変わることでしょう。喜びを分かち合い、とても楽しく、満足のいく仕事ができます。スーパー専門的介護チームが生まれた瞬間です。
居宅と施設ではサービス担当者会議の位置付けが異なる
居宅介護支援のケアマネが行うサービス担当者会議は厚生省令に原則事項として決められている
居宅サービスにおいて、居宅介護支援のケアマネージャーがケアプランの作成の際に行うサービス担当者会議は、厚生省令に原則事項として決められています。
原則なので例外はありますが、基本的にはケアプランを作成する際にサービス担当者会議を開催しなければ、違法になるという内容です。つまりサービス担当者会議とケアプランの作成はセット。やむを得ない理由もなくサービス担当者会議を行わない違法行為を行った場合には、当然に罰を与えられることになります。
具体的には、居宅介護支援における所定の報酬の半分しかもらえません。仮にもしサービス担当者会議の記録を捏造し、不正請求などを行ったら取り消し処分を受けることになります。立派な犯罪者です。
やむを得ない理由とは
やむを得ない理由とは以下の2つの場合をいいます。例外的な措置でしかありませんので、やむを得ない理由に当てはまる場合はほとんどないと考えておいた方が良いでしょう。
- 居宅サービス計画の変更であって、利用者の状態に大きな変化がみられない等、軽微な変更の場合等
- 開催の日程調整を行ったがサービス担当者の事由によりサービス担当者会議への出席が得られなかった場合
1に関する軽微ですが、本当に軽微なものだけ。以下の9つに当てはまる場合にだけサービス担当者会議を開催しなくて良いことになっています。
- サービス提供の曜日変更
- サービス提供の回数変更
- 利用者の住所変更
- 事業所の名称変更
- 目標期間の延長
- 福祉用具で同等の用具に変更するに際して単位数のみが異なる場合
- 目標もサービスも変わらない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所変更
- 目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合
- 担当介護支援専門員(ケアマネ)の変更
2に関してはサービス担当者会議は必要だけれども、どうしてもサービス担当者が集まれない軽微な場合にだけ、サービス担当者会議の開催が行われなくても良いというもの。
例えば、重たる介護者であるご家族の親戚に不幸があり急遽、一時的に介護サービスの変更をしなければならなくなったなどが当てはまります。ケアプランが変更されることになされるのですが、一時的なのでやむを得ない理由としては十分です。
やむを得ない理由があっても「専門的意見」や「共有」は必要
やむを得ない理由でサービス担当者会議を開催しない場合であっても、その軽微な変更に関わる専門家の意見は必要です。またそれらの変更についての情報は、それぞれが共有しておかなければならないものです。
施設サービスの場合、サービス担当者会議は厚生省令に必須項目として記載されていない
居宅サービスにおけるサービス担当者会議の位置付けはとても重要なものとして配置されていました。しかし施設系サービスの場合は異なります。利用者様の生活を支える介護職員などが、同じ施設内の人だけでとどまるためか、サービス担当者会議の位置付けは専門的意見や共有と同じくらい重要なものとして配置されています。
わかりやすくいうと、施設系サービスにおけるケアプラン作成にはサービス担当者会議を必ずしも必要としないということです。
やむを得ない理由があろうとなかろうと、サービス担当者会議もしくは専門的意見・共有のどちらかを選択できるということです。
とはいえ利用者様のために作られるケアプラン。本人やご家族の意見、そしてそれに関わる介護職員などの専門的意見を含めしっかり分析するには、居宅サービスと同様のサービス担当者会議があった方が良いと考えられます。
本人・ご家族と同じくらい大切な現場介護職員の専門的意見
管理者だけでなく現場の介護職員も呼んだ方がいい
多くのケアマネは現場の介護職員にあまりよく言われません。忙しいから、利用者様の状態をわかっていないから、理由は様々ですが、ケアプラン通りの介護サービスの提供が現実的ではないことが理由です。
本当に現実的でないかどうかは問題ではありません。それが事実か事実でないかに関わらず、現場介護職員がそのように思ってしまっていることが問題です。
日々利用者様と最も長くそばにいるのが現場介護職員です。現場に出ている方にしかわからない情報は必ずたくさんあります。その情報量に差があればあるほど、ケアプランは非現実的なものになります。
管理者ではなく現場介護職員にサービス担当者会議への参加を求める方が、ケアプランの完成度においても、実施段階においても、うまくいくことは間違いありません。現場介護職員と一緒にケアプランの作成をすることは、とても大切なことです。
介護職員は、ケアプランを悪くいう前にサービス担当者会議に参加すべき
ケアマネの肩を持つわけではありませんが、ただただケアプランの出来を悪くいうのは自分のための文句、もしくは仕事をしない言い訳でしかありません。
「利用者様のためだ!」という方もいるのでしょうが、本当に利用者様のためを思っているのであればサービス担当者会議に参加して、ケアマネや自分の会社の管理者などに物申しているはずです。
担当のケアマネや実際にサービス担当者会議に参加する管理者に、どこがどう悪く、どうして現実的ではないのか、なぜそれが利用者様のためにならないのか、専門的な意見を言わない限りそれはただの陰口でしかないのです。誰のためにもなりません。
ケアプランを完成させるのは、利用者様の専門家である現場介護職員
ケアマネは神ではありません。間違うことだってありますし、探り探りケアプランを作っています。利用者様がどうしたら幸せになるかなんて、初めからわかっていれば苦労はありません。
そもそも幸せになる方法がわかっているのなら、利用者様自身も人生に面白みを感じられません。望んだら望むだけのものが手に入る人生。努力もなければ、喜びなんて生まれません。
もし「私のケアプランは完璧だ。ケアマネの資格や経験もない奴の意見なんていらない」との発言、もしくはそのような態度をするアレなケアマネがいるのなら、ケアマネを変更するアドバイスをした方が利用者様にとってプラスになります。
そのような頭でっかちで傲慢なケアマネに、利用者様やご家族の望む未来を聞くことができるわけありません。もちろんそれに伴うニーズや目標の設定が適切なはずがないのです。
今現在の利用者様を最も知っているのは現場介護職員です。主たる介護者であれば現場介護職員と同等かそれ以上に知っているかもしれませんが、現場介護職員の方が知っていることの方が珍しくありません。
仮にもし主たる介護者の方が利用者様を知っていたとしても、専門家ではないご家族ではどの情報が重要でどの情報をどう分析しどのような状態が想定されるのかなんて、専門的な難しいことがわからないのです。
最も接している介護職員の情報と専門的な知識や経験が化学反応を起こすからこそ、見えてくるものがあります。ご家族や本人にとっては些細なことであっても、気がつかないようなことでも、現場介護職員であれば見ることができます。サービス担当者会議」のエースになれるのは現場の介護職員だけ。