舅・姑の介護に日々悩んでいるあなたに、旦那さん向けの記事を用意しました。ぜひ、旦那さんに読んでもらってください。今回は舅・姑を介護する妻の苦悩と増加する介護・熟年離婚についてご紹介します。
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舅・姑の介護は妻の役割ではない
出典:「国民生活基礎調査の概況」平成25年 厚生労働省
上の表は、要介護状態になった親御さんの介護を、主に誰が行なっているかを円グラフにしたものです。割合的に一番多いのが「同居している配偶者」で26.2%。お父さん(お義父さん)ならお母さん(お義母さん)が介護。お母さん(お義母さん)ならお父さん(お義父さん)が介護しているという、いわゆる老老介護の状態です。
次に多いのが「同居している子供」で21.8%。実の子供ですから、法律的にも扶養義務があります。3番目に多いのが「同居している子の配偶者」です。
「同居している配偶者」「同居している子供」「同居している子の配偶者」、同居している方が介護をしている割合は、全体の61.6%に及びます。そのうち、68.7%が女性が主たる介護者です。お義父さん・お義母さんと同居する嫁が、舅または姑の介護をしている割合が少なくないということです。
ここで問題になるのが夫です。旦那さん、妻があなたの親の面倒を見ること、当たり前だと思っていませんか。例外はありますが、あなたのお父さんとお母さんを扶養する義務を負っているのはあなたとあなたのきょうだいです。奥様にはなんの義務もありません。
もし、奥様の実の父と母も、奥様が介護しなければならなくなった場合、奥様は4人も介護をしなければならなくなります。当たり前のように任せっきりにしているのであれば、すぐに考えを改めてください。
要介護度の上昇とともに、朝から晩まで介護をすることに
出典:「国民生活基礎調査の概況」平成25年 厚生労働省
上の表は、親御さんと同居している主たる介護者の介護時間の割合を、要介護度別に表記したものです。「要支援1」の状態では、「必要なときに手を貸す程度」が70.7%もいますが、「要介護5」の状態ではたったの6.4%に落ち込みます。
「要介護5」の状態というのは、寝たきりの状態です。それにもかかわらず「必要なときに手を貸す程度」でいられるのは、上手に介護保険サービスを利用しているからだと考えられます。その分費用がかさみますが、それだけ旦那さんの理解があるものと考えられます。
「要介護5」の状態になると、「ほとんど終日」介護をしている方が56.1%もいます。「要介護4」を超えると、約半数もの方が「ほとんど終日」介護をしているのです。「終日」とは、朝から晩までのことをいいます。
「そんな大げさな。」と思った旦那さん。全然大げさではありません。寝たきりの状態というのは、水分補給、オムツ交換、食事も何もかも、ほとんどすべてに介護が必要な状態です。もし、認知症がひどく、声を出せる方でしたら、常に大声で呼ばれている状態も考えられます。四六時中大声で呼ばれ続けた経験のある方、少ないのではないでしょうか。精神的におかしくなって仕方のない状況です。
しかも、「ありがとう。いつもすまないね。」なんて言ってくれる高齢者はごく稀です。大変な思いをして介護をしていますが、大変なのは要介護状態にある高齢者も同じかそれ以上。周りに気遣ってあげられるほど余裕があるとは限らないのです。イライラを周りに当たっていることもあります。それほどに余裕がないのです。
自由に動かない体にイライラしますし、オムツに排泄することも、その気持ちの悪さも、自分の排泄の匂いにも、嫁にオムツ交換をされることも、誰だって嫌なはずです。高齢者自身も、常に高いストレスにさらされている状態。話せる方の場合、特に認知症が重度であると、文句を言われることは少なくありませんし、叩いたりつねったりされることもあるのです。
夜中に大声で起こされることもあるかと思います。夜間のオムツ交換の問題もあります。ほぼ24時間介護が必要です。旦那さん、その現実をすべて奥様に投げていませんか。実の親とはいえ、あなたに24時間介護できる心の強さ、備わっていますか。要介護5になってからでは大変です。奥様が爆発してしまう前に、早めの改善を。
親と同居している主な介護者の悩みやストレスの原因の70%以上が家族の病気や介護
出典:「国民生活基礎調査の概況」平成25年 厚生労働省
上の表は、親と同居する主たる介護者の悩みやストレスの原因の割合を示したものです。調査するまでもなかったかもしれません。当然に「家族の病気や介護」と回答された方が70%を超えます。
同居して介護をしている方の7割以上が、「家族の病気や介護」に悩んでいるのです。要介護状態にある親御さんは、ショートステイなどを利用しない限りほぼ家にいるでしょうから、朝起きた瞬間から憂鬱なはずです。息つく暇もありません。常にストレスです。
増加する介護離婚と熟年離婚
出典:厚生労働省
上の表は、結婚してから20年以上一緒に暮らしている夫婦の離婚件数を年度別に示したものです。昭和60年では、おおよそ20,000組の夫婦が離婚しました。平成7年では、おおよそ32000組に、平成17年にはなんと40,000組を超えています。
仮に、25歳で結婚したとします。このときの親御さんの年齢は50歳前後でしょうか。結婚して20年経過すると、あなたの年齢は45歳に、親御さんの年齢は70歳です。少子高齢化の問題が騒がれるようになり、国会で介護保険制度が制定されたのが平成9年。施行されたのが平成12年です。
高齢化が加速するのと比例して、「熟年離婚」が増加しているのです。親と同居している主たる介護者の悩みのタネの7割は「家族の病気や介護」です。今話題の「介護離婚」です。
離婚して困るのは、奥様も同じです。奥様にとってまずネックになるのが、金銭的な問題です。しかし、現代は女性が働くことは珍しくありません。条件が整えば、婚姻期間中の財産分与や年金分割も可能です。旦那さんが介護に非協力的だったことが原因の「介護離婚」ですから、慰謝料も発生する可能性もあります。
現に、金銭的な問題があるにもかかわらず、「介護離婚」「熟年離婚」が増加しているのです。ですから、実の親の介護くらい実の子が中心になって介護をしましょう。旦那さんが自分の親の介護を一番しなければならないといっているのではありません。
旦那さんが当事者の中心として、旦那さんの責任で、実の親の介護という課題を、家族で乗り越えるべきだといっているのです。奥様にだけ責任と苦労を押し付けるべきではないのです。仕事で忙しいというのなら、施設入所やその他の在宅介護保健サービスの増加を考えるべきです。
お金が足りないというのなら、きょうだいに金銭的協力を仰ぐべきです。実の親の扶養義務は、奥様にはなく、実の子全員にあるのですから。あなたのプライドよりも、あなたの奥様とご両親の方が大切です。
奥様がもし、「ほとんど終日」舅・姑の介護をしているのであれば、まずは半日に減らすよう、旦那さん自身が行動しましょう。「半日」に減らすことができたら「2~3時間程度」に。介護休業制度を利用して、奥様に息抜きのための旅行などのプレゼントも考えます。そういった努力を怠り、奥様にすべての責任の丸投げを続づけるのであれば、老後孤独に生きていくことを覚悟しましょう。
いかがでしたか。今回は舅・姑を介護する妻の苦悩と増加する介護・熟年離婚についてご紹介しました。多くの40〜50代の方が、介護に悩んでいます。介護は日本国民全員の課題です。奥様にだけ責任を押し付けることないよう、愛情をもって心からいたわってあげましょう。