数ある介護保険サービスの中でどの介護保険サービスを選択すれば良いのかお悩みの方向けに、経験も踏まえた『訪問介護員(ホームヘルパー)』の仕事内容をご紹介します。
Contents
訪問介護とは
訪問介護とは、利用者さまが自宅で自立した日常生活ができるよう、自宅に訪問し、排泄、食事、入浴などの身体介護、掃除、洗濯、調理などの生活援助を提供するお仕事です。
ケアマネの次に給与が高い職種
月給はケアマネの次に給与が高め
訪問介護員(ホームヘルパー)として働く場合、可能であれば正社員として働くことをおすすめします。求人などを見ているとわかるかと思いますが、訪問介護員の給与は他の介護保険サービスに比べて給与が高め。比較するとケアマネの次くらいに月給が高いとわかります。訪問介護事業者によってはケアマネと同じくらい、もしくはケアマネの給与を超える給与にて雇用契約してくれる事業者まであります。
身体介護の時給はケアマネの時給より高め
訪問介護員の雇用形態としてパートを選ぶ場合には、他の会社同様、給与は時給制になります。訪問介護員のお仕事は身体介護と生活援助と時給が違います。
訪問介護員のパートとケアマネのパートの時給を比較すると、生活援助の時給では多少劣りますが、身体介護の時給においてはケアマネの時給を上回るところがほとんどです。
訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事内容
身体介護・生活援助・通院介助
訪問介護員のお仕事は大きく、身体介護・生活援助・通院介助の3つに分かれます。身体介護は排せつ、食事、着替え、入浴など身体に直接触れて行う介助、それに伴う準備や片付けなど。
生活援助は掃除、洗濯、調理、買い物、薬の受け取りなど、身体に直接触れない範囲の身の回りのお世話。通院介助は病院に行くための準備から乗車介助、運転、降車介助、移動や受信手続きなど一連の介護サービスをいいます。
訪問介護員は孤高のスペシャリスト
訪問介護員は利用者さまの自宅において、高い理想をもった介護サービスを可能とする職種です。生活援助に関してはやろうと思えば誰にでもできます。しかし調理、掃除、洗濯などの方法や生活習慣は、利用者さまの望む方法を理解していないと揉め事に発展する場合もあります。
またケアマネと連携しながら自立支援を踏まえた介護サービスを提供しなければなりません。そのため身体介護はもちろんのこと、生活援助においても専門的な知識と技術が求められることになります。
計画段階においてはチームケアである点、他の介護保険サービスと同じです。ただし実際にケアを提供する実行段階においては一人で提供することになります。ですから訪問介護員は介護の仕事の中では孤高のスペシャリストといえます。
1対1の個別ケア 理想の介護サービスができる
訪問介護サービスのメリットは1対1の理想的な介護サービスができる点にあります。他の利用者さまのペースや性格に合わせてもらったり、待たせてしまうこともありません。忙しくてできないなんてことにもなりません。一人の利用者さまのニーズに合わせて、自立支援を意識した身体介護や生活援助を可能としているのです。
そのため、施設サービスでは考えられない、お話をするだけだったり、一緒にゆっくり散歩するだけだったり、理想的な介護サービスの提供も可能です。
働く時間が自由で短時間も可能
最も短い身体介護は、オムツ交換や体位交換、服薬介助など20分未満の介護サービスから提供することができます。生活援助においても20分以上45分未満のサービスも存在します。そのため働く時間が比較的自由で、短時間からお仕事をすることが可能です。
訪問介護員の仕事の難しいところ
旧ホームヘルパー2級・初任者研修以上の資格が必須
多くの介護保険サービスにおいて必ずしも介護の資格は必要とされません。数は多くありませんが実際に無資格の方も歓迎としている求人も実際にあります。しかし訪問介護員においては無資格での求人募集はありません。以下の資格要件を満たすことが必須であることが決められています。
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 初任者研修修了者
- 旧介護職員基礎研修過程修了者
- 旧ホームヘルパー1級課程修了者
- 旧ホームヘルパー2級課程修了者
- 看護師・准看護師
迷った時困った時 すぐに相談できるとは限らない
よほどの理由がない限り訪問介護員の仕事は一人で行うことになります。他の介護保険サービスのように周りに同僚や先輩、上司はいません。
そのため迷った時や困った時にすぐに相談できる環境にありません。人間関係に悩んでいたり、介護の方針でぶつかったり、そういった職場の人間関係の問題が比較的薄い職業です。
しかし、他の介護職員とのチームケアや安心した多人数ケア、ベテランから知識や技術を盗みたい人には向いていない職種になります。原則的には1人で最後まで職務を遂行しなければならないのです。
現場は利用者さま宅 介護しにくい環境
利用者さま宅は普通の家。ある程度住宅改修が進み、ある程度のバリアが解消されているご家庭もありますが、バリアだらけのご家庭も中にはあります。
最近ではまず見ることのない「バランス釜」の浴室もありました。「バランス釜」のデメリットは水圧が低く浴室が狭い点にあります。
狭く弧を描いてしまうほどに弱いシャワーを使って足腰がかなり不安定な男性の入浴介助をしなければならない現場は非常に大変でした。本来であれば訪問入浴をおすすめすべき現場。しかし利用者さまのニーズやご家族の意向もあります。必ずしもすぐ入浴介助を訪問入浴に移行できるとは限らないのです。
施設などのように介護をするに適した環境が用意されているとは限りません。つまり訪問介護員の高度な知識や技術、経験に頼らざるを得ない場合が少なくありません。
使い慣れない調理道具で、ある材料を使って調理しなければならない
バリアが解消されていない介護に適さない環境下で介護サービスを提供する状況と似ています。生活援助であっても苦労する現場も中にはあります。
あるご家庭では炊飯器がありませんでした。利用者さまはもうすでに調理ができないほどの身体状況にあります。利用者さま宅にあるのは土鍋のみ。土鍋でご飯を炊く場合の問題は60分近い時間を要する点にあること。そして火加減が難しい点にあります。そのため自宅で何度か練習してから挑むことになりました。
現場から現場の合間が長く、自由な時間が存在する場合、その時間は無給になる
8時間きっちり働きたい方は雇用形態にパートをおすすめすることはできません。理由は、現場から現場への移動時間の給与が発生しない場合があるからです。
パートとして入社したばかりの頃、仕事の数が少なく現場から現場への間の時間が長かった経験があります。多くて1日2〜4件、合計4時間くらいしか働けなかったのです。
自宅に戻る時間もありますし、その間自由といえば自由でしたが本当の意味で自由とはいえません。1時間もすればまた出勤しなければならないからです。気分としては休まることがないので働いている時間はきっちり8時間働いているような気分。しかし実際に働いている時間はたった4時間。4時間分の給与しかもらえないのです。
そのため8時間きっちり働きたい方にオススメする雇用形態は正社員になります。この場合移動時間が無給になるなどの心配がないからです。
移動時間が労働時間に該当し給与が発生する場合もある
Aさんの現場からBさんの現場への移動に、仮に15分の時間が必要だとします。Aさん宅での訪問介護終了のおおよそ15分後にBさんの訪問介護サービスが予定されています。
この場合訪問介護員に寄り道している時間的余裕はありません。自由にできないということは労働時間に該当します。そのためこの移動時間にも給与が発生。ただし雇用契約によっては移動時間の給与に関して最低賃金とすることも可能です。
移動時間が労働時間に該当せず給与が発生しない場合もある
Aさん宅からBさん宅への移動に必要な時間が15分でBさん宅の訪問介護サービスの予定時間が2時間後だとします。この場合訪問介護員は2時間近い時間拘束されない時間があります。拘束されないということは自由ということであり、その間個人的な買い物をしたり一度家に帰っても問題ありません。
そのためこの2時間の給与は発生しません。15分間の給与に関しても給与は発生しません。それは、勤時間に給与が発生しない理由と同じです。
待機時間が労働時間に該当し給与が発生する場合もある
Aさん宅からBさん宅への移動に必要な時間が15分でBさん宅の訪問介護サービスの予定時間が2時間後だとします。余った時間は家に帰ることも買い物に行くこともできず、事務所で待機するように会社から指示を受けていたとします。
この場合会社の指示で事務所に拘束されていることになり訪問介護員の自由がありません。つまり労働時間に該当。給与が発生します。
高いケアサービスの提供とケアマネ並みの給与が欲しい方にオススメ
訪問介護員のお仕事はたった一人で利用者さま宅にて介護サービスを提供するので、専門的な知識と高い技術、さらには豊富な経験が求められることが珍しくありません。
また1対1の個別ケアが可能な職種なので、利用者さまのニーズに深くしっかり答えることも可能です。そのような難しい環境下で介護サービスを提供しなければならない訪問介護員の給与はケアマネ並みの給与も期待できます。
そのため理想の介護を提供したい方でケアマネ並みの給与を望んでいる方にオススメの職種だといえます。
短い時間・少ない頻度だけ働きたい方にもオススメ
子育てや実の親の介護など8時間フルに働くことができない方。1時間くらい、もしくは週1だけ働きたい方など、介護職員の細かい求職ニーズに応えることが可能な訪問介護。他の介護保険サービスでは短い時間や週1など短い時間や少ない頻度だけ働きたい方にもオススメすることができます。