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親の認知症を悪化させている家族!知らないと後悔する3つの接し方

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 子であるあなたが、親御さんの認知症を悪化させているとしたら、やりきれないですよね。認知症の舵を握っているのは家族です。一番接する時間が多いからです。

 認知症を悪化させる方向に向かうのか、進行を抑制する方向に向かうのか、舵をとる方法(認知症の方との接し方)を知らなければ、望む方向に進めません。知らなければ、認知症は悪化するだけ。
 
 親御さんの認知症を悪化させる一番の原因が、子であるあなたになってしまうのです。今回は認知症の親御さんとの接し方を紹介します。

家庭崩壊しないために必要な、認知症に対する理解についての詳細は『知らないと後悔する!家庭崩壊へのシナリオを防ぐ 認知症 4つの理解』をチェック。

認知症の兆候と見分け方についての詳細は『親が事故や詐欺被害にあう前に!認知症の兆候と見分け方がわかる3つ』をチェック。

1、否定しない

1−1、親御さんの言葉を否定しない

 認知症の親御さんとの接し方の基本は、『否定』しないことです。具体的には、

  1. あなたの無実は否定せずスルーする
  2. 親御さんの発言を否定せず受け入れる
  3. 親御さんと同じ目線で、同じテンションで接する

この3つを心がけること。これがコツです。

「財布を盗んだでしょ。」と言われた場合

 1のコツ:あなたの無実は否定せずスルーする

 親御さんにもし「財布を盗んだでしょ。」と決めつけて問い詰められたら、まずそれをスルーしましょう。あなたが財布を盗んだ事実はありません。無実なのでスルーします。反射的に自分を守りたくなるでしょうが、私じゃないとか、娘のせいにする親なんて最低とか、否定してはいけません。余計なことは言わず、財布がなくなった事実だけ受け入れてください。

 2のコツ:親御さんの発言を否定せず受け入れる

 次に、財布がいつもの場所にない事実だけを受け入れます。「いつもの場所に財布なかったの。」「え。財布無くなっちゃったの。」などと、財布がなくなったことだけ受け入れます。

 

3のコツ:親御さんと同じ目線で、同じテンションで接する

 財布がなくなっているので、親御さんは冷静ではないと思われます。財布がなくなってしまったので当然です。財布に100万円くらい入っているつもりで、親御さんのテンションに合わせて、一緒に探すよう提案します。「大変じゃない。私も一緒に探すから。」と手分けしてもいいですし、同じ場所を一緒に探してもいいですし、状況に合わせて一緒に探します。

 探している途中、財布がなくなってしまった記憶すら無くしてしまい、親御さんが財布を探すのをやめてしまうことがあります。この場合も、親御さんのテンションと、親御さんにとっての真実に合わせます。親御さんの中で、財布がなくなってしまった事実がなかったことになったのです。

 本当に、大金の入った財布がなくなっている場合も焦らず対応しましょう。泥棒が入ったのではない限り、必ず部屋のどこかに隠されています。その隠した体験そのものの記憶が欠落しているだけです。理由はわかりませんが、衣類、特に下着に包まれて隠されていることが多いので、タンスを調べてみてください。面倒ですが、1枚1枚衣類を確かめるのです。

 もし見つけたら、できる限り本人に見つけてもらえるよう促してください。「私はこっちの引き出しを見るから、お母さんはこっちの引き出しを探して。」などといって、財布の入った引き出しを渡しましょう。

「昼食を食べていない」と言われた場合

 1のコツ:あなたの無実は否定せずスルーする

 親御さんにもし、昼食を食べたばかりなのに「食べてない。お腹すいた。」と言われたら、それをスルーしましょう。あなたが食事を提供していない事実はありません。無実なのでスルーします。食事を出したとか、食べたでしょとか、余計なことを言ってはいけません。

 

2のコツ:親御さんの発言を否定せず受け入れる

 次に、「昼食を食べていない」との発言を受け入れます。「お腹すいたよね。けど、あともう少しで夕食だよ。」などと事実を伝えましょう。

 3のコツ:親御さんと同じ目線で、同じテンションで接する

 親御さんが「そうだね。」と、穏やかに返事をしている間は大丈夫です。もし、言葉が荒くなってくるようであれば、そのテンションに合わせた対応が必要です。「大変。もうこんな時間。ごめんね。私がうっかりしていたの。本当にごめんね。お菓子でも食べながら待ってて。もうすぐ夕食だから。」といったように対応します。

 もし、このようなことが増えてきたのであれば、朝・昼・夕の食事量をそれぞれ半分づつにして、1日6食にするなどの対応をしておくと良いと思います。例えば、朝は8時と10時に食事、昼食は12時と14時、おやつを16時くらいにして、夕食を18時と20時にするといった形です。徐々に分割し、徐々に回数を増やすなど、調節しましょう。

 そのほか、一緒に夕食の準備をしてもらったり、縫い物や編み物などをお願いしてもいいと思います。

1−2、親御さんの人格を否定しない

 否定してはいけないのは親御さんの発言に対してだけではありません。当たり前のことですが、人格を否定するようなこともしてはいけません。例えば、

  • できることをさせない
  • 急がせる
  • 無理強いさせる
  • 後回しにする
  • 途中でやめさせる
  • 理解しようとしない
  • 仲間はずれにする
  • 物扱いする
  • 無視する
  • 非難する
  • 侮辱する
  • からかう
  • 差別する
  • 馬鹿にする

などです。「自分の親に、そんなことするわけないじゃない。」と思うかもしれません。ですが、毎日毎日、無実の罪で責められ、してあげたことをされていないと言われ続けたらどうでしょうか。

 感情的になって、心にもないことを言ってしまうかもしれません。やってしまうかもしれません。人格を否定され続けると心を閉ざします。認知症の方でなくたって、誰だって同じです。心を閉ざしたら、認知症は急速に進行します。

2、だまさない、子供扱いしない、怒らない、叱らない

 「財布を盗んだでしょ。」とか「食事していない。」とか、何度もなんども言われたら、親御さんに悪気なく、嘘をついて誤魔化したり、子供扱いしたり、怒ったり叱ったり、接してしまうかもしれません。

 無理もないことです。自分の生活だって忙しいのです。余裕ない時まで優しく接することができるかどうか、わからないのですから。

 しかし、このような対応を続けては、記憶はないのに、娘を見るとなんだかイライラするってことになりかねません。認知症であっても、しっかりプライドがあり、感情もあり、一人の人間。真摯に敬意を持って接するべきです。認知症であっても大先輩であり、親なのです。

 できる限り、だまさないよう、子供扱いしないよう心がけましょう。誰だってそのような扱いを受けたら嫌なはずです。

 怒ったり叱ったりはもっとダメです。親御さんは、悪気があって、「財布を盗んだでしょ。」とか「食事していない。」などいっているのではありません。脳が死滅しているのです。仕方のないことなのです。それを責めても、認知症が悪化するだけ。暴言や暴力まで振るうようになったり、いい結果は望めません。

 叱ってもいけないあたり、子供に対する接し方と異なります。認知症では、脳が死滅してしまっているので、正しく叱っても、混乱させるだけになり逆効果です。

3、絆を強く、信頼と信用の関係を継続させる

 認知症の親御さんの発言に、傷ついたり、心を痛めることが多々あるでしょう。しかし、一番不安に感じているのは親御さんです。自分の衰えていく変化に、心がついていけません。戸惑いや不安、恐怖を感じている状態で、あなたはどのような言葉をかけられたいでしょうか。

 「しっかりしてください。」「ボケてるの。」「そんなことやっていない。」「何をしてるの。危ないじゃない。」「時間がかかるから貸して。」「さっき食べたばかりじゃない。」このような冷たい言葉が欲しいですか。そんな言葉欲しくないし聞きたくないですよね。

 戸惑いや不安、恐怖を感じているときは、そばに寄り添っていてほしいでしょう。安心する言葉や温もりが欲しいはずです。

 親御さんにとって一番味方でいて欲しい相手は、娘であるあなたです。その娘に否定されたらとても辛いはず。この状態では、親子の信頼と信用は崩壊。絆が薄れていってしまいます。誰も信用できなくなります。たった一人、世界に取り残され、朽ちていく恐怖を一人でおびえ、凍えながらいきていかなければならない暗い、そんな気持ちになるでしょう。

 認知症になっていく親御さんの心の声に耳を傾け、受け入れてあげなければなりません。そして、心地よい感情をたくさん蓄積できるよう心がけてください。

 いかがでしたか。今回は認知症の親御さんとの接し方を紹介しました。これで、穏やかで温かな衰えを両親に提供することができるでしょう。ぜひ参考にして見てくださいね。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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