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やる気をもっと引き出す!高齢者のモチベーションを維持する8のコツ

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モチベーションが上がっても、そこで満足してしまったらその後は下がっていくだけ。モチベーションを上げる方法よりも維持する方が難しいのです。そんな下がりやすいモチベーションを維持するコツがあります。今回は高齢者のモチベーションを維持するコツをご紹介します。ケアプラン作成にも役立ちます。

俯瞰的な視点で生活と欲求のバランスを整える

俯瞰

リハビリには意欲が必要!高齢者のやる気を引き出す11のポイント』でご紹介の通り、やる気を引き出す方法はゴールと目標の設定を上手にコントロールするだけ。しかしそれだけではモチベーションを維持することはできません。

10の欲求があったとします。10のうち9全てが満たされていたとしても、たった1つかけているだけで全てが台無しになることがあります。夢の国で遊んでいる楽しいひと時に、トイレを我慢しているだがゆえに全てが台無しになるのと同様です。

マズローの欲求段階・自己実現理論

例えば寝たくても眠れない、睡眠が十分にとれていない高齢者がいるとします。「マズローの欲求段階」でいえば「生理の欲求」のうち、食事、排泄など睡眠以外は全て満たされています。

お金、健康、充実した生活環境など「安全の欲求」も満たされています。家族などの人間関係も充実、仕事やボランティアに必要とされているので「社会的欲求」も充実。

誰からみても幸せそうな高齢者だと思われるでしょう。お金もあって、いいところに住んでいて、たくさんの人に必要とされ、地位と名誉も手にしている高齢者。

しかしこの高齢者本人は睡眠できないことに悩み、苦しみ、それ以外のことを考えられないほどに余裕がないかもしれません。

高齢者にとって生活上の課題の多くは「生理の欲求」「安全の欲求」に集約されます。建物でいう土台にあたる部分。いくら豪華な設備で着飾っても、土台に綻びがある状態では何もかもが崩れ去ります。

生活と欲求は相互に作用。強くつながりあっています。トイレ、睡眠などに不安や不満があれば他の生活にも悪影響を与えます。逆に、毎日バランスよくおいしい食事ができていれば、健康につながりその他の要素に良い影響を与えます。

生活の課題をバラバラに切り離して捉えるとこれに気がつくことができません。生活全体を俯瞰して把握することが大切。そしてバランスが重要です。

欲求の満足度が偏っているとモチベーションは徐々に下がっていきます。俯瞰して生活全体を捉え、バランスよく生活の課題にアプローチすることがモチベーション維持のコツです。栄養と似ています。

高齢者それぞれの個性を理解する

人には個性があります。親子なら似ている部分も多いでしょうがやはり異なります。それこそ千差万別、十人十色。人の数だけ個性があります。価値観、人生観、環境、生活の歴史や体験、さまざまな要因が複雑に混ざり合って個性が構築されていきます。

個性

年齢を重ねれば重ねるほど個性の幅が広がることになります。それぞれに暮らしの流儀があるのです。理屈では間違ったやり方であってもその流儀を変えることは難しいでしょう。

効率重視の方もいれば、ゆったり優雅に行うことをよしとする方もいます。個性を無視して正論で改善を押し付けていてはモチベーションはだだ下がりです。

生活が感情論であることを理解する

人は感情的な生き物です。プライベートとなるとその傾向が特に顕著になります。合理的に考え貯蓄を考えたかと思えば、外出先で衝動買いをすることもあります。

感情

定期的に掃除しておけばあとあと後悔しなくて済むとわかっていながら、一月掃除をしないで放置して後悔します。太るとわかっていながらついつい甘いものを口にしてします。

生活は合理性と非合理性の葛藤の日々で成り立っているのです。それを一つ一つ指摘してはいけません。結果良ければ全て良しと割り切ることが重要。ゴールや目標を達成できれば、サボったりズルしたりしても構わないといった融通を利かすことが必要なのです。

その感情的な生活を無視して、機械的に目標達成までの道のりを無理強いさせてしまってはモチベーションが徐々に下がっていくことになります。

ゴールや目標は徐々に、高く広く増やして行く

ゴールや目標を徐々に増加

リハビリには意欲が必要!高齢者のやる気を引き出す11のポイント』にご紹介した通り、目標はほんの少しの背伸びをするだけで達成できる程度に収めなければなりません。達成や成功の積み重ねがなければモチベーションが上がっていかないからです。

ほんの少しの背伸びを続けるということは徐々に能力が上昇していくということ。例えば、体が不自由になっている親御さんの生活行動範囲はほぼ室内だけになっているはずです。

例えば「ゴール」に外食に行くことを掲げたとします。外食もまた一つの幸せ。室内だけが生活行動範囲の親御さんであれば「目標1」に一人でベッドから車椅子に移動すると掲げます。

トイレをリフォームし「目標2」に一人でトイレに行くことを決めます。トイレの練習に何度も付き添います。洗面台のリフォームも行い「目標3」に一人で手洗いできると設定。同じように手洗いの練習に何度も付き添います。

こうして浴室、近所の公園、ショッピングなどのように徐々に範囲を広げていくのです。ちょっと背伸びすればできるところから徐々に徐々に。

目標を達成する都度モチベーションは増加していきます。逆にどれだけ努力しても危険だからといつまでも居室から出してもらえなければモチベーションは下がっていきます。

一定の目標に拘らず、すぐに変える

目標に拘らずすぐに変える

適切な目標を設定することは非常に難しいこと。親御さんに心身状態や個性、欲求などをしっかり把握できていなければ適切ではない目標を設定することになります。適切な目標とはほんの少しの背伸びで達成可能な目標のことをいいます。

具体的には、達成不可能なほど高い目標であったり、達成が容易すぎる目標をいいます。適切ではない目標かどうかはやってみなければわからないことも多くあります。その都度試して親御さんの達成状況を見守り、その都度調節しなければならないのです。

もし適切ではない目標だとわかったら、その時点で適切なものに近づくようすぐ変更しましょう。適切ではない目標とわかっているにもかかわらずその目標にこだわり続け、変更しないままでいるとモチベーションは下がります。

適切な目標設定ができたとしても環境によって適切ではない目標になってしまうこともあります。例えば降水量の少ない時期に外出メインの目標を立てていたとします。しかしなぜだか雨の予報が公表されました。

親御さん本人はやる気なのにもかかわらず、雨が続いて中止し続けていたらモチベーションは下がってしまうことでしょう。この時点でこの目標が適切ではなくなっているのです。

そこで目標をすぐに変更します。ゴールに到着するためのルート(目標)は無数にあります。東京から京都へのルートが一つではないのと同じ。どこの経由するかは状況によって変えるべきです。経由予定の駅が改装中で利用できないのであれば、改装を待つのではなくルートを変えた方が合理的です。

目標へと向かう手段を否定せず、テーマやポリシー、ルールを提案する

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『リハビリには意欲が必要!高齢者のやる気を引き出す11のポイント』に紹介した方法を続けた結果、親御さんが徐々に意欲を取り戻してきたと仮定します。モチベーションが上がったことで目標達成のための手段を親御さんが自ら考えます。

この親御さんが考えたアプローチの方法、あなたから見て非効率であったとしても否定してはいけません。まずは親御さん自ら率先してやり方を考えたことを喜びましょう。そしてその方法を受け入れます。

目標から遠ざかるような提案をする人はまずいません。一歩でも目標へ近づくことができれば良いのです。目標への最短ルートはモチベーションの維持です。効率を求めすぎてやる気を損ねてしまってはいけません。

否定しない代わりに親御さんが考えたそのやり方をブラッシュアップするお手伝いをします。できれば、あなたが直接するのではなくアドバイスだけにとどめておきます。アドバイスは「テーマ」「ポリシー」「ルール」を提案するのです。

「テーマ」には楽しむこと。「ポリシー」には安全を。「ルール」には外出時には帽子をかぶる、遠回りでもバリアフリー設備のあるルートを選ぶなどです。親御さんは「テーマ」と「ポリシー」と「ルール」を考慮して自らブラッシュアップしてくれます。

否定はやる気を奪うだけ。しかし親御さんの考えた手段に肯定できればよりやる気になってくれます。手段は目標以上に拘るべきでありません。東京から京都へ行く手段は、安全で楽しめることができるのであれば電車でも飛行機でもバスでもなんでもいいのです。

あなたの考える手段を押し付けてはいけません。手段は無限にあります。やる気を引き出し維持できる目的に一歩でも近づくことができるならなんだって良いのです。うまくいかなかったら拘らず、責めず、アプローチの方法(手段)を変えるだけ。

徐々に楽しめる場所を増やして行く

行き慣れた場所は安心できます。どこに何があるかがわかっていますし、どのような設備どのようなシステムどのような職員がいるのかある程度把握できているからです。知らないことは不安でしかありませんが知っていることは安心です。

徐々に楽しめる場所を増やして行く

一度訪問して、親御さんの笑顔が多かったり楽しかった、心地よかったなどと感じられた場所は、親御さんと相性の良い場所。その相性の良い場所に何度も訪問し何度も体験してもらい、何度も楽しんでもらうのです。

トイレなどの設備も何度も利用してもらえれば使うことにも慣れてきて安心と自信を得ることができます。こうして親御さんと相性の良い場所を親御さんにとっての居場所に変えて行きます。

その数を徐々に徐々に増やします。親御さんの行きつけの居場所が増えていけば自然と自らお出かけしたいと外出に積極的になります。楽しめる場所が増えていけば外部からの刺激と相まってモチベーションは相乗的に上昇して行きます。

自分自身もラクして楽しむ

親御さんにとって一番大切なのはあなたです。親御さんにとっての子や孫です。自分の子が自分のことで苦労していたり忙しそうにしていたら心から楽しむことができません。できる限り迷惑をかけたくないと考えているのです。

あなたのお子さんが自分を犠牲にしてあなたのためにしたとしても、嬉しい反面、嬉しくないのではないでしょうか。そのような状態が続けば親御さんは申し訳ないからとさまざまなことをやめてしまいます。やる気になったことが悪だと考えるようになってしまいます。

ですからしっかりあなたもラクして楽しみましょう。ラクするには介護保険サービスなどの高齢者向けサービスに頼るのが一番。高齢者を社会全体で支える仕組みが介護保険制度です。周りがなんと言おうと親御さんのためにもラクして楽しむべきです。

食事や排泄などの「生理の欲求」、看護師との連携や健康、事故防止などの「安全の欲求」は介護職員の仕事でありプロです。しかし「社会的欲求」や「承認欲求」、「自己実現」に関しては介護職員の出る幕はほとんどありません。

「社会的欲求」や「承認欲求」、「自己実現」に強く、直接関係するのはご家族や友人です。互いに求め、認め合う関係が構築して行くことができれば家族の絆も深まります。

逆に互いに求め、認め合う関係が築けないと心に余裕がなくなってしまいます。喧嘩が増え、やる気を喪失することにつながってしまうのです。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
家を売らなくても、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、家の金銭的価値を把握しておけば選択肢が増えますよ。

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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