離れて暮らす老親の生活支援と介護

親の家庭内事故を防ぐ!4つのリフォーム箇所と3つの改善ポイント

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平成25年3月28日、独立行政法人国民生活センターに公表された『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故 -高齢者編-』によると、65歳以上の高齢者が事故を起こす場所の77.1%が住宅内であることがわかります。施設内、道路など屋外での事故は22.9%です。

 事故の原因の多くは、あなたの親御さんの自宅内に潜んでいます。要介護認定を受けたらリフォームを考えましょう。しかし、「いきなりリフォームと言われても、どこをどうしたらいいのかわからないわ」と思ってしまいますよね。

 そんな不安も簡単に解決できます。事故が起きるポイントは、ある程度はっきりしているのです。今回は5つのリフォーム箇所と2つの改善ポイントをご紹介します。

高齢者の家庭内事故の原因については『高齢者の家庭内事故の63.7%は、たった2つの場所と7つの要因から』をチェック。

住宅改修については『親御さんの自宅のリフォーム料金が19万円も安くなる住宅改修とは?』をチェック。

リフォーム1、段差[住宅改修の対象]

 私たちが気がつかないほど小さな段差であっても、高齢者には危険です。敷居(出入口や部屋と部屋の相葉にある横木)の段差も同じ。ちょっとした段差であれば危険なのです。

 敷居の撤去をリフォーム会社に頼むと、1箇所おおよそ2万円。3部屋、トイレ、キッチン、浴室のある家でも、敷居の数はおおよそ7〜8箇所くらいはあるはずです。8箇所全て撤去してもらったらおおよそ16万円。高いですね。

 敷居などの段差解消のリフォームは、介護保険制度の住宅改修の対象になりますので、その1割または2割の料金お支払いだけですみます。

 『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故 -高齢者編-』によると、家庭内事故発生場所で1番多いのは居室で、割合は45%。最低限、居室内の敷居だけでも撤去したいところです。

※リフォーム業者により敷居撤去料金が違います。

リフォーム2、床(畳、フローリングなど)[住宅改修の対象]


タイルカーペット

 フローリングや畳はとても滑りやすい材質です。もし、親御さんの自宅の床の素材が、フローリングや畳であったなら、リフォームをするか、ご家族が協力してカーペットなどに変更する必要があるでしょう。

 床を滑りにくい材質のものに張り替える費用は、6畳間でおおよそ10万〜20万円します。ご自身でタイルカーペットを敷き詰める場合、50cm×50cmのタイルカーペットが約40〜50枚必要ですので、おおよそ14,000円〜30,000円必要になります。

 床を滑りにくくするリフォームは、介護保険制度の住宅改修の対象になりますので、その1割または2割の料金お支払いだけですみます。

 場合によっては、家族であるあなたご自身でタイルカーペットを詰める方が安くすみます。自分でするのは面倒ですが、状況によって選択しましょう。

 タイルカーペットは、①外して洗える②音を吸収する③ホコリの舞い上がりを抑える④転倒してもダメージを吸収してくれる⑤滑りにくい⑥アレンジもできておしゃれ⑦模様替えが簡単⑧冷暖房効果が高く経済的などの特徴があるのでオススメです。

 『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故 -高齢者編-』によると、家庭内事故のきっかけで2番目に多いのは転倒で、割合は22.1%。段差の解消と床の張替えは、事故を防止するためにはとても重要な箇所です。

※リフォーム業者、材質、部屋の広さにより床の張替え料金が違います。

リフォーム3、手すり[住宅改修の対象]


手すり

 階段、玄関、廊下、浴室、トイレなどに設置する手すり。高齢者の階段の上り下りは危険ですし、「すり足」で手すりなく歩く廊下も危険です。できれば、立ったり座ったりする浴室やトイレにも欲しいところです。

 手すりの取り付け費用は、おおよそ1mで1万円くらいです。取り付ける壁の耐久性が弱い場合、補強しなければなりません。この場合おおよそ2倍するので、2万円くらいだと考えておきましょう。

 浴室やトイレであればおおよそ1万円づつ、廊下は広さにもよりますがおおよそ2万円、階段であれば3万〜10万円くらいします。壁を補強しなければならなければそれぞれその2倍。

 手すりを取り付けるリフォームは、介護保険制度の住宅改修の対象になりますので、その1割または2割の料金お支払いだけですみます。

 手すりは工務店や通信販売でも購入可能です。ご自身で取り付けることも不可能ではありません。しかし、手すりは親御さんの体重に耐えられるものでなければ危険です。壁の強度の問題もあります。できれば、リフォーム業者にお願いした方が安心です。

 『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故 -高齢者編-』によると、階段での事故は、家庭内事故発生場所として2番目、家庭内事故のうちケガの原因となった場所としては1番多く、割合は18.7%。階段でのケガは、骨折に至ることも少なくなく、入院を要する重いケガになる可能性が高いので非常に危険です。

 3番目に転倒事故の多い玄関は5.2%ですから、最低階段だけでも、手すりの取り付けをしたいところです。階段のリフォームはとても重要です。

 また、平成12年の建築基準法改正で、階段への手すりの設置が義務づけられました。平成12年以前の建物に手すりの設置義務はありませんが、高齢者住宅だけでなく、一般の住宅の階段にまで設置が義務付けられるほど危険だということになります。

※リフォーム業者、材質、設置広さにより手すり取り付け料金が違います。

リフォーム4、階段の滑り止め・張替え[住宅改修の対象]


階段の滑り止め

 階段は、事故の発生数も高く(2番目)、ケガしてしまう可能性も非常に高い(1番目)場所です。階段に必要なのは手すりだけではありません。手すりで状態全体を支え、足元もしっかり固定できていなければ危険です。

 階段を滑りにくくするには、3つの方法があります。滑り止めを自分で取り付けるか、リフォーム業者に取り付けをお願いするか、階段の材質を張り替えるかの3択です。

 リフォーム業者に滑り止めを設置してもらう場合、費用はおおよそ1万円です。工務店や通販で購入できるので、自分で設置することも可能です。2,000円〜5,000円程度で購入できるのでとても安く設置できます。

 ただし、剥がれにくく、薄いものでなければなりません。剥がれやすいと当然、逆に危険になってしまいます。分厚いと1cm程度の段差にもつまずく高齢者にはとても危険です。できれば、夜間のことも考えて光る滑り止めが理想。

 階段の張替えリフォームを考えてもいいでしょう。この場合、階段の材質は滑りにくいものとなります。ただし、ただ張り替えるだけでもおおよそ20万円はします。1段増やして傾斜を緩やかにするリフォームなら、安くても25万〜30万円します。

階段のリフォーム(住宅改修)

改善ポイント1、足元灯


足元灯

 映画館ではおなじみの足元灯。足元を照らす専用の照明器具です。夜間、照明が届かず暗くなりがちな足元に設置します。旅館などでは、おしゃれに置くタイプの足元灯を利用していますが、高齢者の自宅には向いていません。転倒の原因になるので、壁に設置する、薄いタイプの足元灯を設置しましょう。

 リフォーム業者に頼むと綺麗に設置してくれますが、住宅改修の対象ではないので全額自己負担です。費用はピンからキリまであるでしょう。

 足元灯を一番必要とする場所は階段です。階段を踏み外さないよう、下を向いて降りるかと思いますが、夜間は天井にぶら下がる照明を自分の体で遮ってしまうのでとても暗く危険です。1段1段、両サイドに設置するのが理想ですが、その分費用が高くなります。

 欲をいえば、手すりの裏にも照明があると安心です。暗くて手すりを掴み損ね、そのまま転落してしまう危険を回避するためです。

 人感センサーがついた足元灯なら、人が通る時だけ点灯するので経済的です。工務店や通販で購入することができますので、ご自身で設置することも可能です。この場合、電池式や充電式のものを購入することになると思うので、継続利用には向いていません。

 コンセントタイプのも売っていますが、これを階段全てに設置するのは、不可能ではありませんが大変です。2〜3セットを1,500円〜3,000円くらいで購入できます。理想は1段1段、無理なら1段起き、2段起き、最低一番暗い場所に1箇所だけでもないよりマシです。

改善ポイント2、靴下とスリッパ


室内用介護シューズ

 親御さんに、靴下とスリッパを履くのをやめてもらい、室内要介護シューズ(ケアシューズ)を履いてもらうよう説得することをお勧めします。もしくは裸足。

 説得する際に、「介護シューズに履き替えて。」と言ってはいけません。プライドを傷つけてしまい、意地でも履いてくれなくなってしまいます。「足にぴったりフィットするスリッパだからおすすめだよ。」と特徴だけ伝えるようにしましょう。

改善ポイント3、障害物(毛布やカーペット、配線)


配線モール

 1cm以下の段差であっても高齢者にとって脅威になります。そのことを考慮して、常に障害物を取り除きましょう。

 毛布を床に直接置かないようにします。配線は延長コードと配線モールを利用して壁や天井に這わせましょう。思い切ってコタツは捨ててしまいましょう。高齢者にとってコタツは、足を引っ掛けてしまう恐れがあるので危険です。

 転倒の危険と掃除する面倒とを天秤にかけてみてください。転倒の危険を回避する方が優先です。玄関マットは必要ないでしょう。

 トイレマットに関しては悩むまでもありません。デパートや飲食店をみても、トイレマットを使用しているところはありません。匂いも汚れも吸収しやすいトイレマットは、逆に不潔です。高齢者の場合、足を引っ掛けて転倒してしまう恐れすらあります。

 バスマットは必要かと思います。引っ掛けないように、固定する工夫が必要です。カーペットは居室ぴったりに切り合わせ、めくれないようカーペットテープで固定しましょう。

まとめ

 住宅改修の限度額は、1人一生涯で20万円までです。理想的なリフォームを全て行なった場合、確実に20万をオーバーしてしまいます。お金に余裕がある方は別ですが、多くの方はそれは難しいことでしょう。

 そこで、リフォームする場所を選択し、集中することをお勧めします。『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故 -高齢者編-』によると、一般的に事故の多い場所は居室と階段です。家庭内事故の割合は、居室と階段だけで63.7%もあります。風呂場での事故発生割合は2.5%。トイレ1.5%。廊下2.2%です。

 例えば、自宅の段差だけ全て解消したとします。この段差には風呂場、トイレ、廊下も含まれています。これだけで20万近い費用。事故発生割合の低い場所を優先するのはもったいないのです。

 であれば、居室と階段だけにリフォームを集中してしまう方が良いと考えます。例えば居室の段差解消と床の張り替えをした場合、20万円以内で収まる可能性が非常に高くなります。これにプラスして階段のリフォームまたは改善を考えます。その逆でも良いかと思います。最優先は居室と階段です。

 そのほか、住宅改修の対象は玄関への踏み台設置、スロープの設置、ドアノブの変更、扉の変更、洋式便器への取り替え、浴槽の取り替えなどがあります。親御さんの状況に合わせて、選択と集中してリフォームを考えましょう。

いかがでしたか?今回は5つのリフォーム箇所と2つの改善ポイントをご紹介しました。リフォームの大きな判断材料になったかと思います。ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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