認知症は接し方や環境で、簡単に進行が早くなります。そんな不安を解決する施設があります。認知症の進行が遅くなる、認知症の方に最適な、家庭の環境に近い施設。今回はグループホームについてご紹介します。
Contents
(介護予防)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは
グループホームとは、認知症の高齢者ができる限り自立した生活が送れるよう、入浴、排せつ、食事等の介護サービス、その他の日常生活上の世話、機能訓練などを行なってくれる施設です。
グループホームを利用できる人
サービス名称 | 利用対象者 | 目的 |
---|---|---|
認知症対応型共同生活介護 | 要介護1〜5 認知症の診断 同市区町村 |
不自由なく日常生活ができるような「支援」「介護」 |
介護予防認知症対応型共同生活介護 | 要支援2 認知症の診断 同市区町村 |
要介護状態を「遅らせる」「防ぐ」「改善する」 |
グループホームは、①認知症の診断を受けている、②65歳以上で、③要支援2または要介護1〜5の方が入所できます。要支援1の方は利用できません。
また、グループホームは地域密着型サービスの一つなので、④グループホームと同じ市区町村に住民票がある方でなければ入居できません。①〜④全ての条件を満たしている方だけが入所可能。
グループホームの具体的サービス
設備サービス
認知症は、人が多ければ多いほど、大型施設のように落ち着かない環境であればあるほど悪化します。そのため、グループホームの設備基準は少し特殊。
認知症を悪化させないため、家庭に近い環境の構築が必要です。そのため、1事業所あたり、10〜18人の少人数制とし、2ユニット以下(5〜9人ずつ)でなければなりません。また、立地は住宅地である必要があります。
グループホームの「ユニット」とは、居室・食堂(または居間、もしくはその両方)・キッチン・浴室・事務室・面談室・トイレなどの設備をセットにした空間をいいます。居室5〜9・食堂(または居間、もしくはその両方)・キッチン・浴室・事務室・面談室・トイレで1ユニット。
例えば、2ユニット入居者18人定員のグループホームの場合、居室を18室、食堂・台所・浴室・事務室・面談室をそれぞれ2つづつ用意しなければなりません。
グループホームは火災など非常災害に備えた建物です。車椅子の方でも利用しやすい設計なので、要介護度が重度化してきても生活しやすいようになっています。
居室
個室または夫婦室です。認知症が重度化すると、物(異物)を食べてしまったり、歩くことができない状態でも歩こうとしたりします。さらに、家庭に近い環境となると、居室もあまり広くない方が落ち着きます。
それが理由からか、居室の床面積は、原則7.43㎡以上。7.43㎡は約4.5畳なので施設の中でもかなり狭い方。
居室内にトイレや洗面台などの設置義務もありません。家庭的な雰囲気を目指す以上、各部屋にトイレや洗面台がある方がおかしいですし、色々な設備が設置されている方が危ないともいえます。
人材サービス
職種基準 | 配置基準 | 必要な資格等 |
---|---|---|
管理者 | 1施設に1人 | 認知症介護の経験3年以上で、厚生労働省指定の研修受講者 |
介護職員 | 3人の要介護者に対し1人以上 18時〜翌6時までは1ユニットに1人以上 |
規定なし(主に介護福祉士や介護職員初任者研修修了者(旧ホームヘルパー2級)などの有資格者) |
計画作成担当者 | 1ユニットに1人以上 | 介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格保有者 |
- 起床
- 着替え、洗面、整容、トイレなどの起床介助が行われます。
- 朝食
- 食堂にて、みんなで朝食をとります。必要な方は、食事介助や服薬介助、食後の歯磨きまで介護が行われます。
- 体操・散歩
- みんなで体操をします。希望や計画によって散歩が行われることもあります。
- 掃除・洗濯・シーツ交換など
- 掃除・洗濯は毎日行われます。シーツ交換は週に1〜2回程度行われます。
- 昼食
- 食堂にて、みんなで昼食をとります。必要な方は、食事介助や服薬介助、食後の歯磨きまで介護が行われます。
- レクリエーション・洗濯・入浴
- 入浴介助や洗濯をします。その後、みんなでレクリエーションが行われます。
- おやつ
- 休憩も兼ねてみんなでおやつやお茶が提供されます。
- 夕食
- 食堂にて、みんなで夕食をとります。必要な方は、食事介助や服薬介助、食後の歯磨きまで介護が行われます。
- 自由時間
- それぞれが自由に過ごします。
- 就寝
- 着替え、洗面、整容、トイレなどの就寝介助が行われます。
- 夜間の見守り・トイレ介助・オムツ交換
- 夜勤者による巡視・見守りやトイレ介助、オムツ交換が行われます。
心身状態に合わせ、大体のことは職員がやってくれます。その他、レクリエーションやイベントなどの企画も用意されます。
看護師はいません。多くのグループホームでは、外部の訪問看護や居宅療養管理指導と提携して、看護師や医師の定期訪問をしてもらっています。
グループホームの料金
入居一時金(初期費用) | 月額施設利用料 | 月額介護保険サービス料(1割の場合) | その他介護保険外サービス等 | 月額合計 |
---|---|---|---|---|
0~数百万円 | 10万~30万円 | 約20,000円~27,000円 | 0円〜10万円 | 約12万〜43万円 |
グループホームの入居一時金は、有料老人ホームに比べ比較的安いです。高齢者住宅並みに安い傾向にあります。
月額費用の内訳は、家賃、管理運営費、食費、光熱水費、その他の費用など。
月額介護保険サービス料は、介護保険サービスである「認知症対応型共同生活介護」の料金です。上の表では自己負担1割。2割の方は2倍してください。
その他介護保険外サービスは、おむつ代やレクリエーションの費用などが考えられます。
いかがでしたか。今回はグループホームをご紹介しました。初期費用が安く、認知症の方にはとても良い環境で設計されています。ぜひ参考にしてみてくださいね。