親御さんが突然入院。そのまま認知症になってしまった場合の医療保険、どうしたら良いと思いますか。もしそのまま亡くなってしまったら。そもそも、親御さんが保険会社の医療保険に加入しているかどうかご存知ですか。その医療保険の「指定代理請求人」が誰かご存知でしょうか。家族が知らなかったら、医療保険は支払っただけで無駄になってしまうのでしょうか。このようなことがないために、準備しておかなければならないことがあります。今回は医療保険の申請方法と指定代理請求人の準備についてご説明します。
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指定代理請求人とは
「指定代理請求人」とは、保険会社の医療保険の加入者本人である親御さんが、病気の状態が良くないなどの理由で自ら請求できない場合、代理として保険金や給付金の請求をできる人のことをいいます。
70歳以上の親御さんのもしもです。脳や心臓を理由とする大きな病気である可能性は少なくありません。もし、脳や心臓を理由とする大きな病気であったなら、そのまま半身不随になってしまったり、認知症で判断力がかなり低くなってしまったり、そもそも、保険会社の医療保険に加入していることやその医療保険に関する資料がある場所すら忘れてしまうかもしれません。
そんな時に備えて、「指定代理請求人」をしっかり立てておくこと。さらに、「指定代理請求人」本人がその旨理解していることが必要になるのです。
「指定代理請求人」は、あらかじめ指定しておく必要がありますので、事前に家族と話し合って決めておきましょう。
保険会社の医療保険の申請方法
「指定代理請求人」は、入院や手術が決まったらその時点でその旨保険会社に連絡しておきましょう。電話した際に聞かれる内容は、電話している本人の名前や連絡先、医療保険契約者と被保険者の名前、生年月日、住所、入院の原因となった傷病名、入院期間と手術名、申請書類の送付先などです。保険会社に連絡すると、申請書類を送ってくれます。
- 電話している本人の名前
- 電話している本人の連絡先
- 医療保険契約者の名前
- 被保険者の名前
- 生年月日
- 住所
- 入院の原因となった傷病名
- 入院期間
- 手術名
- 申請書類の送付先
退院する時、この申請書類を医師または病院の受付に渡します。この申請書類が、その保険会社専用の診断書になっています。当然ですが、診断書の作成には料金が発生します。しかも、診断書は保険適用外です。
誰もが一度は耳にしたことのあるような、有名な国立病院や大学病院なら10,000円くらいします。3,000円くらいの良心的なところもありますが、相場としては5,000円くらい。保険適用外なので病院によって料金が大きく違いますし、安くありません。
診断書の依頼をする際には、病院の申し込み用紙を記入します。ここでは、病院が作った申請書類(診断書)を、直接保険会社に送付するか、患者の家に送付するか、どちらか選択できるようになっています。基本的には直接保険会社に送付するように申し込みましょう。
保険会社は、病院から届いた申請書類(診断書)をもとに審査を行います。審査の期間は何らかの審査に時間がかからなければ、基本的に5日営業日以内で終わり、指定の口座に給付金が振込まれます。
医療保険は、基本的に「入院給付金」「手術給付金」「先進医療給付金」「がん診断給付金」などから構成されています。それぞれ、給付金額や発生条件が異なります。よく確認しておきましょう。
入院費用があまりにも高額、または入院期間が長い場合は入院中に医療保険を申請することも考える
保険会社に提出する「申請書類(診断書)」は、3,000〜10,000円かかります。安くないので、できれば保険会社に申請するのは1度で済ませたいところ。この場合の申請するタイミングはどうしても退院の時になります。
ですが、入院が長引いたり、入院費用が思ったより高額になっていたりする場合はどうでしょうか。「急性期病院」では、入院が長引くようなことはあまりなく14〜30日くらいで退院になります。高齢者の場合、「急性期病院」退院後、「回復期リハビリテーション病院」に転院する可能性があります。「回復期リハビリテーション病院」の入院期間は最大180日間です。180日間まるまる入院する場合もあります。
実際に、もし入院が長引くなどして手元にお金がなくなってしまった場合は、入院途中でも医療保険の申請をすることを考えましょう。この場合、審査を経て、5日営業日以内にこの時点までの給付金が振り込まれます。
例えば、180日間、半年もの間長期に入院する場合、3ヶ月目の中間地点で一度保険会社に申請し、退院時にも申請する形です。こうすることで、中間地点で一度保険会社から半分の給付金が得られるので、残りの3ヶ月分の支払いに当てることができます。
ただし、この場合2度申請しているので病院に診断書を2回作ってもらうことになります。診断書作成費用が2倍かかってしまう点を考慮しましょう。毎月申請した場合は6回分、6倍の診断書費用がかかります。
指定代理請求人を指定しないうちに親が入院してしまったらどうするか
「指定代理請求人」のシステムは、親御さんのもしもに備えて、本人が自ら申請できないときに役立つシステムです。ですが、保険会社の医療保険に加入した時点での親御さんは健康だったはず。そのため、その後に「指定代理請求人」を改めて指定しない限り、空白になっているはずです。
では、「指定代理請求人」を指定していないまま、もし親御さんが入院してしまったらどうするのでしょうか。この場合、まず家族が保険会社にどうすれば良いか相談します。多くの保険会社で、どのような対応をすれば代理申請できるかを教えてくれます。
ただし、この場合に連絡する人は、3親等以内の親族で、しかも一緒に暮らしているというような、入院した親御さんにかなり近い関係にある人が電話します。
「指定代理請求人」になれる条件ですら厳密です。「指定代理請求人」を指定していないにもかかわらず、代理申請できる人を立てるには、当然さらに厳密な条件を満たしている必要があるのです。入院した親御さん本人が、ひどい認知症などで意思表示できない状況になってしまってからでは、「誰でも代理人できますよ。」ってわけにはいかないのです。
あらかじめ「指定代理請求人」を立てていた場合に比べ、かなり面倒になるとは思いますが、全く申請できないわけではないかと思うので、早めに保険会社に相談しましょう。
保険会社の医療保険に加入していることを忘れていたまたは知らなかった場合はどうなるか
例えば、突然親御さんが入院したとします。1ヶ月の治療もむなしく、残念ながらなくなってしまったとします。その後、親御さんの遺品を整理していたら「医療保険の証書」が発見されました。もしくは、銀行口座を調べていたら、毎月同じ金額の保険料らしき支払い記録が見つかりました。こんな時、どうしたら良いのでしょうか。
結論からいうと、入院していた期間に発生した医療保険の給付金を申請することができます。審査の結果、問題なければ指定された銀行口座に給付金が支払われます。本人が亡くなっていたとしてもです。
問題は、この給付金が誰のものになるのか。そして、いつまでなら申請可能かという点。医療保険の給付金は財産の一部ですので、法定相続人と呼ばれる配偶者、子供、両親、兄弟が相続の対象となります。例えば、自分の父が入院していた場合、相続の対象になるのは、奥様であるあなたの母親、そして父の子供であるあなたとそのきょうだいが相続の対象です。
医療保険の給付金には、保険法で時効が3年と決められています。入院した日から3年以内であれば申請できると考えておきましょう。1年後に部屋を片付けていたら「医療保険の証書」が見つかったとしても、3年以内ですので申請可能です。
いかがでしたか。今回は医療保険の申請方法と指定代理請求人の準備についてご説明しました。 これで、親御さんが突然入院しても、医療保険の申請は安心です。ぜひ参考にしてみてくださいね。