リバースモーゲージとは高齢者専用の融資商品です。
「不動産はあるけど現金がない、現金収入がない」という高齢者が、不動産を担保として老後資金や年金を借りるという商品です。
リバースモーゲージの最大の特徴は「借りたお金を毎月返済する必要がない」という点と、本人が生きている間は担保となっている物件に住み続けることができるという点にあります。
リバースモーゲージでの基本的な返済方法は、亡くなった時に担保となっている不動産を売却して返済するか、返済期日が到来した時に一括で返済するかです。
リバースモーゲージは今や様々な銀行で取り扱いがあります。
実は3大メガバンクがリバースモーゲージの取り扱いを始めたのはごく最近で、2015年3月に三井住友銀行がリバースモーゲージの取り扱いを始めたことで、ようやく3大メガバンクのリバースモーゲージが出そろったという状況です。
3大メガバンクのうちで最も他のリバースモーゲージと異なる特色を持つのは三菱東京UFJ銀行です。
今回は三菱UFJ銀行のリバースモーゲージについて解説していきます。
三菱東京UFJ銀行リバースモーゲージの特徴
込年齢
三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは他の銀行のリバースモーゲージよりも少し手堅いという印象の商品です。
多くのリバースモーゲージでは55歳以上の年齢から申込が可能ですが、三菱東京UFJ銀行のリバースモーゲージは60歳以上80歳の誕生日までの期間までしか申し込むことができません。
借入ができる年齢の幅が他の商品よりも狭められていると言ってもよく、定年退職後に退職金を受け取ってからリバースモーゲージを活用するかどうかを検討できるような設計になっています。
住宅関連資金にしか使用することができない
三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは住宅のリフォームや建設資金やサービス付き高齢者向け住宅の入居一時金にしか申し込むことができません。
3大メガバンクであるみずほ銀行や三井住友銀行のリバースモーゲージは事業資金以外には何に使用しても自由であるということと比べると、こちらもかなり手堅い設計になっているといえるでしょう。
住宅資金ですので、自宅を担保に入れて住み替え資金を借りるとか、自宅から出てサービス付き高齢者向け住宅に入居するとか言った場合に三菱東京UFJ銀行のリバースモーゲージが活用できます。
資金使途によって融資金に幅がある
三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは、リフォーム資金・サービス付き高齢者向け住宅住居一時金は1,500万円まで、自宅の建設購入資金は5,000万円までと融資金額も決められています。
いくら担保に入れる物件の評価額が高くても、決められた金額以上の金額を借りることはできません。
借入限度額が厳格
三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは借入限度額が以下のようになっています。
①~③のうちもっとも低い額が借り入れの額の上限となります。
①各資金使途の必要額
(地方公共団体の融資や補助金を受ける場合には、融資額から当該融資金や補助金の金額を差し引いた額)
②担保不動産の評価額の50%に相当する金額
(担保不動産の評価額は、三菱UFJ銀行および住宅金融支援機構所定の評価)
③年収に対するすべてのお借り入れの年間返済合計額の割合(以下、「返済負担率」と
いう)が下表の条件を満たす金額。
年収400万円未満:返済比率30%以下
年収400万円以上:返済比率35%以下となっています。
担保価格の50%というのはどこの銀行のリバースモーゲージでも一般的ですが、返済比率の縛りがあるのは三菱UFJ銀行のリバースモーゲージの特徴であるといえるでしょう。
現金収入のあまりない高齢者が三菱UFJ銀行のリバースモーゲージから多くの金額を借りるのは難しいという側面もあります。
住宅融資保険付きなので保証人不要
三菱UFJ銀行のリバースモーゲージには住宅融資保険がついています。
住宅融資保険とは、融資金の返済ができなかった場合に、融資金の9割まで、保険で返済が行われるというもので、住宅ローンで言えば保証会社のようなものです。
住宅融資保険には保険料が発生しますが、三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは保険料を三菱UFJ銀行が負担します。
保険がついているため保証人は原則必要ありません。
返済は原則借主死亡時に担保物件の売却にて行う
三菱UFJ銀行のリバースモーゲージの返済は、借主の死亡時に相続人が一括返済するのが原則です。
ただし、相続人は現金での一括返済を拒否することもでき、その際に担保となっている物件の売却によって、返済金に充てることができます。
東京・神奈川・埼玉・千葉の物件で、子供の同居物件は取り扱い不可能
多くの銀行がそうであるように、三菱UFJ銀行のリバースモーゲージも首都圏の物件しか担保としては提供できません。
地方の不動産では流動性が低いためです。
また、リバースモーゲージは本人が生きている間は担保物件に住み続けることができるという商品です。
子どもが同居している場合には、借主死亡後に子どもの住居を奪ってしまう可能性があるため、子供との同居物件もリバースモーゲージの担保として活用することは不可能です。
自分が居住している、もしくは居住予定の物件のみ担保利用可能
三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは自分が居住している物件や、新築や購入によって今後自分が居住する予定の物件のみ担保として利用することができます。
「あまり必要ない土地や物件をもっているから、それをリバースモーゲージに活用しよう」と考えても、そのような不動産はリバースモーゲージの担保として資金化することはできないため注意が必要です。
むしろそのような場合には、当該不動産を売却したほうが多くの金額を手にすることができるでしょう。(リバースモーゲージでは評価額の50%までしか借りることができないため)
カウンセリングには推定相続人全員の同席が必要
リバースモーゲージを借りるには、三菱UFJ銀行のカウンセリングを受ける必要があります。
リバースモーゲージのような商品で最も多いトラブルは相続人と銀行のトラブルです。
特に、三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは借主死亡後の相続人が返済を行うという商品ですので、借入前のカウンセリングの際には推定相続人全員の同席が必要になります。
なお、他の銀行の商品でも推定相続人全員の同意や同席が必要となります。
三菱東京UFJ銀行リバースモーゲージのリスク
リバースモーゲージは、本人が生きている間は担保物件に住み続けることができるうえに、生きている間は返済も不要というメリットがある借入ですが、当然ながらリスクもあります。
特に三菱UFJ銀行のリバースモーゲージには他のリバースモーゲージにはないリスクがあるます。
以下、三菱UFJ銀行独特のリスクをご紹介します。
担保割れした場合には相続人に返済義務が生じる
三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは借主が亡くなった時の返済義務は相続人にあります。
相続人は返済を拒否することができますが、その場合には担保となっている物件に抵当権を行使することで返済に充てることができますが、もしも担保となっている物件の売却価格<借入残高であった場合には担保の物件価格から返しきれなかった部分は相続人に返済義務が生じてしまうことになります。
例えば借主死亡時に借入残高が1,000万円で、担保物件の価格が900万円だった場合には、差額の100万円を相続人が返済しなければなりません。
東京スター銀行などのリバースモーゲージが担保価格の不足分が相続人に返済義務が生じないことを鑑みれば、この点は三菱UFJ銀行のリバースモーゲージのデメリットであるといえるでしょう。
今、首都圏は不動産バブルともいえる状況ですので、今後、不動産価格が下落するリスクも考慮に入れてリバースモーゲージの借入れを検討したほうがよいかもしれません。
配偶者の居住は借主死亡後3年間のみ
リバースモーゲージを借りた人に同居の配偶者がいた場合、借主が亡くなった後、3年間配偶者は担保物件に住み続けることができます。
これは逆に言えば、一括返済できない場合には借主が亡くなった後に配偶者が3年以上生きてしまったら住む家がなくなってしまうということを意味します。
銀行によっては配偶者が生きている間は抵当権を行使しないというリバースモーゲージを取り扱っている場合もありますので、こちらも三菱UFJ銀行のリバースモーゲージ独自のリスクであると考えた方がよいでしょう。
まとめ
三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは住宅関連の資金にしか利用することはできません。
他の銀行が何にお金を使っても自由という点と比べると資金使途は限られていると言えます。
そもそも、融資金額には返済比率の縛りがあるため、年金収入しかない現金収入の少ない人には三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは不向きであると言えます。
あくまでも、それなりに収入のある人向けの住宅関連資金として、リバースモーゲージを活用するという目的です。
また、三菱UFJ銀行のリバースモーゲージは他の商品にはあまりないリスクもありますので注意が必要です。
担保割れした部分は相続人に返済義務が生じてしまいますし、借主が亡くなったあとは3年間しか配偶者は担保物件に住み続けることができません。
メリットとデメリットがはっきりと分かれている商品ですので、しっかりと理解してから借入れを行うようにしましょう。