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口腔内細菌数はなんと1000億〜1兆
医療法人清潮会 三和中央病院によると、口腔内には300~400種類の細菌が存在しているそうです。その数なんと1000億〜1兆。
よく磨く人の口腔内細菌数は1000~2000億、あまり磨かない人の口腔内細菌数は4000~6000億、ほとんど磨かない人の口腔内細菌数1兆を超えるそうです。想像できないほど口の中に菌が住んでいるということになります。
腸内細菌数が500〜1000兆。口は腸より明らかに小さいですから、その数の異常さに驚きます。
虫歯の原因菌は歯を溶かすだけだが、歯周病菌は身体中を蝕む
口腔内の病気として最も有名な「歯周病」。歯と歯肉の間に潜む「プラーク(歯垢)」が歯の周囲組織を壊していく病気です。「プラーク(歯垢)」という名称を聞くと、なんら脅威を感じませんが、歯周病菌の塊のことです。
この「プラーク(歯垢)」はとても曲者で、歯の周囲組織を壊すだけでなく、虫歯の原因菌を活性化させたり、口腔内の傷口から侵入し、血管を通して身体中にいきわたります。
日本人の死亡原因ベスト4の病気に関連する歯周病
がん
日本人の死亡原因第1位が「がん」です。インペリアル・カレッジ・ロンドンのドミニク・ミショー博士らによると、歯周病歴のある男性医療専門家を対象にした長期研究で、「がん」を患う可能性が全体的に14%高いことが判明したそうです。
また愛知県がんセンター研究所によると、愛知県がんセンターを受診した約3800人を対象とする調査で、歯磨きの回数で口の中や食道のがんになる危険性が異なることがわかったそうです。1日2回以上歯を磨く人の発がんは1回の人より3割低く、0回の人の発がんは1回の人の1.8倍、2回以上のなんと2.5倍にも高まるとのことです。
心疾患
日本人の死亡原因第2位が「心疾患」です。動脈が完全にふさがってしまう病気「心筋梗塞」。心筋梗塞の手前、動脈が完全にふさがる前の状態「狭心症」。心臓が細菌感染してしまう「感染性心内膜炎」。
心臓にある弁(蛇口のように血流を制御する役割)に障害が発生する「心臓弁膜症」など、様々な「心疾患」がありますが、口腔内の傷口から侵入した歯周病菌が心臓に到達すれば、血管をふさいだり、感染したり、命に関わる様々な悪さを行います。
肺炎
日本人の死亡原因第3位が「肺炎」です。高齢者の肺炎の多くは「誤嚥性肺炎」。歯周病菌を含む唾液や食物が気管や肺に入ってしまえば肺炎となります。高齢者になると気管や肺に侵入した異物を、激しくせき込んで排除することができなくなってきてしまいますから、発症率はより高いのです。
脳血管疾患
日本人の死亡原因第4位が「脳血管疾患」です。少し前までは第3位に位置していました。脳血管が詰まる病気が「脳梗塞」です。日本臨床歯周病学会によると、歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になり易いとのことです。
高齢者に多い病気にも関連する歯周病
骨粗鬆症
骨を作る量よりも、骨を壊す量の方が多くなり、骨がもろくなっている状態が「骨粗鬆症」です。歯も骨ですから、「骨粗鬆症」は歯周病菌を手助けすることになります。
特に閉経後の女性の場合「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンが減少します。「エストロゲン」の減少は、骨の強度を弱くするだけでなく歯周病を悪化させますので、歯周病と「骨粗鬆症」の対策は同時進行させる必要があります。
関節リウマチ
関節に腫れや強い痛みを伴う炎症を発生させる「関節リウマチ」。高齢者の多くが日々悩まされている病気です。歯周病菌が多いと、「関節リウマチ」の原因になる自己抗体も増加します。そのため「関節リウマチ」が悪化していくのです。
しかも、指などの関節が痛む場合歯磨きも疎かになってしまいます。「関節リウマチ」を原因にしっかり歯を磨けない状態が続くと「歯周病」も悪化。悪循環です。
糖尿病
膵臓から分泌されるインスリンが不足して、血糖値を異常に高くなる病気「糖尿病」。血糖値を下げようと体内の水分で薄めようとした結果、口の中が乾きます。唾液の分泌量が減少すると、今度は歯周病菌が活性化します。
歯周病菌が排出する毒素は口腔内の傷口から侵入し、血糖値を下げる働きを持つインスリンの効果を下げてしまいます。「歯周病」と「糖尿病」は、お互いに症状を悪化させ合う関係です。
よくある病気感染症にも関連する歯周病
インフルエンザやノロウイルスなどのウイルスや細菌が体を害する「感染症」。口腔内においては、粘膜がウイルスや細菌の侵入を防いでくれています。しかし歯周病菌はその粘膜の破壊にすら関係します。粘膜が破壊されると、「感染症」にかかりやすくなります。
いかがでしたか。「歯周病」は様々な病気に関係しています。「歯周病」を予防するには歯磨きが必須。できる限り「プラーク(歯垢)」を除去し、口腔内細菌数を少なく保つことが重要です。