介護環境と介護の仕事を理解する

介護の仕事が早くなる 職場環境改善『反完璧主義』7つのメリット

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

完璧主義とは

完璧主義とは、妥協することなく、完璧に仕事をこなす傾向にある人をいいます。100の仕事があるとして、100の仕事をこなそうと努力する人のことです。

実は多い"完璧主義"7つのデメリット

完璧主義者は、100ある仕事の全てをこなそうと努力できる方ですから、他の職員に比べてたくさんの仕事をこなします。そのため高い評価を得られそうに思えますが、他の職員からの評価はいとはいえず、評価が偏りがちです。

臨機応変な対応ができない

様々な業態で臨機応変な対応が求められます。特に介護のように人の相手をする仕事においてとても重要なスキルが臨機応変さです。

プライベートで例えると、晴れている日は自転車で、雨の日は車で出勤するといった行動が臨機応変さになります。

職場であれば、急な職員のお休みがある日、優先順位の低い仕事をしないよう臨機応変な対応をします。利用者様が嫌がる時は目的とする行為を中止して、その原因を探るなどの対応に変えたりします。

完璧を求めるあまりに、急な職員のお休みがあってもいつもと同じよう100の仕事をやらせたり、やろうとしたりする選択は臨機応変さに欠けます。

目的を見失いがち

介護をする目的はなんでしょうか。ただなんとなく行う「お世話」が目的ではありません。高齢者の自立した生活が目的。「自立した生活」とは、他人の助けなしで自分だけの力で生活すること。

要介護状態にある高齢者の身体機能は低下していますので支援が必須。しかし理想的には、可能な範囲で身体機能の回復も目的になるということになります。

「自立した生活」には、他人の支配を受けることなく、自分の意思で生活することも含まれます。支援が必要な状態にあっても、介護職員側の都合で生活の選択を制限する行為は、自立支援とはいえません。

介護職員が行う介護やケア、ケアプランなどは目的を達成するためのただの手段。しかし、完璧主義の人はこれを見失いがち。100の仕事があるとしたら、100の仕事をこなそうとします。100の仕事は、「自立した生活」を目的におこうなうべきですが、完璧主義者は気がつかないうちに、100の仕事という手段を目的化します。

そこに高齢者自身の気持ちを考慮する余地はありません。100ある仕事を達成して満足するのは、完璧主義者な介護職員のみ。高齢者は100の仕事をやってくれたからといって満足しません。

他の職員や利用者様の意思ややる気を無視しがち

100ある仕事をきっちり行おうと努力する完璧主義者は、他の職員や利用者様の意思ややる気を無視しがち。人は機械ではありません。体調が悪い時もあれば、なんとなくやる気が出ない時だってあります。一人で一生懸命、100の仕事を終わらそうと忙しそうにしていると、「今日はなんだかやる気が出ない」だなんて思っても言い出せません。

完璧を目指しているので余裕がなく、そういった人の機微に気がつくことも難しいでしょう。つまり自分にとっての理想を周りの人たちにも押し付けがちになります。

ケアプラン作成を職務とするケアマネージャーであれば、完璧なケアプランを作ってとても満足します。それなりに自信もあるはず。そのため、介護職員や利用者様、ご家族などの意見や感想、アドバイスを取り入れられない傾向になる場合があります。

仕事が遅くなりがち

妥協を許せない傾向にあるので、最初から落としどころを想定していません。最終的に落ち着く着地点、妥協点が落としどころです。完璧にこだわるあまり時間を押してしまうことがあるのです。

介護の仕事は日々継続して行われるもの。完璧にできない日があっても「自立した日常生活」という目的達成には、大きな支障はないはずです。

しかし、完璧主義者の目的は仕事を完璧に行うこと。目的を見失っているので、完璧だけを目指し、仕事が遅くなってしまうのです。

職場環境が悪くなりがち

介護の現場では、職員の出勤表「シフト表」なるものをつくっていると思います。日本全体で人材不足な今日この頃。介護業界は特に人手が足りていません。そのため、急なお休みがあると非常に困ってしまいます。特に夜勤は、他の職員でカバーするなんてことができませんので、他の職員を探さなければなりません。

職員のミスやヒヤリ・ハットなどはいかがでしょう。例えばドア鍵の閉め忘れ。服薬介助忘れ。忘れがちな業務は様々あります。介護なんて仕事は、本当にミスや忘れなど、ヒヤリ・ハットの出やすい職業です。

管理者やリーダーはその都度イライラしているのでしょうか。しかし人は必ず体調を崩します。忙しく余裕がなければ、忘れがちにもなります。体調を崩したことがない人間も、ミスや物忘れしたことない人間もいないはずです。ではなぜ、「シフトの9割稼働すればラッキー」程度に、心構えをしておかないのでしょうか。人の体調変化やミスに物忘れは必ず発生するにもかかわらず、それを想定していない方が無能に感じます。

ミスや忘れを人という生ものせいにして、自分が行う管理などのシステムそのものの見直しをなぜ行わないのでしょうか。他の職員のミス、休みなどにイライラして、他社に当たり散らしているのであれば、職場環境は最悪です。

改善や新しいことに否定的

完璧主義者は失敗やミスをとても嫌がります。失敗やミスは、完璧とは真逆に位置するからです。なぜだか、初めから完璧を目指そうとするのです。

そのため新しいことや改善に否定的になりがち。完璧にできるかどうかが物事の判断基準です。新しいことや改善した業務が完璧にできそうにないと、とても消極的になります。

完璧主義で行われる介護の職場は決して良いものとは言えません。確実にできることしかやらないからです。つまり無難な仕事だけをサイクルすることになります。改善や新しいことに否定的になってしまうのでとても悪循環。どんどん職場環境が悪化していきます。

職員も利用者様もモチベーションが下がりやすくなる

ある程度の基準を満たせば成功だと判断することのできない完璧主義者は、完璧でなければ失敗だと思いがち。思っていることは態度にも出てしまうのが人間です。つまり周りにいる人が喜びを感じられません。完璧主義者のあなたにとって完璧だと思える結果を出さない限り褒められることがないのです。達成感や成功の喜びという報酬が与えられない状態。

「70点も取れた」ではなく「100点でなければ意味がない」。このような考え方を押し付けがちになるので、自分はもちろん、他の職員や利用者様のモチベーションが下がりやすい環境となります。褒められない環境ではモチベーション駄々下がりです。

完璧主義者への対応方法

完璧主義者がいる職場だと、本人自身だけでなく周りにいる人間の首も締めます。特に、トップに立つ人間が完璧主義者だと職場の雰囲気は険悪になりがち。誰もが失敗や休むことが怖くなります。そのため、ヒヤリ・ハットの報告を隠蔽したり、風邪やインフルエンザにもかかわらず無理して職場に来るなんてことにもなりかねません。

どうしても体調が悪く2度3度とお休みしてしまった職員は、その後出勤すること自体が怖くなり退職の道を選んでしまうこともあるでしょう。ただでさえ人材不足なのに、さらに人が辞めやすい環境が構築されていきます。

ゴールや目標などの目的を中心に話し合う

介護の現場はどこも人材不足です。日々の仕事でいっぱいいっぱい。そのため「選択と集中」を行い仕事の断捨離をしたいところ。ですが完璧主義者は上からの命令だからと、仕事を減らすことなく、むしろ増加させる傾向にあります。仕事を投げっぱなしにする方も中にはいるでしょう。

そんな時は、会議などで目的の達成度について提案してみます。新たに増加する仕事の重要度を認めた上で、仕事が増加することによるミスや事故の増加、利用者様との接点減少により「目的(自立支援)」から遠ざかることを強調します。

余裕がさらになくなればミスや事故の増加に限らず、職員同士の助け合いが減少。つまり職場環境が悪化します。さらに人が辞めやすい環境を作る結果となり、「目的(自立支援)」から遠ざかる旨を進言するのです。優先順位の低い仕事からカットしていきます。

優先順位の提案をする

重要度や緊急度は、仕事内容によって大きく異なります。そこで仕事内容によって、「優先順位」をつける提案し、みんなで共有します。

例えば、重要度もしくは、緊急度の高い業務には二重丸。中くらいのものに◯。低いものには三角をつけます。さらに、頻度についても話し合います。日々継続して行われる、重要度の低い業務の頻度を少なくするのです。毎日行っていた掃除を1日置きにしたとしても、健康面においても見た目においても、大きな差はないとなれば、そのように頻度を減らします。

もちろん支障がないのであれば、思い切ってその業務をカットしてしまっても良いでしょう。職員の質の向上、人数の増加など、職場環境が変わった時、そのメンバーでならできるとなった時に業務を再開すればいいのです。

自分たちの実力の、背伸びを明らかに超えてしまうような、無理な業務量をいつまでもやり続けていたのでは、職員のやる気を奪うだけ。余裕がないので、利用者様への対応も疎かになり、いいことは何もありません。

業務一つ一つの目的明確化を提案する

目的の不明確な業務はその完成度がばらつきやすく、人により大きな差が出やすくなりがち。仕事の目的を不明確にしたままでは、業務を終えることそのものを目的にされてしまっても仕方のないことです。

掃除なら掃除をする目的、入浴であれば入浴をする目的を明確にします。特別に、なんらかの病気を抱える利用者様に関しては例外的な目的の設定も必要になります。これにより、その業務の重要度が大きく変わるからです。

業務一つ一つの目的が明確になれば、話し合いの際、目的の達成度を挙げるなどのように、充実した会議も行えます。また会議の内容の方向性がはっきりするので、目的から遠ざかるような提案が出されずらく、達成に近づくような提案が出しやすくなります。

業務一つ一つに制限時間を提案する

掃除や入浴介助など、可能な限り手順の一つ一つに、開始時間だけでなく制限時間も設定します。制限時間になっても終わっていないのであれば、その時点でその業務を終了し、業務が途中であることを引き継ぎます。

延長する場合、優先順位の低い業務をその日に関してのみカットします。やはり、その旨申し送りをします。終わらないものは終わらないのです。

申し送りにて、制限時間内に終わらないことの多い業務に関しては、やり方の改善やスキルアップが必要です。それでもすぐには解決しないのであれば、やはり優先順位の低い業務を削るしか方法はありません。

業務一つ一つに理想(ベストパフォーマー・ベテラン担当者)と物差し(達成基準・業務の範囲)を提案する

業務一つ一つに、理想的な達成基準とその結果を生み出すベストパフォーマー、もしくは、ベテラン担当者のやり方と、そのやり方をする理由を記載します。

こうすることで達成できない介護職員と、達成基準を大きく上回るベストパフォーマー・ベテラン担当者の差を、徐々に徐々に縮めていくことができます。

それとは別に、物差し(達成基準・業務の範囲)も明確に記載しておきます。達成基準が明確になれば、完璧主義者による押し付けを防ぐことが可能となります。

業務一つ一つにアウトプット(記録)することを提案する

業務一つ一つに、アウトプット(記録)することを追加します。その業務を行う目的がはっきりしているので、その業務を行う上で得られた情報も記録しやすくなります。目的に近づいているの遠ざかっているのか、何を書けばいいのかはっきりするのです。

例えば「9部屋中7部屋しか時間内に掃除が終わらなかった」など、業務そのものに対する情報。もしくは「〇〇さんが居室の掃除を手伝ってくださった。初めてだったので見守りを行いました。安定しているので、見守りなく自分の居室の掃除をしてもらうようなケアプランを提案したい」などのような記録も考えられます。

掃除という生活援助を行う目的は、当然ですが「自立支援」です。つまり「掃除が終わらなかった」という記録は見当違いの報告ということになります。この記録内容は、「掃除を時間内に終わらせられるのかどうか」を目的としている場合にのみ有効な記録内容です。

一方、あなたが居室の掃除をしている際の、利用者さん一人ひとりの行動や反応の報告は、「自立支援」を目的とした場合の報告として適した記録内容です。仮にもし9部屋中7部屋の掃除しか終わらなかったのだとしても、「明日は逆側の居室から掃除をしてください」と指示すればいいだけのこと。

業務内容(目的も)とアウトプット(記録)する内容(目的も)を必ずセットにして仕事を教えることで、業務だけでなく、自立支援という目的の達成度も上昇します。もちろん、目的だけでなく、記録する内容も明確化されているので、完璧主義者の手段の目的化を防ぐことになります。

品質と効率(コスト)と介護職員の健康 3つのバランス調査を提案する

完璧主義者は、品質だけを意識する人と、効率(コスト)だけを意識する人に分かれます。品質だけを意識する人の特徴は、仕事が時間内に終わらない傾向にあり、効率(コスト)だけを意識する人の特徴は、誰よりも早く仕事を終える傾向にあります。

どちらも、自分の価値観に従った業務の仕方を取っており、利用者様の意思や健康はもちろん、他の「介護職員の考え方や健康」を無視しています。しかし、介護職員一人一人の考え方や健康を無視し続けると、品質と効率(コスト)両方が悪くなります。品質だけを優先すれば、効率が悪くなりますし、その逆も然り。

品質と効率(コスト)と介護職員の健康、3つのバランスが取れていなければ、良い結果を得ることができません。そこで利用者様だけでなく、介護職員とも定期的に、1対1などのコミュニケーションをとる必要が出てきます。

もちろん、全体会議による話し合いも必要ですが、1対1でなければ得ることのできない情報はたくさんあります。特に、介護職員の心と体の健康は、1対1の方が話しやすい内容が多くあります。

反完璧主義な職場方針は完璧主義7つのデメリットを全てメリットに変える

完璧主義者はたくさんいらしゃいます。あなたの職場にも、1人くらいはいるのではないでしょうか。そこで、完璧主義とは真逆の方針、反完璧主義な方針で職場を運営できれば、デメリットだった7つのことが、全てメリットに変えることができます。

臨機応変な対応がしやすくなり、目的意識を持った職員が増加します。共通の目的を持って行動することになるので、烏合の衆であったバラバラの職員たちがまとまり、組織として機能するようになります。

利用者様はもちろん職員一人一人の意思や考え方、やる気や体調が重要視されるようになり、職場の雰囲気が徐々に明るくなっていきます。

遅れがち、残業が絶えなかった状態が改善され、職員や利用者様のストレスが減少していきます。休みが取りやすくなり、失敗やミス、ヒヤリ・ハットを責めるのではなく、それを減少させる有意義な会議ができるようになります。

ミスや失敗が許される職場になるので、会議での新しい提案や、改善が受け入れやすくなります。達成される職務が増加されるので、モチベーションまで上昇。いいことづくめです。

反完璧主義な職場方針の例

  • 明るく
  • ゆったり
  • 利用者の満足度

3つほど反完璧主義な職場方針の例を挙げてみました。「明るく」はまるで幼稚園のような、とっても親しみやすくとても介護に適した行動方針といえます。例えば掃除。行動方針が「明るく」なので、「明るい掃除とは何ぞや」とみんなで話し合う必要も出てきます。せかせかと時間内に仕事をするやり方は「明るく」には合いません。ディズニーリゾートで掃除"も"担当するカストーディアルキャストのような掃除方法の方が「明るく」に反しない掃除の方法といえます。つまり時間内に掃除を終える必要がありません。利用者様を楽しませつつ掃除をする方が「明るく」に適しています。

「ゆったり」や「利用者の満足度」も同じです。「ゆったり」に適した掃除のやり方にせかせか時間内に終わらせる掃除の方法は適していません。同じく「利用者の満足度」に適した掃除のやり方もせかせか時間内に終わらせるやり方は違うと思います。

反完璧主義な職場方針をいくつか決めたら(3つまでが管理しやすい)、みんなで話し合い、一つ一つの仕事のやり方を改めて話し合ってみるといいと思います。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
家を売らなくても、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、家の金銭的価値を把握しておけば選択肢が増えますよ。

相続した実家が空き家⇛ 築40年超えの古家でも高く売る方法

親の介護費用が払えない!? 親が認知症になってからでは遅い

築47年の一戸建てを相続したが住まない長男が実家を売却【母親が介護施設に入所】

  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

-介護環境と介護の仕事を理解する