介護保険制度を理解する

元気な高齢者専用の居場所・生きがいづくりができる総合事業とは

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あなたの親御さんは元気ですか。友達はいるでしょうか。引きこもっていないですか。楽しく生活できているでしょうか。そんな心配の全てを吹き飛ばしてくれる、市町村が中心になって展開される新しいサービスができました。今回は『介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)』について説明します。

平成27年4月にできたばかりの新しいサービス

 

『介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)』とは、平成27年4月の介護保険制度改正でできたばかりの新しいサービスです。今まで要支援1〜2の方が利用していた「介護予防訪問介護」や「介護予防通所介護(介護予防デイサービス)」は『介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)』に置き換わりました。

背景

 

このような大がかりな変更をするのには理由があります。要介護1〜5の高齢者は、その身体機能や認知症を理由にだいぶ動作が制限されています。高齢者1人1人、細かい部分に差はありますが、大きな部分の悩みはかなり共通しているのです。例えば、体が不自由なので通院できない、排泄が困難、食事することが難しいなど。ニーズ(やりたいこと・望むこと・悩み事)はかなり限定的です。

では、要支援1〜2または65歳以上ではあるけれど要介護認定を受けていない元気な高齢者の場合はどうでしょう。私たちと近いか、ほぼ同じくらい動作や行動の範囲が広いはずです。動作や行動の範囲が広いということは、それだけ「やりたいこと」や「望むこと」「悩み事」の幅が広いということ。

私たちと同じような望み、例えば、居場所が欲しい、同じ趣味、同じ年代と交流できる場所が欲しい、生きがいが欲しい、旅行に行きたい、ショッピングを楽しみたい、お酒を飲みたい、デートを楽しみたいなんて希望があってもおかしくないのです。多種多様なニーズがあって当然なのです。

多種多様なニーズに対応できる「総合事業」

介護保険サービスは、基本的に国が中心となってサービスの充実をはかっています。

「総合事業」の場合、市町村が中心となって、地域の実情に応じて、地域住民も参加して、多様なサービスの充実化をはかるというものです。

地域の支え合いの体制づくりにつながるので、要支援1〜2の高齢者だけでなく、元気な高齢者まで効果的かつ効率的な支援等を実現。地域全体で、多様なニーズに応えつつ支えていくと、要介護状態を遅らせ、防止し、改善することにもなります。

もう少し簡単にいうと、介護っぽくないサービスが増加するということ。「介護予防訪問介護」や「介護予防通所介護(介護予防デイサービス)」ではダメなんです。そもそも、ほとんど自由に体を動かすことのできる要支援1〜2の高齢者にとって、わざわざ家に訪問してもらってまで介護や家事支援をしてもらう用事はほとんどないのです。

『訪問型サービス』『通所型サービス』ならどうでしょう。介護って名前が付いていません。想像できるのは、高齢者の自宅に訪問または高齢者自ら施設に行くことで、何らかのサービスを受けることができるということ。

このように、「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」では、多種多様なサービスが増えていくことになります。しかも、地域によって様々なサービスの増加が期待されます。

もちろん、以前に存在したサービス「介護予防訪問介護」と同じサービスも『訪問型サービス』にて受けることができます。介護予防デイサービスと同じサービスは、『通所型サービス』で受けることができるでしょう。ただし、それ以外のニーズを満たすサービスもどんどん増加していくのです。元気な高齢者にとっては非常に楽しみなサービスなのです。

「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」は、要支援1〜2の高齢者だけでなく、要介護認定を受けていない元気な65歳以上の高齢者でも利用できます。

一般的な「総合事業」サービスの種類

基本的に、1と6のサービスは「要支援1〜2」の要介護認定を受けている方だけが利用できるサービスです。

1と6以外のサービスは、「要支援1〜2」の要介護認定を受けていなくても、「基本チェックリスト」に該当している65歳の高齢者であれば利用できます。

介護予防・生活支援サービス事業
サービス種類 サービス名称 サービス内容
訪問型サービス 1訪問介護 介護予防訪問介護相当のサービス。
2訪問型サービスA 1のサービス基準を緩和したサービス。
3訪問型サービスB 地域住民主体のサービス。ちょっとした支援。
4訪問型サービスC 専門職員による体力の改善に向けた支援。身体機能、生活機能の改善に向けた支援。
5訪問型サービスD 通院等で、車の乗り降りと屋内外における移動介助など。
通所型サービス 6通所介護 介護予防通所介護(デイサービス)相当のサービス。
7通所型サービスA 6のサービス基準を緩和したサービス。
8通所型サービスB 地域住民主体のサービス。ちょっとした支援。
9通所型サービスC 専門職員による体力の改善に向けた支援。身体機能、生活機能の改善に向けた支援。
生活支援サービス 10配食 栄養改善を目的とした配食サービス。
11見守り 住民ボランティア等が行う見守りサービス。
12生活支援 訪問型サービスや通所型サービスと一体的に提供される生活支援サービス。
介護予防ケアマネジメント 13介護予防ケアマネジメント ケアマネージャーによる、介護計画書(ケアプラン)作成サービス。

「一般介護予防事業」のサービスは、65歳以上であれば誰もが利用することができます。

一般介護予防事業
サービス名称 サービス内容
1介護予防把握事業 閉じこもり等の何らかの支援を要する高齢者を把握し、介護予防活動へつなげるサービス。
2介護予防普及啓発事業 介護予防活動の普及を行うサービス。
3地域介護予防活動支援事業 地域における住民主体の介護予防活動の育成・支援を行うサービス。
4一般介護予防事業評価事業 介護計画の目標達成状況の検証を行い、一般介護予防事業の事業評価を行うサービス。
5地域リハビリテーション活動支援事業 地域における介護予防の取組を機能を強化するサービス。

上記のサービスは、厚生労働省が、市町村が参考にできるよう典型例として公表しているサービスです。そのため、どこの市町村でも宇野にあるようなサービスが用意されています。

上記に記載されるサービス以外にも、各市町村独自のサービスを用意しています。特に、「一般介護予防事業」のサービスは、地域によってまちまちで、かなりたくさん用意してくれている市町村もあります。各市町村のウェブサイトをご確認ください。

親御さんが暮らす市町村が、居場所が欲しい、同じ趣味、同じ年代と交流できる場所が欲しい、生きがいが欲しい、旅行に行きたい、ショッピングを楽しみたい、お酒を飲みたい、デートを楽しみたいなど、多種多様なニーズに応えてくれるサービスを提供してくれているかもしれません。

「総合事業」サービスの利用の流れ

  1. 親御さんが暮らす住所から担当する「地域包括支援センター」を探す。(「川口市 地域包括支援センター」などと検索すると、「住所別担当地域包括支援センター一覧」を見ることができます。)
  2. 「地域包括支援センター」に電話して、予約できるようであれば予約します。
  3. 「地域包括支援センター」を訪問し、「総合事業」のサービス内容を聞く。
  4. 「総合事業」のサービスを利用したいと希望する。
  5. 「基本チェックリスト」を行い、「介護予防・生活支援サービス事業」「一般介護予防事業」のどちらかに振り分けられる。
  6. 「介護予防ケアマネジメント(ケアプラン)」作成のための会議が開催される。
  7. 「介護予防ケアマネジメント(ケアプラン)」を作成してもらう。
  8. 「介護予防ケアマネジメント(ケアプラン)」に同意し、「総合事業」サービスを利用する。

いかがでしたか。今回は『介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)』についてご説明しました。まずは「地域包括支援センター」に行ってみてください。きっと、仲間や友人ができて、楽しい老後生活を送ることができるはずです。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
家を売らなくても、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、家の金銭的価値を把握しておけば選択肢が増えますよ。

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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