離れて暮らす老親の生活支援と介護

高齢者の退院後の不安を解決してくれる医療ソーシャルワーカーの役割

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 70歳以上の親御さん入院。介護が必要な体になっていたら、退院するとき不安ですよね。入院中の不満や不安、誰に相談すれば良いか、途方に暮れてしまいますよね。そんな不安も一挙に解決してくれるサービスがあります。今回は医療ソーシャルワーカーの役割についてご説明します。

医療ソーシャルワーカーとは

 あまり知られていませんが、多くの病院には、患者やその家族の悩みを聞いて、適切なアドバイスをくれる『医療ソーシャルワーカー』が在籍しています。病院の受付窓口の隣にある、「医療相談室」「地域連携室」などの名前があったらそれです。1度や2度、目にしたことがあるのではないでしょうか。

  • 療養中の心の問題の解決と援助
  • 社会的問題の解決と援助
  • 退院援助
  • 社会復帰援助
  • 受診、受療援助
  • 治療費や治療による仕事の問題解決と援助
  • 介護や他の病院関係者との連携

などが主な仕事。

病院内の不安や不満を解決、または援助してくれる

 病気や怪我の症状にもよりますが、食事、トイレ、入浴、寝具の交換、待合室、売店、医師や看護師との関係などなど、その病気、その病院ならではの様々な不安や不満が出てくることでしょう。

 食事の内容、食事の形態、食事の出し方などなど、食事ひとつとっても、人それぞれ様々な問題が生じるかもしれません。売店に買い物に行きたいけど、車椅子の場合どうしたら良いか。

 トイレであれば、看護師を呼んでもなかなか来ないとか、トイレが狭いとか、トイレが臭うとか。入浴の時間や、入浴の頻度、入浴の方法。寝具の交換の仕方、寝具を交換している間どこにいればいいのか。その病院ならではの問題と患者本人の性格や生活スタイルが合わさることで、様々な不安や不満が生じます。

 サービスや設備だけでなく、人間関係も同じ。医師や看護師の説明が専門用語ばかりでよくわからない。看護師の対応が悪い。隣の患者がうるさい。医師や看護師が、忙しいからかあまり話を聞いてくれない。もしかしたら人間関係の方が、多くの不安や不満があるかもしれません。

 そんな時は迷わず『医療ソーシャルワーカー』に相談しましょう。『医療ソーシャルワーカー』は、相談を聞いてくれるための専門職。そのため、ゆっくり話を聞いてくれます。患者と家族の立場になって、悩みの内容、状況などを踏まえ、的確なアドバイスをくれたり、医師や看護師と上手に調整してくれます。

さまざまなサービスの紹介や連携を手助けしてくれる

 家族があまり面会に来られないので、その場合の洗濯や買い物をそうしたら良いのか。髪が伸びてしまった時の理美容。暇を持て余しているなどなど、さまざまな悩みに答えてくれます。

 病院内で提供しているサービスだけで問題を解決できるならそのサービスを紹介。病院内で提供しているサービスだけではその問題を解決できない場合には、他のサービスを紹介してくれたり、連絡を取ってくれる場合もあります。

 例えば、訪問してくれる理美容サービスを紹介してくれたり、移動図書館のサービスを教えてくれたり、パジャマのレンタル、退院時、車椅子でも大丈夫な交通機関など、様々なサービスを教えてくれます。「こんなこと相談したら、失礼なのでは。」と遠慮せず、一度は相談してみましょう。

さまざまな制度、仕組み、申請方法などを教えてくれる

 国の医療保険、保険会社の医療保険、高額療養費、介護保険要介護認定調査、介護保険サービスの利用方法とその流れ、タクシーの割引券などなど、さまざまな制度があります。特に、70歳以上の高齢者の入院ともなると、制度の量は倍増します。

 患者とその家族それぞれの状況に合わせ、適切なアドバイスをくれます。状況を細かく伝えることで、必要な制度とその仕組みと手続きの方法までしっかり説明してくれるので、必ず相談しましょう。安くなったり、お金が戻ってくるような制度もあるので、損はありません。

仕事や入院費用の相談までのってくれる

 自分が入院しているわけではないので、自分の仕事に関する問題はあまり関係ないように思うかもしれません。ですが、現在の日本では、専業主婦の方が少なく、ほとんどの人が働いています。この場合、入院している親御さんの世話も、仕事も、家のことも、全てこなさなくてはなりません。

 他の家族の協力が得られるのであれば、そこまで大変にはならないかもしれません。しかしそれは現実的ではないでしょう。この場合、自分の仕事に対する悩みが発生します。そして、これらは生活を圧迫する入院費とも関係してきます。

 『医療ソーシャルワーカー』は、生活費、医療費、入院中の生活、入院中の仕事(介護休業)など、かなり深いところまでの相談を聞いてくれます。入院費用をすぐに払えないこともあるはずです。そういった場合にも、適切なアドバイスをしてくれます。

 恥ずかしいと思うかもしれません。しかし、誰しもが同じ悩みを抱えています。恥ずかしいなんてことは全くありませんし、みんな同じ。親御さんを支える立場である家族が、心の病になってしまう方が問題です。気兼ねなく相談しましょう。

退院時の援助もしてくれる

 入院中も大変ですが、70歳以上の親御さんの退院においては、退院する時の方が大変かもしれません。なぜなら、退院と同時に介護が必要になっている可能性が高いからです。心の準備はもちろんのこと、物の準備、制度の準備、サービスの準備、それに伴う金銭の準備などが必要。

 そして、それぞれの手続き方法や流れまで、今まで知らなくて済んだことを一気にやらなければならなくなるのです。『医療ソーシャルワーカー』は、それらの情報を教えてくれるだけでなく、連携し援助してくれます。

退院後、在宅に戻る場合は、医療ソーシャルワーカーに「退院時ケアカンファレンス」をお願いする

 現在日本では、在宅医療、在宅介護を推進しています。少子高齢化が加速していること、人材不足により施設入所が難しいこと、施設に入所できても毎月の支払いが安くないこと、さまざまな理由があります。

 70〜80歳の親御さんの入院。入院した原因である病気の種類や本人の衰え度合いにもよりますが、多くの場合は退院とともに介護が必要な体になっている可能性が非常に高いのです。このままなんのアドバイスもなく家に戻ったとしても、本人も家族も途方に暮れてしまうことでしょう。入院した親御さんの状態によっては、家のリフォームや引越しまで考えなければなりません。

 そこで退院前、医療ソーシャルワーカーに『退院時ケアカンファレンス』を開催してもらうようお願いしましょう。『退院時ケアカンファレンス』開催の目的は、退院する親御さんとその家族が安心して退院できるようにすること。さらに、病院医療と在宅医療と在宅介護と本人と家族の連携強化です。

 召集される『退院時ケアカンファレンス』のメンバーは、入院中の病院側から、主治医、看護師、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、栄養士などが参加。在宅側からは、在宅主治医、薬剤師、歯科医師、ケアマネージャー、地域包括支援センター、介護サービス事業所、民生委員、親御さん本人と家族などが参加します。

 ここでは、入院している親御さんの診療情報が、在宅側と共有することになります。共有した上で、親御さん本人と家族も交え、在宅ケアの方針と具体的な対応方法を話し合うことになります。

 『退院時ケアカンファレンス』はおおよそ、30分から1時間で終わります。退院後、具体的にどうすれば良いかはっきり決まるのでとても安心。もちろん、聞きたいこと、わからないことがあれば、遠慮することなく、恥じることなく、全て質問しここで解決しておきましょう。

いかがでしたか。今回は医療ソーシャルワーカーの役割についてご説明しました。これでもし、親御さんが入院して介護が必要になっても、入院中の不満や不安も、プロの相談できる相手がいるので安心です。ぜひ参考にしてみてくださいね。

親の介護の前に必須! 実家 親の持ち家の価値を知っておこう

親の介護の期間が長くなればなるほど重くのしかかってくるのが費用の問題。

最初は親孝行の意を込めて快く費用を負担できても、長生きすればどんどん金額が積み上がっていくのが現実。

自分たちの生活もあるので、親の介護費用を援助し続けるには限界があります。

そのため、親の介護費用は基本的にまず親の財産を使っていくことが、お互いのため。

だからこそ、すぐに売る売らないは別にして、
あなたの実家・親の持ち家の価値を知っておく(一度、査定をしておく)ことで、介護費用にあてられる金銭の目処が立ちます。

実家終いノート編集部
家を売らなくても、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、家の金銭的価値を把握しておけば選択肢が増えますよ。

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  • この記事を書いた人

孝行(たかゆき)

40代男性。有料老人ホーム、訪問介護、グループホームに勤務経験があり介護の現場に詳しい。主任やユニットリーダー兼計画作成担当者も経験。介護事業新規立ち上げ手伝い中。旧サイト名「フィリアル(親孝行)」部分の記事を主に執筆。

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