数ある介護保険サービスの中で、どの介護保険サービスを選択すれば良いのかお悩みの方向けに経験者の感想を踏まえた『デイサービス(通所介護)の仕事内容』をご紹介します。
Contents
デイサービス(通所介護)とは
『デイサービス(通所介護)』とは、自宅にこもりきりの利用者様の孤立感の解消、心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的に、日帰りで提供するサービスです。
在宅介護サービスの中では給与が低めのデイサービス
居宅介護支援、(夜間対応型)訪問介護、訪問入浴介護、デイケアなど、様々な種類の在宅介護サービスがありますが、中でもデイサービスの給与は低めな傾向にあります。
デイサービス(通所介護)の良いところ
ご家族と利用者様の駆け込み寺のような役割を果たす
自分の能力や心の余裕、金銭的余裕を上回るほどの義務や責任を「負担」といいますが、義理の両親はもちろん、実の親であっても、介護においては簡単に「負担」を感じるようになります。それほどに介護が大変だからです。
親を介護することを当然と考えている方も少なくありません。たまの息抜きに旅行に行こうかと親御さんをショートステイに預けてみれば、いい顔をされないなんて経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
一方親の方も、自分の子供や家族にストレスを感じています。義理の子供たちに対してはもちろん、地域の人々に対してすらストレスを感じます。介護されている側だとしてもです。むしろ介護される側だからこそストレスが大きいと言えます。
自分の身に起こっている様々な異変を周りが理解してくれないからです。尿漏れしてしまったり、上手に食事することができなくなったり。そんな自分を認めることができず、人に見せたくないといった思いからだんだん家に引きこもってしまう人もいます。
こうして利用者様もご家族も互いに無理や我慢を積み重ね、いつ爆発してもおかしくない状態になります。徐々に徐々に険悪になってくることは決して珍しいことではないのです。
しかし同じような悩みを持つ要介護者が集まる『デイサービス』ならどうでしょう。同じような問題を抱えているのでそこま恥ずかしさを感じることはありません。利用者様にとってもご家族にとっても気分転換になって心が休まるのです。『デイサービス』内に友達ができれば『デイサービス』が楽しくなります。
江戸時代、何か困ったことがあるときに助けを求めて駆け込む場所がありました。「駆け込み寺」と呼ばれるものです。『デイサービス』は江戸時代における「駆け込み寺」に似ています。利用者様はもちろん、ご家族にとっても助かる在宅介護サービスが『デイサービス』になります。
利用者様に友達ができ、楽しむことができればどんどん元気になってくれる
何事も楽しくなければ継続することも努力することもできません。いくらしっかりした設備が整っていても、しっかりとケアプランに沿った計画的なケアを提供していても、楽しくなければ効果半減。
しかし『デイサービス』であれば、同じような仲間とお話ししたり一緒に何かを作ったり、一緒にゲームをしたり楽しむことができます。
家から徐々に出られなくなり、家の中と心の中に閉じこもって様々な目的を奪われてきた人たちにとっては、無駄だと思われる同じことの繰り返しといった単純作業であっても楽しく感じるそうです。
『デイサービス』で行う仲間との楽しみは無駄にはなりません。心身機能の維持につながりますし家族関係を長く良い関係に保たせてくれます。私たちにとっては子供騙しのようなレクリエーションであっても、仕事や娯楽から遠ざかりつつある高齢者にとってはとても楽しめる内容なのです。
もちろんまだまだ元気で仕事や娯楽からあまり遠ざかっていない人にとっては、子供騙しだと楽しめない人もいます。しかしみんなに楽しんでもらえるレクリエーションを考えたり行うことも『デイサービス』で働く醍醐味といえます。
デイケア(通所リハビリテーション)の仕事内容
1日の流れ
送迎:
ドライバーと添乗スタッフが、ワゴン車などで、利用者様宅にお迎えに行きます。
バイタルチェック:
施設に到着後、バイタルチェック。
バイタルの状態に応じて、看護師などが入浴、シャワー浴、部分浴、入浴不可などを判断。
入浴:
施設により異なりますが、全利用者様が集まる前に、到着した人から入浴を始めます。
トレーニング:
入浴していない利用者様はそれぞれ、脳トレ、クイズ、塗り絵、リハビリマシンなど、理学療法・作業療法よりのレクを行います。
口腔体操・昼食:
みんなで口腔体操を行なった後、昼食に入ります。
食後は口腔ケアやトイレ誘導。
半日サービスも提供する施設の場合、帰宅する方と午後からの利用者様を送迎。
体操・レクリエーション:
みんなで体操をしてから、ボーリングや風船バレーなどのレクリエーション。
おやつ:
おやつが提供されたり、トイレ誘導なども行われます。
送迎:
ドライバーと添乗スタッフが、ワゴン車などで、利用者様宅に送迎します。
ご家族だけでなく、ホームヘルパーと連携する場合もある送迎
利用者様宅にお迎えに上がると、ご家族、もしくはホームヘルパーさんが送り出してくださいます。『デイサービス』の職員はこのようなかたちで、ご家族だけでなくホームヘルパーとも連携する場合があります。
中には利用者様がお一人で待っている場合もあります。チャイムを鳴らしても出ていただけない時もありますが、この場合には訪問先やキーパーソンなどへ電話連絡を入れます。
半日サービスと1日の長時間リハビリを一緒に提供している施設は昼食後が特に忙しい
『デイサービス』の中には半日などの短時間サービスと1日の長時間リハビリを一緒に提供している施設があります。このような施設の場合、昼時にだけ集中して極端に忙しくなります。なぜなら昼食後昼までの利用者様を家に送り届け、昼からの利用者様を迎えに行かなければならないからです。
昼食が済んだら口腔ケアとトイレ誘導。帰る人の準備とこれから来る人を迎い入れる準備をします。送迎をする人は施設から出てお迎えに行ってしまいますし、昼時だけ人員が不足します。慌ただしくなってしまうのです。
もし初めて『デイサービス』への就職を考え、いくつかの施設への就職を選択できるようでしたら、自信のない方は1日だけ提供している施設、または午前と午後きっちり分けて提供している施設をお勧めします。
どちらか一方に分けているのであれば職員が分散され、人員体制が薄くなるような心配がありません。中には昼時だけ短時間のパートを雇ったり、短時間と1日のスタッフをある程度分けたり、何らかの対策を講じている施設もあります。
腰を痛めてしまう可能性もある入浴介助
介護老人保健施設、病院、診療所のみが運営できる「デイケア」。多くの場合、設備も充実している傾向にあります。
一方、実績と資金力のある大きな会社でなくても開設することのできる『デイサービス』の場合、必ずしも設備が充実しているとは限りません。
具体的には、チェアやリフト、ストレッチャーと呼ばれる「機械浴」が用意されていない『デイサービス』における要介護度の高い利用者様の入浴介助です。金銭的な理由から用意されていない場合と利用者様の尊厳や恐怖心を与えないためあえて利用していない場合があります。
何事も使い方次第ではありますが、「機械浴」が用意されていない『デイサービス』の場合腰を痛めて仕事の継続が難しくなる場合もあります。
こんな方にオススメ
贅沢な「心身機能の維持」のための時間 利用者様に笑顔と元気を与えたい方にオススメ
『デイサービス』は、利用者様の孤立感の解消、心身機能の維持、ご家族の介護の負担軽減などを目的にサービスの提供がなされています。孤立感の解消とご家族の介護負担軽減は、利用者様が『デイサービス』にいるだけでもその目的は達成されます。入浴介護をすればなおのことご家族の介護負担を軽減できます。
ただ施設に集めて見守っているだけでもその目的のほとんどを達成することのできる『デイサービス』。介護職員が提供するサービスの中心は一体なんなのでしょうか。
介護職員が提供するサービスの中心は「心身機能の維持」です。入浴以外の時間のほとんどすべてを「心身機能の維持」のためだけに使うことができる贅沢なサービス。「心身機能の維持」のために行う具体的なサービス例はレクリエーション。子供騙しだといったような否定的意見もありますが、それは私たちの目線です。
心身が不自由になり、尿もれなどもしてしまう状態になって家に引きこもることが増えてきたとします。人と触れ合うどころか他人とまともに会話する時間をほとんど失うのです。衰えの進行を感じながら不安と恐怖にたった一人で怯え続ける毎日。なんのために生き続けねばならないのかわからなくなっている状態は珍しくないのです。
仕事ができなくなり、家族からも頼られることがなくなり、人と触れ合う機会が減少。自分の存在意義や役割を失っていく人の精神状態。そのような時、同じような人が集まって、一般的には子供騙しと言われているレクを楽しむのです。一人で部屋にこもっているより、子供騙しとはいえ似たような仲間たちと遊んでいる方が安心できるはずです。
それが『デイサービス』という居場所。子供騙しと言われようがなんだろうが、その子供騙しのレクの時間(利用者様の笑顔を作る時間)すらまともに取ることのできないサービスとは比較にならないほど「心身機能の維持(健康)」に貢献できるお仕事です。
夜勤ができない方にお勧め
『デイサービス』や「デイケア」など、いわゆる通い系の在宅サービスはその目的上、夜間に提供しなければならない理由がないので夜勤がありません。