70〜80代の親御さんを持つ子として、事故や詐欺にあう不安、ありますよね。そうなる前に、認知症かどうか早めに判断できる方が安心です。しかし、医者でも看護師でも介護職員でもない素人の目で、認知症を判断できるのでしょうか。そんな不安も、たった3つのポイントに着目するだけで、簡単に解決することができます。今回は認知症の兆候と見分け方をご紹介します。
家庭崩壊しないために必要な、認知症に対する理解についての詳細は『知らないと後悔する!家庭崩壊へのシナリオを防ぐ 認知症 4つの理解』をチェック。
認知症の親御さんとの接し方の詳細は『家族が知らずに親の認知症を促進!知らないと後悔する3つの接し方』をチェック。
1、忘れている内容はモノやコトか、体験そのものか
「朝ごはん何食べたっけ。」「どこで待ち合わせだっけ。」このような「もの忘れ」、私たち誰もがよく体験していることですよね。70代80代の高齢にもなると、その「もの忘れ」の回数は私たちに比べて多くなっていることでしょう。ですがご安心ください。これだけならまだ大丈夫です。
「朝ごはんを食べていない。」「待ち合わせなんてしていない。」これが認知症。このような、コントのようなことが現実になります。お酒で失敗されたことのある方であれば、多少は想像しやすいのではないでしょうか。起きたら、知らない場所で知らない人と一緒にいました。恐怖ですね。このようなことがお酒を飲んでいないにもかかわらず継続して起き続けるのです。
「認知症」の初期症状、その兆候として、同じことを何度も言ったり、何かを探していることが増えたり、約束を守らなくなったり、今まで利用していた道に迷ったり、失敗することが増えたり、日付や曜日を間違えることが増えたり、話がかみ合わなくなったり、今までしていた行動とは関係のないことを急に始めたり、知っているはずなのに「そんなの知らない。」、やっているはずなのに「そんなことやってない。」っていうことが増えます。
これらは全て「体験」したことが丸ごと抜け落ちていることが原因です。約束を破っているのではなく、約束したその体験丸ごと忘れてしまっているのです。しらを切って意地悪を言っているのではなく、知った体験、やった体験そのものを忘れているのです。
何もなかったことになっている状態が「認知症」です。記憶を失うほどにお酒を飲んだ次の日の自分を思い浮かべてください。そうすれば、「認知症」がどんな状態になるか、想像できるはずです。
2、見ていて「危ない」と思うことが増える
料理なら食材を焦がしたり、フライパンを空焚きしたり、ガス栓を閉めなくなったりします(火事の恐れ)。運転ならブレーキを踏むべき時にアクセルを踏んでしまったり、道の隅に車をぶつかるほどに寄せてしまったりします(交通違反や事故の恐れ)。
散歩なら歩道を大きくはみ出たまま平気でいたり、高い段差を乗り越えようとしたり(怪我の恐れ)。処方薬なら何錠も飲んでしまったり、捨ててしまったり、隠してしまったりします(事故の恐れ)。
お金関係なら買い物でお支払いをせずに店を出ようとしたり、明らかに詐欺なのにお金を振り込もうとしたりします(詐欺被害の恐れや万引きで補導されてしまう恐れ)。家にいるなら安心かと思えばそうではなく、脱水症状で倒れて救急搬送。
このようなことは、脳細胞が壊れ判断力が低下していることが原因で引き起こされています。判断力が低下している状態というのは、境界線がないのと同じです。私たちにとっては「え。そんなことまでわからないの。」って感じてしまうことであっても、その差を判断できない状態。
焦げるか焦げないかの境界線、ぶつかるかぶつからないかの境界線、気温が暑いか暑くないかの境界線、目には見えなくても私たちはその境界線を判断することができます。境界線がわかるからこそ今までの経験と照合して、焦げる前に火を止める、ぶつかる前にブレーキを踏む、暑いから薄着に着替えるということを無意識にできているのです。
判断力が低下していると、目に見えない境界線はないのと同じです。そのため、気がつかないままに、簡単に超えている境界線。良いことと悪いことの判断も同じです。見えない、曖昧な境界線は「認知症」の方にとってはないも同然です。
このように常識的な目線のまま、これらの現実を見ようとせず、なんの対処もせずにいるのは危険です。両親の「認知症」という現実は見たくないし、信じたくないでしょう。しかし、両親をそのような危険な状況下にするよりも、「認知症」がどういうものなのか知っておき、子が「認知症」かどうかを早めに判断でき、早めに対処できる方が良いはずです。
3、別人のようだと感じることが増える
人柄でいえば、些細なことでも怒るようになったり、頑固になったり、人のせいにしたり環境のせいにしたり、怖がりになったり、寂しがりやになったり、落ち着きがなくなったり、人の意見や話を聞かなくなったり、疑い深くなったり、今まで興味を持っていたことに対する関心が失われたり、自分のことばかり優先するようになったり、めんどくさいっていうことが増えたりします。
行動なら、簡単な計算もできなくなったり、計画的に行動ができなくなったり、優先順位がわからなくなったり、行き当たりばったりの行動をしたり、効率の良い行動ができなくなったり、一度に二つのことができなくなったり、指示をしてもらわないと行動できなくなります。そのほかにも、おしゃれをしなくなったり、外出を嫌がるようになったり、ぼーっとすることが増えたり、部屋が散らかったままに放置されていたり、暴力的になってしまうことも。
このように、まるで別人のような人柄になったり、行動を起こしたりします。これらは、今まで説明してきた「体験忘れ」「脳細胞の損傷」などが原因で引き起こされています。「体験忘れ」による精神状態、「脳細胞の損傷」による失敗の連続による精神状態はどのようなものでしょうか。
焦り、恐怖、自己嫌悪、悲しみ、孤独感、自己憐憫、苛立ち、不機嫌など、たくさんの負の感情で心が支配されている状態。別人のようになってしまう原因を一つに絞ることはできませんが、このような余裕も何もかも保てない状況は、決して人に優しくしていられる状態ではありません。
いかがでしたか。今回は認知症の兆候と見分け方についてご紹介しました。これで親御さんの認知症に早めに気がつくことができ、早めに対処することができます。ぜひ参考にしてみてくださいね。