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介護保険が縮小へ | 広がる保険外サービスとこれからの生き方の選択

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日本社会はかつて経験したことのないスピードで高齢化が進んでいます。長寿が喜ばしい一方で、支える側の人口は減少し、社会保障制度の維持が難しくなっています。その中でも特に大きな変化が迫っているのが「介護保険制度」です。

介護保険は、家族だけでは支えきれない介護を社会全体で支えるために生まれた仕組みでした。誰もが平等に支援を受けられる安心の土台として、多くの家庭を支えてきた大切な制度です。しかし、少子高齢化の加速により、国や自治体の財源は限界に近づいており、今のままの形を続けることが難しくなっています。

いままで介護保険によって支えられてきた介護サービスが、今後は徐々に縮小され、自分でお金を払って受ける「保険外サービス」が主流になる動きが進んでいます。これまで公的な支援を前提に考えられていた介護の在り方が、大きく変わろうとしているのです。

この変化は、これから介護を受ける人だけでなく、支える家族や現場で働く人々にも深く関わってきます。たとえば「どんなサービスが使えるのか」「費用はいくらかかるのか」「どこに頼めば安心なのか」――そうしたことを、私たち一人ひとりが自分で考え、選び、備えていく時代が始まっています。

介護は、ある日突然、身近な問題になります。親の介護、パートナーの支援、そしていずれは自分の老後。どの世代にとっても避けて通れない現実です。だからこそ、制度の変化を知り、これからどう備えるかを考えることが大切です。

この記事では、介護保険が縮小していく背景と、保険外サービスがどのように広がっていくのか、そしてその変化に私たちがどう向き合えばよいのかを整理します。制度の転換期に立つ今、少しでも安心して暮らすために知っておきたいことをお伝えします。

介護保険制度の縮小が現実に近づいている理由

日本では、少子高齢化がこれまでにない速さで進んでいます。内閣府の「高齢社会白書(2024年版)」によると、2025年には日本の総人口の約30%が65歳以上になると推計されています。これは世界でも突出した水準であり、今後も高齢者の割合は増え続ける見込みです。

一方で、現役世代の人口は急速に減少しています。働く世代が減れば税収も減り、社会保障を支える力が弱まります。その結果、医療や年金、介護といった社会保障制度全体の持続が難しくなっているのが現状です。

介護保険制度は2000年に導入され、高齢者が安心して暮らせる社会を目指すための大きな一歩でした。家族任せだった介護を社会全体で支える仕組みとして、多くの人に受け入れられてきました。しかし、制度導入から20年以上が経過し、状況は大きく変わっています。利用者は増え続け、介護保険の総費用も年々膨らんでいます。厚生労働省のデータによると、介護保険の給付費は制度開始時の約3倍に達しており、2025年には年間15兆円を超えるとも言われています。

これに対して、制度を支える保険料や税収は追いついていません。介護保険料は40歳以上の国民が支払いますが、支え手となる40〜64歳の人口が減る一方で、支援を受ける高齢者は急増しています。つまり、「使う人が増えて、支える人が減る」という構造的な問題が起きているのです。

財政の限界と国の方針転換

財務省はすでに、介護報酬(介護サービス事業所に支払われる公定価格)をこれ以上大幅に引き上げることは困難であると明言しています。背景には、国全体の財政赤字の拡大があります。日本の社会保障関係費はすでに一般会計の3分の1を超えており、これ以上の公的支出増は現実的ではありません。

このため政府は、「公的支援を維持しながらも、民間の力を取り入れる」という方針を打ち出しています。これは単なる費用削減ではなく、社会全体で支援の仕組みを再構築する試みでもあります。公的保険制度でカバーできない部分を、民間企業や地域団体が補い合う新しいモデルへの移行が始まっているのです。

経済産業省もこの動きを支援しており、介護分野を「成長産業」として位置づけています。テクノロジーを活用した介護支援や見守り、家事代行、移動支援など、これまで介護保険では対応できなかった分野に、企業の参入を促しています。

「介護関連サービス事業協会」の設立とその役割

こうした国の方針を象徴する動きとして、2025年に設立された「介護関連サービス事業協会」があります。この団体は、介護保険の対象外となるサービスの質を高め、健全な市場を育てることを目的に発足しました。

この協会には、すでに全国から多くの企業が加盟申請を行っており、その数は100件を超えています。加盟企業の業種は幅広く、家事代行や清掃、買い物支援、外出サポート、見守りサービス、さらには資産管理や終活支援など、生活全般を支える分野に広がっています。

このような動きは、国が「これからの介護は公的保険だけでは支えきれない」と正式に認め、民間の参入を積極的に後押ししていることを意味します。特に注目すべきは、経済産業省がこの協会の活動を後援している点です。これにより、介護サービス業界は今後、「公的サービス」と「保険外サービス」の二本柱で構成される新しい時代に入っていくと考えられます。

公的保険と保険外サービスの違い

理解を深めるために、公的介護保険と保険外サービスの主な違いを整理しておきましょう。

区分 公的介護保険サービス 保険外サービス(自費サービス)
運営主体 国・自治体の指定事業者 民間企業・地域団体など
費用 一部自己負担(1~3割) 全額自己負担
利用条件 要介護認定が必要 だれでも利用可能
サービス内容 介護・リハビリ・福祉支援など 家事、見守り、買い物、趣味活動など
品質管理 行政による監査・報告義務 業界ガイドライン・認証制度に基づく

公的保険では、一定の基準に基づいて公平にサービスが提供されますが、利用のためには要介護認定が必要で、内容や回数にも制限があります。一方で保険外サービスは、自由度が高く、利用者の希望に合わせて柔軟に対応できるという特徴があります。その分、費用は自己負担になりますが、「自分に合った支援を選べる」という利点があります。

社会全体での再設計が求められている

介護保険制度の縮小は、単に制度の問題にとどまりません。地域社会や家庭の在り方にも影響を及ぼします。高齢者が増える中で、家族や地域がどのように支え合うかが問われる時代になりました。

国や自治体、企業、そして私たち一人ひとりが役割を分かち合いながら、支援の形を作り直していく必要があります。介護はもはや一部の人だけの問題ではなく、社会全体の課題です。

その意味で、介護保険の縮小は「終わり」ではなく、「新しい仕組みづくりの始まり」とも言えます。これからの介護をどう支えていくのか。公的支援と民間サービスのバランスをどう取るのか。その議論と準備が、今まさに求められています。

保険外サービスが広がる背景と国の新しい戦略

保険外サービスが急速に広がり始めている背景には、介護現場で積み重なってきた深刻な課題があります。最も大きいのは「人手不足」と「介護職員の過重負担」です。厚生労働省の調査によると、介護職員の有効求人倍率は全国平均で3倍を超え、特に都市部では5倍近い地域もあります。つまり、1人の応募者に対して複数の施設が人材を奪い合っている状況です。

高齢者の増加に比例して介護ニーズは年々高まる一方、介護職を目指す若い世代は減っています。理由として、長時間労働、低賃金、心身の負担が大きいことが挙げられます。加えて、地方では若年層の人口流出が進み、都市部では高齢化のスピードがさらに加速しています。結果として、介護施設や在宅支援の現場では、限られた人数で多くの利用者を支えざるを得ない状況が続いています。

人手不足はサービスの質にも影響します。職員一人ひとりの負担が増えることで、利用者と丁寧に向き合う時間が減り、結果として「必要な支援が十分に届かない」という問題が起きやすくなります。こうした現場の現実を踏まえ、国は新しい戦略を立ち上げました。

公的サービスを専門分野に集中し、民間が生活支援を担う流れ

国が打ち出しているのは、「公的な介護保険サービスを専門的な分野に集中させる」という考え方です。これは、介護職の限られた人材を、より専門性の高いケアに集中させる狙いがあります。

たとえば、身体介護、医療的ケア、認知症サポートなど、専門知識や技術が求められる分野は、これまでどおり介護保険制度のもとで提供されます。逆に、掃除や洗濯、調理、買い物、見守りなど、日常生活のサポートにあたる部分は「民間サービスに委ねる」という方針が明確になっています。

この構想は、2023年に経済産業省が示した「新しい高齢者支援モデル」にも盛り込まれています。そこでは、公的介護保険がカバーできない「生活支援・地域交流・健康促進」を、自治体と企業が協力して支える仕組みを整備する方針が示されました。

実際に一部の自治体では、民間事業者やボランティア団体と協力し、地域密着型の支援拠点づくりが進められています。これにより、高齢者が介護認定を受けていなくても、家事や買い物などの支援を受けられるようになりつつあります。

保険外サービスを支える認証制度と信頼確保の動き

保険外サービスが広がるなかで、最も重要なのが「信頼性の確保」です。これまでの介護保険サービスは、自治体から指定を受けた事業所のみが提供でき、行政の監査によって品質が保たれてきました。しかし、保険外サービスには同様の枠組みが存在しないため、質のばらつきやトラブルへの懸念が生じます。

この課題を解決するために設立されたのが「介護関連サービス事業協会」です。この協会は、民間が提供する保険外サービスに対して、ガイドラインと認証制度を導入しました。これにより、行政の指定を受けない事業でも、一定の品質基準を満たしていることを証明できます。

認証基準には、以下のような項目が含まれています。

  • スタッフの研修と資格制度

  • 個人情報や金銭の管理体制

  • 利用者との契約内容の明確化

  • 緊急時対応や苦情受付の整備

こうした取り組みにより、利用者が安心して選べる環境を整えようというのが狙いです。信頼を可視化することで、介護保険外市場の健全な発展を促すことが期待されています。

民間の参入で広がる新しい介護市場

民間企業が介護分野に参入する動きはすでに始まっています。たとえば、大手清掃会社が高齢者向けの家事支援サービスを提供したり、宅配事業者が食事配達と見守りを組み合わせたサービスを展開したりしています。また、健康管理アプリやウェアラブル端末を用いた「デジタル見守り」も普及が進んでいます。

これまでの介護保険制度ではカバーできなかった「生活の快適さ」「社会とのつながり」「安心感」を支える分野に、多様な企業が参入しています。こうした取り組みは、単なるビジネスではなく、社会全体の支え合いを補完する重要な役割を担っています。

下の表は、公的介護と保険外サービスの違いを整理したものです。

項目 公的介護保険サービス 保険外サービス
提供主体 国・自治体の指定事業所 民間企業、地域団体など
費用負担 一部自己負担(1〜3割) 全額自己負担
対象者 要介護認定を受けた人 どなたでも利用可能
主な内容 身体介護、リハビリ、訪問看護 家事支援、見守り、移動、趣味活動など
品質管理 行政の監査・指定制度 認証制度・ガイドラインによる評価

民間サービスの拡大により、介護の枠を超えた多様な支援が可能になります。たとえば、健康チェック付きの食事宅配や、オンラインで家族とつながる見守りアプリなど、テクノロジーを活用した新しいサービスが次々に登場しています。

保険外サービス拡大がもたらす社会的意義

保険外サービスの拡大は、単に介護の代替手段ではありません。それは「自分らしい生活を続けるための支え」として位置づけられています。厚生労働省の報告によると、在宅で暮らす高齢者の約6割が「介護保険だけでは十分な支援が受けられない」と感じており、生活支援サービスの充実が求められています。

民間の力を取り入れることで、地域の多様なニーズに対応できるようになり、介護職員もより専門性の高い分野に集中できます。結果として、介護の質を保ちながら、支援の幅を広げることができるのです。

保険外サービスの広がりは、これからの高齢化社会における新しい共助の形を生み出すものと言えるでしょう。公的制度と民間の力がバランスよく連携することで、誰もが安心して年を重ねられる社会が少しずつ実現していきます。

2027年以降に起こると予測される制度の変化

介護保険制度はこれまで、高齢者の自立支援と家族の負担軽減を目的として大きな役割を果たしてきました。しかし、人口構造の変化と財政の限界により、その形を維持することが難しくなっています。そうした中で、2027年前後に予定されている介護保険法の改正は、日本の介護のあり方を大きく変える転換点になると見られています。

この改正では、要介護度の中でも比較的軽度とされる「要介護1」と「要介護2」の人たちが、現在の介護保険制度の支給対象から外れる可能性が高いと専門家の間で指摘されています。これは、国が公的支援の範囲を見直し、より専門的なケアを必要とする重度の高齢者に財源を集中させる方針を明確にしたことを意味します。

軽度者支援の「生活援助」から「自己負担」への移行

要介護1・2に該当する高齢者の多くは、入浴や排泄などの身体介護よりも、掃除・洗濯・調理・買い物といった生活援助を中心にサービスを受けています。これらは日常生活を支えるための重要な支援ですが、専門的な介護技術を要するものではないとされ、公的保険の範囲から切り離される方向にあります。

厚生労働省の資料によると、2022年度の介護給付費全体のうち、生活援助などの「軽度サービス」にかかる費用は約3割を占めており、国の財政を圧迫する要因の一つとされています。そのため、政府はこれらを保険対象から外し、民間や地域サービスに委ねることで制度の持続可能性を高めようとしています。

この動きが現実になれば、利用者はこれまで1〜3割の自己負担で受けられたサービスを、全額自己負担で契約しなければならなくなります。たとえば、週2回の家事援助を利用していた人が、今後は1時間あたり2,000〜3,000円を自費で支払う形になると想定されます。これにより、経済的な負担が増す家庭が出てくることは避けられません。

介護を「支える」から「選ぶ」時代への転換

こうした変化は一見、支援の後退のように思われますが、必ずしも否定的な側面ばかりではありません。保険外サービスが拡大することで、利用者は公的制度の制限に縛られず、自分のライフスタイルや希望に合わせたサポートを自由に選べるようになります。

たとえば、生活支援に加えて、健康チェック、外出付き添い、趣味活動の支援など、これまで介護保険ではカバーされなかった分野も増えていきます。高齢者自身が自分のペースで暮らしを整えられる環境が整えば、「自立支援」という制度の本来の目的により近づくとも言えます。

また、近年ではAIやIoT(モノのインターネット)を活用した見守り機器や健康管理ツールも普及しており、民間サービスと組み合わせることで、より安全で快適な在宅生活を送ることが可能になっています。総務省の調査によれば、2024年時点で高齢者世帯の約45%が何らかの見守りサービスを利用しており、技術の進歩が高齢者の暮らしを支える重要な柱になりつつあります。

介護職の働き方にも変化が生まれる

この制度改正は、介護を受ける側だけでなく、提供する側にも大きな影響を与えます。保険制度の枠組みが変わることで、介護職が担う役割の幅が広がり、働き方にも多様性が生まれます。

これまで介護保険の規定内では、サービス内容や時間が厳しく定められており、職員の裁量が限られていました。しかし、保険外サービスの拡大によって、介護職員が利用者の要望に柔軟に対応できる場面が増えます。たとえば、単なる家事支援にとどまらず、生活相談や地域交流のサポート、健康維持のための運動プラン作成など、より包括的な支援に携わることが可能になります。

また、介護人材の新たなキャリアパスとして、福祉×ITや介護×地域創生など、異業種との連携が進む可能性もあります。文部科学省の統計によると、近年では介護福祉士養成校のカリキュラムに「ICT介護支援」や「地域包括ケア」が導入され、デジタル技術や地域連携を学ぶ学生が増えています。こうした教育の変化は、今後の介護の質の向上にもつながっていくでしょう。

新しい現実をどう受け止め、どう備えるか

「支援を受けるにはお金が必要な時代が来る」と聞くと、不安を感じる人も多いでしょう。しかし大切なのは、その変化を早めに理解し、備えることです。

今後は、自治体が提供する地域包括支援センターや、民間の介護相談窓口を活用し、自分に必要なサービスや費用を早めに把握しておくことが重要です。また、介護費用を見越した家計設計や、保険外サービスの比較検討を行うことも現実的な対策になります。

さらに、家族だけで介護を抱え込まず、地域や民間の力をうまく活用する視点も欠かせません。政府が進める「地域共生社会」の理念のもと、介護は家庭内だけの問題ではなく、社会全体で支え合う仕組みへと変わりつつあります。

2027年の制度改正は、介護のあり方を再定義する大きな節目になるでしょう。それは「終わり」ではなく、「次の時代への始まり」です。公的制度と民間の力を組み合わせながら、自分らしく生きるための新しい介護の形を築いていくことが求められています。

信頼性をどう確保し、どう備えるか

介護保険外サービスが一般的になりつつある今、最も大切なのは「安心して利用できる仕組み」を整えることです。介護は、食事、排泄、入浴、金銭管理など、人の生活の奥深い部分に関わる行為です。だからこそ、利用者と事業者の間に強い信頼関係がなければ成り立ちません。

これまでの介護保険制度では、都道府県や市区町村による指定制度や監査が行われ、一定の安全基準やサービス品質が保たれてきました。利用者は「行政の認可を受けた事業所」という安心感を持ってサービスを受けることができたのです。しかし、保険外サービスには同じ公的な管理枠組みがなく、利用者自身が「どの事業所が信頼できるか」を見極める時代に変わりつつあります。

ガイドラインと認証制度による「見える信頼」づくり

国は、保険外サービスでも安心して利用できるようにするため、「ガイドラインに基づいた認証制度」の整備を進めています。これは、サービスの質や安全性を担保するための基準を明文化し、それを満たした事業所を認証する仕組みです。

この制度では、事業者が守るべき基本項目として以下のような基準が設定されています。

  • 個人情報や金銭の安全な取り扱い

  • 職員への継続的な教育・研修

  • 苦情やトラブル対応の体制整備

  • 利用料金や契約内容の明確化

  • 高齢者の権利と尊厳の保護

こうした基準をクリアした事業所には認証マークが付与され、利用者は一目で信頼性を確認できるようになります。経済産業省と厚生労働省は、これを全国的に普及させることで、保険外サービス全体の健全な発展を目指しています。

このような認証制度は、すでに一部の自治体や業界団体で試験的に導入されています。たとえば、東京都や大阪府では「地域密着型の見守りサービス」「高齢者支援事業」などで独自の基準を設け、登録事業者を公表する取り組みが進んでいます。これらの制度が全国的に広がることで、信頼できるサービス選びがしやすくなるでしょう。

利用者自身ができる信頼チェックの方法

制度が整うまでの間は、利用者自身ができる工夫も大切です。初めて保険外サービスを利用する際には、次のような点を確認しておくと安心です。

  • 事業所が自治体や業界団体の認証を受けているか

  • 契約書にサービス内容と料金が明確に書かれているか

  • トラブル時の連絡先や返金条件が記載されているか

  • スタッフの対応が丁寧で、相談しやすい雰囲気か

  • 利用者や家族の口コミ・評判がどうか

また、独立行政法人国民生活センターの統計によると、介護関連の相談件数のうち約2割が「契約トラブル」や「料金に関する不明点」だと報告されています。特に保険外サービスでは、料金体系が自由に設定されるため、事前の確認が欠かせません。納得のいくまで説明を受け、口頭ではなく書面で確認する習慣をつけておくことが重要です。

家族の話し合いと経済的準備の重要性

介護は突然始まることが多く、準備がないまま対応に追われてしまうケースも少なくありません。そのため、家族間で早めに「どのようなサービスを利用したいか」「自己負担はいくらまで可能か」を話し合っておくことが大切です。

たとえば、家事支援、見守り、送迎といったサービスの中でも、どれを優先するか、どのくらいの頻度で利用するかによって費用は大きく変わります。総務省の家計調査によると、介護関連の自己負担額の平均は月3〜5万円程度ですが、保険外サービスを利用するとそれ以上になる場合もあります。これを見越して、貯蓄や介護保険外の民間保険を検討する人も増えています。

また、地域包括支援センターや社会福祉協議会などの公的窓口を活用すれば、介護費用や補助金制度の相談もできます。これらの窓口では、地域ごとの支援情報をまとめて紹介してくれるため、家族だけで抱え込まず、早めに相談しておくことが安心につながります。

介護格差を生まないための社会的な備え

保険外サービスの拡大によって、「お金がある人だけが質の高い支援を受けられる」という格差が生まれる懸念も指摘されています。そうした状況を防ぐためには、地域・家族・企業が連携して支え合う仕組みが必要です。

地域では、高齢者同士の助け合いやボランティア活動、低料金の家事支援サービスなど、住民主体の支援が広がっています。厚生労働省の「地域共生社会推進計画」では、こうした地域福祉活動を公的支援と組み合わせる方針を掲げています。これにより、所得や地域差によって介護の質が偏らないようにすることが期待されています。

公的支援と民間サービスの間にある「すき間」を埋めるのは、私たち一人ひとりの意識と準備です。信頼できる情報を集め、安心できる選択を積み重ねることが、これからの介護社会を支える力になります。

介護を必要とする人も、支える家族も、安心して生活できる環境をつくるために。制度の整備と同じくらい、私たち自身の理解と備えが求められています。

まとめ

介護保険制度の縮小と保険外サービスの拡大は、もはや遠い未来の話ではありません。国の財政状況や人口構造の変化を考えれば、公的な支援が今のままの形で維持されることは難しいと多くの専門家が指摘しています。これからの介護は、国に任せる時代から、私たち一人ひとりが自ら選び、計画的に備える時代へと確実に移りつつあります。

けれども、この変化を「終わり」と捉える必要はありません。むしろ、私たちが自分らしい支援を選べる新しいスタートだと考えることができます。民間サービスの拡充によって、これまで制度の枠では難しかった多様なサポートが生まれています。たとえば、日常のちょっとした家事支援や買い物代行、オンラインでの見守りや健康チェック、趣味や学びを通じた生きがいづくりまで、支援の形は年々進化しています。テクノロジーと人の温かさが共に生きる社会が、少しずつ現実のものになりつつあるのです。

今からできることは、小さな一歩から始めることです。自分や家族の生活を見つめ直し、将来どんな支援が必要になりそうかを話し合ってみる。地域包括支援センターや介護相談窓口に足を運んで、利用できる制度や費用を知る。そうした日常の小さな行動が、将来の安心を形づくる大きな力になります。

介護を考えることは、決して後ろ向きなことではありません。むしろ、自分と大切な人の人生を大切にする、前向きな選択です。公的制度が変化しても、社会全体で支え合う仕組みは確実に広がっています。地域の助け合い、民間の創意工夫、そして家族の絆。これらが重なり合うことで、誰もが安心して年を重ねられる未来をつくることができるのです。

介護の在り方が変わる今こそ、私たちは新しい形の「支え合いの社会」を育てていく時期にあります。知ること、備えること、そして選ぶこと。その積み重ねが、人生の後半を穏やかで豊かなものにしていきます。

変化の時代だからこそ、恐れずに一歩を踏み出す勇気を持ちましょう。未来の介護は、他人任せではなく、あなた自身がつくるものです。その選択が、あなたとあなたの大切な人の人生を、より安心で誇りあるものへと導いていきます。

空き家になった実家を放っておくと…

老親の介護施設入りで空き家になった実家や、相続しても住まない実家は、ついついそのままに放っておいてしまいがちですよね。

家は住んでいてこそ保たれるので、住んでいない家というのは傷みが進むのが早いです。

また、固定資産税を払い続けるだけでなく、家の傷みが進むことで維持管理の費用がかさむという金銭的な痛手も大きくなります。

もちろん、親の思い出、自分が実家に住んでいた時の思い出などあるでしょう。

でも、その思い出は心に残すものです。朽ちていく家の行く末を自分の子供世代に負わせるわけにも行きませんよね。

もし売却を検討する場合、自分たちの生活もあるので何度も実家近くの不動産屋に足を運ぶのが難しいこともあるでしょう。

そうであれば、家の近くの不動産屋だけでなく、不動産一括査定や買取再販業者も合わせて利用してみることをおすすめします。

物屋敷 整太
家は売るだけでなく、担保にして金融機関からお金を借りることも可能ですし、いずれにしても家の金銭的価値を把握しておくことは大切ですね。

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